良品計画に景表法措置命令。リスクを最小限にする不当表示発生後の対応とは(後編)(消費者庁:平成30年4月25日)

前回の記事でお伝えした(株)良品計画のソファカバーに関する景品表示法違反(優良誤認) の措置命令について、今回は、不当表示の発生と発見後の対応を、課徴金や消費者対応の観点からさらに掘り下げて解説します。

一元管理がなされなかった表示媒体ごとの情報
違反に該当する表示媒体について、店頭ポップが159品目中153品と多数を占めつつも、商品タグが6品、カタログが2品と商品によってまちまちであり、情報の一元管理がなされていなかったことがわかります。

「綿ポリエステル変り織ソファ用カバー」表記誤りのお詫びとお知らせ
((株)良品計画HP 2018年1月9日)
https://ryohin-keikaku.jp/news/2018_0109.html

不当表示発見後の適切な対応
しかし、表示ミスに気付いてからの対応は迅速で、即座に商品の販売を停止し調査を行い、誠実な消費者への情報提供と行政への報告を行っています。
消費者への情報提供手段としては、サイトでの告知はコーポレートサイトと「無印良品」のショップサイトの両サイトのトップページから「重要なお知らせ」として告知ページへリンクが張られています。

((株)良品計画HP トップページ「重要なお知らせ」)

また、店頭でのPOP掲載、ネット購入顧客に対してメールでの個別連絡も行っています。

誤表記の告知ページでは、誤表記部分および対象商品を見分ける確認方法、該当商品の形態について画像で具体的に説明しています。


「綿ポリエステル変り織ソファ用カバー」表記誤りのお詫びとお知らせ
((株)良品計画HP 2018年1月9日)
https://ryohin-keikaku.jp/news/2018_0109.html

課徴金については、今回の優良誤認表示について、社内における表示に関する情報の確認が徹底されていたとは言えないことから、納付対象外となる「相当の注意を怠った者でない」と認められるのは難しいと考えられます。
しかし、誤表記に気付いてすぐに消費者庁への自主報告を行っていることから、課徴金額の50%減額を受けられ、返金措置の実施による課徴金額の減額も期待できそうです。

生地の仕様変更時の表示に関する社内情報伝達ミスにより、優良誤認表示と認定され措置命令を受けることとなりましたが、不当表示等が発生した場合の対処方針がしっかりとしていたことで、課徴金やブランド棄損のダメージを最小限に抑えることができるのではないでしょうか。

≪参考記事≫
・景表法課徴金は対象売上高の3%、課徴金賦課の対象外となるケースは?

・景表法改正、広告表示の適正管理のための7つのポイン+1

======================================
◆広告法務コンサルティング・社員教育◆
販促・広報戦略、商品表示・広告チェック社内体制構築等、
社外専門家としてのノウハウとサポート
詳細はこちら
======================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。

登録はこちら

————————————————————-

関連記事

  1. 通販広告折込チラシ、商品内容不適正広告1割。その約6割が「化粧品」(J…

  2. 「漏えい」だけじゃない。消費者の個人情報に関する苦情の多い「不適正な取…

  3. 医薬品ネット販売対応、濫用等のおそれがある医薬品の複数購入対応が大幅改…

  4. 4年目に入った機能性表示食品制度品質管理の課題とは(2)。届出後の分析…

  5. 拡大傾向の加工食品の輸入原材料割合。消費者の国産食材志向との乖離((株…

  6. 通販事業者の顧客対応トラブル相談、対前年比19.6%増。顧客対応部門の…

最近の記事

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。