最近「適格消費者団体」の監視の目が強まっています。
消費者庁が消費者契約法第39条第1項に基づき公表している適格消費者団体の差止め請求事案は、29年度上半期で既に11件となっています。
(前年同期では2件、28年度全体でも6件。)
本年度、景品表示法や薬機法関連で問題となった事案では、以下のようなものがあります。
・「天然植物由来成分 90%以上」。I-ne頭髪洗浄剤の強調表示と注記表示に、適格消費者団体が是正申入れ(消費者機構日本 平成29年8月1日裁判外和解)
・(合)BRONXに勝訴的和解。続く、「お試し価格からの定期購入」に対する適格消費者団体の差止請求 (京都消費者契約ネットワーク 平成29年6月2日和解)
・モイスト「定期購入」広告、適格消費者団体の指摘で改善(平成29年6月13日)
・クロレラ訴訟と消費者契約法改正の行方。「適格消費者団体」とは?
来年度以降も、適格消費者団体の活動は活発になりそうです。
消費者庁が8月に公表した平成30年度の概算要求額(一般会計と東日本大震災復興特別会計の合計)は150億4,000万円(前年比19%増)、そのうち一般会計は145億5,000万円(同20%増)となっています。そして新規事業として「消費者団体訴訟制度推進補助金(仮称)」事業に6,400万円を計上しています。
今回は、重点取り組み事項の中から、事業活動に関連する政策とその予算額をピックアップして紹介します。
注:( )内は平成 29年度予算額
●消費者志向経営の更なる推進【10百万円(8百万円)】
明治期の消費者志向経営の取組事例を調査するほか、消費者志向経営に関
する優良な取組を行う企業に対する表彰を行うなど、地域の事業者・消費
者・行政機関等と連携して消費者志向経営の更なる推進を図る。
●地方消費者行政強化交付金(仮称)【10.0億円(新規)】
従来の体制では対応できない国として解決すべき消費者行政の課題に意欲的に取り組む地方公共団体の取組を支援する。
●消費者団体訴訟制度推進補助金(仮称)【64百万円(新規)】
特定適格消費者団体が全国各地の悪質事案に対応するために必要な情報収集・分析・検討や訴訟・消費者対応といった組織体制を強化するための取組を支援する。
●インターネットからの消費者被害情報の収集・検証等【30百万円(10百万円)】
ツイッターやブログなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス上に存在する消費者被害・トラブル情報を把握し、被害拡大の防止に向けてシステムを運用する。
●公益通報者保護制度の運用に関する情報収集・調査研究【64百万円(57百万円)】
消費者の安全・安心を損なう法令違反等に対応する公益通報者保護制度の普及促進に加え、内部通報制度がコンプライアンス経営に積極的に活用されるための認証制度の普及を図るとともに、内部通報制度に係る国際動向の把握や OECD 諸国等との連携強化を図る。
●加工食品の新たな原料原産地表示制度の普及・啓発【74百万円の内数(47百万円の内数)】
加工食品の新たな原料原産地表示制度の普及・啓発のために必要な取組を行う。
●機能性表示食品制度の運用体制の強化【30百万円の内数(新規)】
機能性表示食品制度届出データベースについて、届出書類の簡素化や届出確認の迅速化等に対応するために必要な改修を行う。
●人員面では30名を求める
内訳は特商法等特別調査(大型重大事案等)担当8名、消費者団体訴訟制度推進担当3名、景表法端緒処理業務担当2名など。
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◆消費者庁 平成30年度予算概算要求について
(消費者庁:平成29年8月)
http://www.caa.go.jp/info/yosan/pdf/info_yosan_170831_0003.pdf
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