健康食品125製品のうち118製品に表示違反の疑い、ネット購入89製品はすべて対象(2025年度東京都健康食品試買調査)

東京都では、毎年、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品を販売店やインターネット通信販売で購入し、表示・広告の検査と、成分検査による医薬品成分の確認を行っています。不適正な表示・広告を行った事業者には、改善等の指導が行われます。
健康食品広告に対しては、消費者庁においても虚偽・誇大表示に対する健康増進法の規定に基づくインターネット監視が行われていますが、本試買調査では、販売店とインターネット通販での購入製品を対象としています。また、健康食品表示・広告を規制する、食品表示法、食品衛生法、健康増進法、医薬品医療機器等法、景品表示法、特定商取引法を対象法令として、包括的な指導を行っています。

本記事では、2025年度(令和7年度)の調査結果より、結果概要、違反率推移、製品群別・法令別の違反傾向、指摘された不適正表示事例を確認します。
続く会員限定記事では、5年分の調査データによる違反傾向分析、繰り返し指摘される表示・広告、東京都と消費者庁の監視との接点を解説し、実務上の留意点を整理します。

《記事内容》
●調査結果サマリー:125製品中118製品(94%)で不適正、ネット購入製品の違反率は100%
●5年間の推移:ネット販売への更なる監視強化、店舗販売の違反率上昇にも注意
●製品群別:違反最多製品は「男性機能向上」で19%、次いで「免疫力増強」、「美白、美容、美肌」、「抗糖化・エイジングケア」、「ダイエット効果」
●法令別:72%が薬機法違反で最多、次いで景表法、食品表示法(衛生事項)、特商法
●指摘された表示事例:景表法にステマ規制該当表示が登場

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令和7年度健康食品試買調査結果
健康食品の不適正な表示、広告にご注意ください
(2026.3.23 東京都保健医療局・生活文化局)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/03/2026032312
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● 調査結果サマリー:125製品中118製品(94%)で不適正、ネット購入製品の違反率は100%

表示・広告では、今回調査で購入した健康食品125製品のうち94%となる118製品で、法令違反又は違反の疑いがありました。
購入方法別では、販売店購入36製品中29製品(81%)、ネット購入89製品中89製品(100%)が不適正な表示・広告となっています。

なお、本調査は、これまでの試買調査で得られた知見を踏まえ、違反の可能性が高いと判断した製品を購入・検査したものであり、健康食品市場全体の違反率を示すものではないとしています。

図1 2025年度 購入方法別の違反製品割合(出典:東京都「令和7年度健康食品試買調査結果」別紙より作成)

医薬品成分検査では、医薬品成分又は専ら医薬品成分に該当する成分等の含有が疑われる製品が6製品発見されました。(検出成分:タダラフィル、シルデナフィル、ジクロフェナク、アシュワガンダ)

● 5年間の推移:ネット販売への更なる監視強化、店舗販売の違反率上昇にも注意

購入製品数は過去5年間において、125製品前後の一定購入数となっています。
購入製品全体の違反率は、2021年度が81%、2022年度が82%、2023年度が84%、2024年度が79%と、8割前後で推移しており、2025年度の94%は、この5年間で最高となりました。

図2 購入製品数と違反製品数の推移(全体)

購入方法別に見ると、ネット購入の製品数は過去5年間において80製品以上で推移し、2025年度は最も多い89製品に増え、購入全体の71%を占めました。
さらに、ネット購入の違反率は2021年度98%、2022年度95%、2023年度98%、2024年度89%と高い水準が続く中、2025年度は100%となりました。
他方、販売店購入の違反率は、2021年度から2024年度まで52〜59%で推移していましたが、2025年度は81%に大きく上昇しました。これは、購入数が2024年度の39製品から36製品に減り、違反製品数が22製品から29製品に増えたことによります。

本調査は、東京都が違反の可能性が高いと判断した製品を購入・検査しています。
すなわち、ネット購入製品の増加は、東京都の監視がネット販売の製品に対してより一層強まっていることを示すと考えられます。店舗販売製品に対する比重は低いものの、2025年度の違反率上昇には注意が必要です。

図3 購入製品数と違反製品数の推移(販売店・ネット別)

