痩身効果等をうたう下着通販SAKLIKITとギミックパターンに景表法課徴金。異なる両社のお詫び社告の時期(消費者庁:平成30年10月5日)

消費者庁は、痩身効果等をうたう下着の表示について景品表示法違反(優良誤認)の措置命令を受けた、(株)SAKLIKIT(サクライキ)と(株)ギミックパターンに対し、10月5日に課徴金納付命令を行いました。
課徴金額はギミックパターンが8480万円、サクライキが255万円。
返金措置の実施はありませんでした。

SAKLIKITの措置命令は平成29年12月14日に消費者庁より出されました。
他方、ギミックパターンは平成29年3月26日に東京都が行う初めての措置命令事案で、課徴金納付命令は消費者庁が行いました。(課徴金納付命令の権限は、都道府県にはなく消費者庁のみ)

・SAKLIKIT、スマホサイトのレギンスのダイエット効果に対し景表法措置命令
・東京都初の景品表示法措置命令。下着通販(株)ギミックパターンに優良・有利誤認

課徴金の内容と課徴金対象期間の観点から、両社のお詫び社告(誤認解消措置)の時期について確認します。

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株式会社 SAKLIKIT(サクライキ)に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
(消費者庁 平成30年10月5日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_181005_0002.pdf
株式会社ギミックパターンに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
(消費者庁 平成30年10月5日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_181005_0001.pdf
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(株)SAKLIKIT
課徴金納付命令の概要
(株)SAKLIKITは、課徴金として255万円を平成31年5月7日までに支払わなければならない。

対象商品:
「CC+ DOWN LEGGINGS(シーシープラス ダウンレギンス)」と称する下着

課徴金対象行為:
a 表示媒体
スマートフォン等向け自社ウェブサイト

b 表示内容
《優良誤認表示》
あたかも、対象商品を着用するだけで、短期間に容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。

実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は期間内に資料を提出しなかった。

課徴金対象行為をした期間:
平成28年5月17日~平成29年4月20日までの間

最後に取引をした日:
平成29年10月5日

誤認解消措置をとった日:
平成30年3月30日

課徴金対象期間:
平成28年5月17日~平成29年10月5日までの間

課徴金付加の対象外と認められる「相当の注意」について:
同社は、本件商品について、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠に基づくことなく、前記の課徴金対象行為をしていたことから、当該行為をした期間を通じて対象表示が違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」とは認められない。

売上額/課徴金額:
8520万4079円/255万円

SAKLIKIT「下着【消費者庁の措置命令に基づく公示】」
(2018年3月30日 新聞の広告欄、(株)SAKLIKITのホームページに掲載された情報)

(株)ギミックパターン
課徴金納付命令の概要

(株)ギミックパターンは、課徴金として合計8480万円を平成31年5月7日までに支払わなければならない。

対象商品:
(1)「エクスレッグスリマー」と称する靴下(ストッキング)
(2)「エクスグラマー」と称する下着(ブラジャー)
(3)「エクスレーヴ」と称する下着(ショーツ)
(4)「エクスレンダー」と称する下着(ブラ付きタンクトップ)

課徴金対象行為:
a 表示媒体
自社ウェブサイト

b 表示内容
《優良誤認表示》
あたかも、本件4商品を着用又は使用するだけで、容易に「脚が細くなる」、「豊胸」、「痩身」などの効果が得られるかのように表示していた。。

実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。

課徴金対象行為をした期間:
(1)(2)平成28年9月1日~平成29年12月20日までの間
(3)平成29年2月1日~平成29年12月20日までの間
(4)平成28年8月1日~平成29年12月20日までの間

最後に取引をした日:
平成30年4月11日

誤認解消措置をとった日:
平成30年4月11日

課徴金対象期間:
(1)(2)平成28年9月1日~平成30年4月11日までの間
(3)平成29年2月1日~平成30年4月11日までの間
(4)平成28年8月1日~平成30年4月11日までの間

課徴金付加の対象外と認められる「相当の注意」について:
同社は、本件商品について、当該表示の裏付けとなる根拠資料を十分に確認することなく、また、「通常価格」と称する価額により販売された実績がないことを認識したうえで、前記の課徴金対象行為をしていたことから、当該行為をした期間を通じて対象表示が違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」とは認められない。

売上額/課徴金額:
(1)7億9578万4161円/2387万円
(2)2億9735万164円/892万円
(3)9億6428万8440円/2892万円
(4)7億6990万2060円/2309万円

ギミックパターン「美容用品【東京都の措置命令に基づく公示】」
(2018年4月11日 新聞の広告欄、(株)ギミックパターンのホームページに掲載された情報)

課徴金対象期間の観点から、両社のお詫び社告(誤認解消措置)の時期について見てみます。
ギミックパターンが誤認解消措置を措置命令の16日後と、比較的速やかに行っているのに対し、SAKLIKITは3か月半後に行っています。
理由として、ギミックパターンのケースでは、措置命令を受けた日(平成29年3月26日)が課徴金対象行為をやめた日(平成29年12月20日)から6か月が経過しておらず、課徴金対象期間をできるだけ短くするために誤認解消措置の認定をできるだけ早く受けたかったと考えられます。
他方、SAKLIKITは措置命令を受けた日(平成29年12月14日)が既に商品の「最後に取引をした日(平成29年10月5日)を過ぎており、誤認解消措置が課徴金対象期間に影響しないことから、誤認解消措置が速やかに行われなかった可能性が考えられます。

※課徴金対象期間」=①+②
①課徴金対象行為(不当表示行為)をした期間
②「課徴金対象行為をやめた日」から(a)6か月を経過する日、又は、(b)「一般消費者の誤認のおそれの解消措置」をとった日のいずれか早い日までの間に、当該「課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をした」場合
→ ①の期間(課徴金対象行為をした期間)に、当該「課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間」を加えた期間

※一般消費者の誤認のおそれの解消措置(誤認解消措置)とは
事業者が、課徴金対象行為に関する表示が優良・有利誤認に該当する表示であることを、日刊新聞紙に掲載する方法等により、誤認解消するために一般消費者に周知する措置のこと。

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景品表示法への課徴金制度導入について
(平成28年 消費者庁 「景品表示法に導入される課徴金制度に関する説明会」資料)http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160129premiums_1_2.pdf
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≪参考記事≫

・DMM.comに景表法課徴金1,704万円の納付命令。返金措置認定なし(消費者庁:平成30年10月19日)
・「葛の花」機能性表示食品9社に景表法課徴金納付命令。自主的お詫び社告の影響は?(消費者庁:平成30年1月19日)
・景表法課徴金は対象売上高の3%、課徴金賦課の対象外となるケースは?(消費者庁 平成24年8月26日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。