折込チラシ、商品内容不適正広告「化粧品」が約5割、「健康食品」が約3割(JADMA「平成27年度 通販広告実態調査(新聞折込チラシ編)」)

公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)「広告適正化委員会」では、2015年に実施された新聞折込チラシの通信販売広告実態調査の結果を発表しました。(※)
この調査は、通信販売取引改善を目的に2012年度から実施されており、4回目の調査となる今回は新たに通販CMの広告調査も行っています。

まずは、新聞折込チラシ調査の内容を紹介します。

≪調査結果のポイント≫
●主要6都市、折込件数1位は札幌。全般的に件数減少
●折込件数の多い曜日は月曜日。火曜日、土曜日減少傾向
●「家電量販」のチラシが約25%を占める。「健康食品」「化粧品」も増加
●取引内容に関する不適正な広告表示は6割以上
●商品内容に関する不適正な広告表示は約25%
●商品内容不適正広告の多いエリアは東京、仙台。福岡は改善傾向
●商品内容不適正広告「化粧品」が約5割、「健康食品」が約3割

【折込チラシの折込状況】
●主要6都市、折込件数1位は札幌。全般的に件数減少

主要6都市エリア毎の折込件数は、1. 札幌(18.2%)、2.福岡(18.1%)、3. 東京(17.6%)、4. 大阪(16.7%)、5. 仙台(15.4%)、6.名古屋(14.0%)の順。全般的に折込チラシの件数が減少したが、東京は増加した。

●折込件数の多い曜日は月曜日。火曜日、土曜日減少傾向
曜日毎の折込件数は、月曜日が全体の22.6%と一番多く、次いで、火曜日の16.5%、木曜日、土曜日16.2%と続く。前回14年度、比率の高かった火曜日、土曜日の比率が減少し、折込曜日の分散化が見られる。



●「家電量販」のチラシが約25%を占める。「健康食品」「化粧品」も増加

商品分類では、「家電量販」が24.2%、「健康食品」が22.7%、「化粧品」22.5%となっている。
前回14年度との比較では、「家電量販」「化粧品」は7.1ポイント増。「食品」は、13.9ポイント低下した。

【取引内容に関する不適正広告状況】
●取引内容に関する不適正な広告表示は6割以上

取引内容に関する広告表示については、600件中384件、64.0%が各種関連法令に定める何らかの記載事項欠落していた。前回と比べると約10ポイント悪化した。
記載に不備があった事項では、「支払時期」が47.8%、「返品時の送料」34.3%「返品特約」29.7%、「商品引渡時期」25.3%と続く。「社名」「住所」の不記載は「家電量販店」等で屋号のみの住所なしの表示が多かったことによると考えられる。

【商品内容に関する不適正広告状況】
●商品内容に関する不適正な広告表示は約25%

商品内容に関する広告表示については、600件中455件、75.8%が適正表示されていた。前回と比べると3.2ポイント低下し、依然約25%が不適正な表示となっている。
「表示に関する各種法令やガイドライン等」に抵触する恐れがあるもの、または消費者に不信感を与えかねない表示がある。

●商品内容不適正広告の多いエリアは東京、仙台。福岡は改善傾向
商品内容に関する広告表示ついて、エリア別の「適していない」における割合は、1.東京(22.1%)、2. 仙台(21.4%)、3.札幌(17.9%)、4.名古屋(14.5%)5. 福岡(13.1%)、6.大阪(11.0%)の順。
前回と比べると福岡は大幅減少、逆に東京、仙台は不適正の比率が大きく上昇した。


●商品内容不適正広告「化粧品」が約5割、「健康食品」が約3割

商品内容に関する広告表示ついて、商品分類別の「適していない」における割合は、「化粧品」47.2%が最も多く、次いで「健康食品」が29.9%となっており、この二つの商品分類で全体の77.1%を占めている。

●調査結果に対するその他のコメント
今回は取引内容に関する広告表示について、個別に「限定価格」「二重価格」「お試し価格」など、価格についてWebショップと折込チラシの内容に差異がないか調査し、以下のような不適正事例が見られた。
・折込チラシには、二重価格表示で通常価格と割引価格が記載されているものの、Webショップには当該商品がないケースや、容量が異なる商品であるなど、通常価格が存在しないのではないかと思われる事例が見られた。
・折込チラシには、「お一人様1回限り初回限定価格」と記載されていたが、Webショップで複数回購入できてしまうケース、単品を通常購入する場合に「初回限定価格」と思わせるが、別途注釈で「○○コースは定期購入コース」と記載されているケースなど消費者の誤認を誘発するような表示。

商品内容に関する広告表示について、以下のような不適正事例が見られた。
・健康食品の「脂肪燃焼効果」「麹酵素」で痩せたというようなケースが依然見られた。
・依然として「シミ」「シワ」対策を訴求する化粧品の不適正広告、「洗顔石鹸」の効能効果説明の「使用前・後の比較画像」、漢方薬と誤認しかねない広告。
・効能効果を購入者自身に「個人体験談」として紹介する広告事例(体験内容が真実であるか疑問視)。
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本調査委員会では、不適正な表示を行っている通販各社に対する指導や、折込掲載新聞社への協力要請を行っています。特に「通販に関連する法令に抵触する怖れのある広告」を行った通販会社に対しては、「改善の具体策」について書面による回答を依頼し、それに対する協力姿勢がなく、違法性・悪質性があり、改善されない場合にはJADMAから関係省庁根戸へ通報するとしています。

調査報告書では、「一部不適正な表示が見られ、改善が必要な広告」「通販に関連する法令に抵触するおそれのある広告」について具体的な審査広告事例が公表されています。
次回は、個別広告事例を解説します。


通信販売取引改善のための通販広告実態調査 (2015年度調査)
(社)日本通信販売協会 JADMA NEWS
https://www.jadma.or.jp/pdf/news/2016_06.pdf

《関連記事》
・通販広告折込チラシ、不適正広告の多いエリアは福岡、業態ではメーカー系通販(JADMA「平成26年度 通販広告実態調査(新聞折込チラシ編)」)

・求められる折込チラシの通信販売広告改善、商品不適切表示は約3割(JADMA「平成25年度 通販広告実態調査(新聞折込チラシ編)」)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。