● 製品群別:違反最多製品は「男性機能向上」で19%、次いで「免疫力増強」、「美白、美容、美肌」、「抗糖化・エイジングケア」、「ダイエット効果」

購入数上位の製品群は、「男性機能向上」(26製品)が最多で、次いで、「免疫力増強」(16製品)、「美白・美容・美肌」と「抗糖化・エイジングケア」(15製品)、「ダイエット効果」(12製品)の順となっています。

購入方法別でみると、ネットでは、抗糖化・エイジングケア(14製品)が最多、次いで、男性機能向上と免疫力増強(各12製品)、美白・美容・美肌とダイエット効果(各10製品)が多くなっています。
販売店では、男性機能向上(14製品)が販売店購入36製品のうち39%を占め、このほか美白・美容・美肌と健康茶(各5製品)が多くなっています。

試買した125製品全体に占める違反製品の割合を製品群別に見ると、「男性機能向上」(24製品)が19%で最も高く、次いで「免疫力増強」(16製品)が13%、「美白・美容・美肌」(15製品)が12%、「抗糖化・エイジングケア」(14製品)が11%、「ダイエット効果」(11製品)が9%となっています。
違反数上位5製品群とその購入数に対する違反割合では、「男性機能向上」(24製品、92%)、「免疫力増強」(16製品、100%)、「美白・美容・美肌」(15製品、100%)、「抗糖化・エイジングケア」(14製品、93%)、「ダイエット効果」(11製品、92%)となっています。
「美白・美容・美肌」、「免疫力増強」、「骨・筋力サポート」、「女性向け」、「脳機能改善」、「育毛・発毛」、「視力回復」の7群は、購入した製品のすべてに違反等がありました。
他方、違反割合の低かった製品群は、「痛み・炎症の緩和」(6製品、67%)でした。

本調査は東京都が違反の可能性が高いと判断した製品を購入していますので、購入数の多い製品群は、注視されている製品テーマであると考えられます。

製品群全体販売店購入ネット購入
購入違反等購入違反等購入違反等
男性機能向上262414121212
免疫力増強1616441212
美白・美容・美肌1515551010
抗糖化・エイジングケア1514101414
ダイエット効果1211211010
健康茶875433
脳機能改善662244
痛み・炎症の緩和642044
骨・筋力サポート551144
視力回復550055
女性向け440044
育毛・発毛330033
その他440044
合計12511836298989
表 製品群別の購入製品数と違反等製品数(購入方法別)(出典:東京都「令和7年度健康食品試買調査結果」別紙 表1)

● 法令別:72%が薬機法違反で最多、次いで景表法、食品表示法(衛生事項)、特商法

本調査の対象法令は、健康食品表示・広告を規制する、食品表示法(品質事項・衛生事項・保健事項・その他)、食品衛生法、健康増進法、医薬品医療機器等法、景品表示法、特定商取引法です。
違反等があった118製品について、表示違反が多い法律は、医薬品医療機器等法(薬機法)が85件(72%)と突出しています。次いで、景品表示法(景表法)54件(46%)、食品表示法(衛生事項)45件(38%)、特定商取引法(特商法)42件(36%)と続きます。

法令違反件数(製品数)違反製品数(118製品)に
占める割合
医薬品医療機器等法(薬機法)8572%
景品表示法(景表法)5446%
食品表示法(衛生事項)4538%
特定商取引法(特商法)4236%
食品表示法(保健事項)3731%
食品表示法(品質事項)2219%
健康増進法98%
食品表示法(その他)87%
食品衛生法43%
表 法令別の違反又は違反の疑いがある製品数(出典:東京都「令和7年度健康食品試買調査結果」別紙 表2より作成)
※複数の法令に違反又は違反の疑いがある製品は各々計上されるため、合計は違反製品数(118製品)と一致しません。

