通販事業者の顧客対応トラブル相談、「悪質顧客対応」が35%(JADMA 2014年度の事業者相談件数)

2014年度に社)日本通信販売協会「通販110番」に寄せられた、通販事業者(会員、非会員)からのトラブル相談から最近の通販事業者のトラブル相談の傾向について、確認してみました。(※)

13年度は「悪質顧客対応」に関する相談件数が前年度比約4倍と大幅に増加しましたが、14年度は「顧客対応」「顧客対応以外」ともに相談件数が減少しました。

●2014年度 事業者相談件数
事業者相談件数(2014JADMA)
14年度に寄せられた相談件数は467件で前年度比10.0%の減少(2013年度519件)。
相談内容内訳では、「顧客対応」が252件で前年度比12.8%減(2013年度289件)、「顧客対応以外」が215件で前年度比6.5%減(2013年度230件)。相談比率はそれぞれ、54.0%、46.0%だった。

●顧客対応の内容(複数集計)
顧客対応内訳(2014JADMA)
「顧客対応」の相談内容合計は270件、対前年比10.9%減(2013年度303件)。
(相談内容は、複数の要素が含まれるため、複数集計)
「規定外返品・返金・その他過剰要求」と「商品二次被害補償(拡大損害)」の二項目で「顧客対応」相談全体の35.6%を占め、その1/3が化粧品使用による皮膚トラブルとなっている。

1位:「規定外返品・返金・その他過剰要求」
79件(29.3%)前年度比3.7%減(2013年度82件(27.1%))。順位は例年と変わらず。
真偽の判断が困難であったり、因果関係が不明な苦情への対応相談。
2位:「個人情報管理」
39件(14.4%)、前年度比69.6%の大幅増となった(2013年度23件(7.6%))。
例年多い、個人データの利用停止または消去を求められたときの対応以外に、個人情報開示請求(顧客からの受注・問い合わせ時の録音含む)や代理注文・問い合わせ時の本人代理確認についての相談も増えつつある。
3位:「請求・督促」
26件(9.6%)前年度比10.3%減(2013年度29件(9.6%))。
クレジットカードの不正利用によるカード会社からチャージバック要求、滞納客が氏名や電話番号を変えて申し込んでいたなど商品詐取を目的とした申込み対策、受け取り拒否の費用回収相談など。
4位:「悪質顧客対応(詐欺等を含む)」
21件(7.8%)前年度比53.3%と大幅減となった(2013年度45件(14.9%))。
後払いによる「取り込み詐欺」には注意が必要。
5位:「広告内容・表現」
4位と僅差で20件(7.4%)前年度比20.0%減(2013年度25件(8.3%))。
価格表示の桁数を少なく表示し、受注時、あるいは請求時に苦情となるケース。使用する機器の画像解像度の差異による商品の色調が異なるなどのトラブル相談。
6位:「商品二次被害補償(拡大損害)」(「規定外返品・返金・その他過剰要求」の類似項目)
17件(6.3%)、前年度比32.0%減(2013年度25件(8.3%))。
購入した製品の不具合により損害を被ったため、常識を超えた多額の賠償を求めるなどのケース。

●顧客対応以外の内容(複数集計)
顧客対応以外内訳(2014JADMA)
「顧客対応以外」の相談内容合計は237件、対前年比4.0%減。(2013年度247件)。
1位:「法規制情報」
76件(32.1%)前年度比10.1%増(2013年度69件(27.9%))。
特定商取引法の返品に関する事項の表示方法や電話勧誘販売から適用除外される「販売方法」に関する相談が多い。
2位:「広告内容・表現記載」
40件(16.9%)前年度比14.9%減(2013年度47件(19.0%))。
3位:「販売方法」
25件(10.5%)前年度比10.7%減(2013年度28件(11.4%))。

これら上位3項目については、前年と順位は変わらず。
なお、「その他」の相談が69件(会員19件、非会員50件)と32.7%増加している。非会員の中小の通販業者に対して「詐欺まがいの強引な営業行為が行われた」(27件)、「商品をだまし取られた」(14件)、「詐欺サイトに自社ホームページをコピーされた」(5件)、などが目立つ。

協会では、以下のようにコメントしています。
消費者の価値観の多様化により顧客対応方法の正解が得られにくく、マニュアル通りの対応で解決できにくくなっている。(同じ事案でも消費者の価値観によりトラブルになるケース、ならないケースもある)
ただし、顧客の主張内容が「社会通念上、許容される範囲を超えている」、または顧客の言動が「円滑な企業活動を妨げるなどの支障を生じさせており、社会通念上許されるべきものではない」場合は、毅然とした対応が必要である。

顧客が何を求めているかを注意深く聞き取り、理解する能力が求められます。
専門家に相談するのも一つの手段です。

—–
(※)
(社)日本通信販売協会 通販110番「2014年度 事業者相談件数とその概要」
(ジャドマニューズ2015年6月)
http://www.jadma.org/pdf/news/2015_06.pdf

≪過去記事≫
・通販事業者の顧客対応トラブル相談(JADMA 2013年度の事業者相談件数)

===================================
◆フィデスの広告法務コンサルティング◆
消費生活アドバイザーが、貴社の広告コンプライアンス
体制構築をサポートします。
http://compliance-ad.jp/service03/
===================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの更新情報を、ダイジェストでお届けしています。
登録はこちら
————————————————————

関連記事

  1. 困難な食品ネット販売における義務表⽰情報掲載の環境整備 (消費者庁 平…

  2. 消費者庁が後押しする事業者の「消費者志向経営」への取組

  3. 通販広告折込チラシ、商品内容不適正広告1割。その約6割が「化粧品」(J…

  4. 加工食品の原料原産地表示義務付けの経過措置期限迫る!新型コロナウイルス…

  5. 通販事業者の顧客対応トラブル相談、対前年比19.6%増。顧客対応部門の…

  6. 生活者の企業への信頼度約4割。女性は、危機発生時の対応や人材育成、ワー…

最近の記事

2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。