問われる法律は製品群によって異なります。製品群ごとに、違反の多い法律を件数と割合(その製品群の違反製品数に占める割合)で示します。

製品群
(違反製品数)
違反の多い法律(件数・違反製品数に占める割合)健康増進法・食品衛生法
男性機能向上
(24製品)
薬機法 11件(46%)
景表法 10件(42%)
食品表示法(衛生事項) 9件(38%)
食品衛生法 1件(4%)
免疫力増強
(16製品)
薬機法 14件(88%)
食品表示法(保健事項) 7件(44%)
景表法 6件(38%)
特商法 6件(38%)
食品表示法(衛生事項) 6件(38%)
食品表示法(品質事項) 5件(31%)
健増法 5件(31%)
美白・美容・美肌
(15製品)
薬機法 13件(87%)
景表法 6件(40%)
特商法 6件(40%)
食品表示法(衛生事項) 6件(40%)
健増法 2件(13%)
抗糖化・エイジングケア
(14製品)
薬機法 11件(79%)
景表法 9件(64%)
特商法 8件(57%)
食品表示法(衛生事項) 5件(36%)
食品衛生法 1件(7%)
ダイエット効果
(11製品)
薬機法 6件(55%)
特商法 6件(55%)
景表法 5件(45%)
食品表示法(衛生事項) 4件(36%)
―
健康茶
(7製品)
薬機法 7件(100%)
食品表示法(衛生事項) 3件(43%)
食品表示法(その他) 3件(43%)
―
脳機能改善
(6製品)
薬機法 6件(100%)
食品表示法(保健事項) 4件(67%)
景表法 2件(33%)
特商法 2件(33%)
食品表示法(衛生事項) 2件(33%)
健増法 1件(17%)
骨・筋力サポート
(5製品)
景表法 5件(100%)
薬機法 4件(80%)
食品表示法(衛生事項) 3件(60%)
食品表示法(保健事項) 3件(60%)
食品表示法(品質事項) 2件(40%)
特商法 2件(40%)
―
視力回復
(5製品)
薬機法 4件(80%)
特商法 3件(60%)
健増法 1件(20%)
痛み・炎症の緩和
(4製品)
薬機法 4件(100%)
景表法 3件(75%)
食品表示法(保健事項) 2件(50%)
―
女性向け
(4製品)
薬機法 2件(50%)
景表法 2件(50%)
食品表示法(保健事項) 2件(50%)
食品衛生法 1件(25%)
育毛・発毛
(3製品)
薬機法 2件(67%)
食品表示法(衛生事項) 2件(67%)
景表法 1件(33%)
特商法 1件(33%)
食品表示法(保健事項) 1件(33%)
食品衛生法 1件(33%)
その他
(4製品)
景表法 3件(75%)
特商法 3件(75%)
食品表示法(衛生事項) 2件(50%)
―
表 製品群別に見た、違反の多い法律(違反製品数の30%以上を占める法律を記載。健康増進法・食品衛生法は、違反があった場合に記載)(出典:東京都「令和7年度健康食品試買調査結果」別紙 表2より作成)

いずれの製品群においても、薬機法違反の割合が高くなっています。
薬機法以外の法律では、「骨・筋力サポート」は景表法が100%、「抗糖化・エイジングケア」は景表法(64%)と特商法(57%)が多く、「ダイエット効果」は特商法が薬機法と同率の55%、景表法が45%です。「男性機能向上」は、薬機法(46%)に景表法(42%)と食品表示法(衛生事項)(38%)と適用法律が分散しています。

自社の製品群で違反が多い法律を把握し、違反傾向を踏まえた対応を講じることが重要です。

● 指摘された表示事例:景表法にステマ規制該当表示が登場

今回の調査で、法令別に違反又は違反の疑いがあるとみなされた表示事例が示されています。
各法律の規定は、製品についての不適正な表示・広告に関するものと、法令で義務付けられている表示に関するものに大別されます。
法令別事例となっていますが、紹介した以外の法令にも抵触する可能性があることに注意が必要です。

【製品についての不適正な表示・広告の事例】

健康増進法(健康保持増進効果等の虚偽誇大表示):

  • 著しく事実に相違する又は人を誤認させるおそれのある表示
    製品同封の広告における、当該製品を摂取することで、健康保持増進効果等について著しく誤認を与える表現。
    「花粉症が治まった」「血糖値が下がった」「血圧が下がった」「がんが改善」等

景品表示法:

  • 優良誤認に該当するおそれのある表示
    客観的な実証のない場合など、その商品が他社の商品よりも優れているかのように消費者の誤認を招くおそれのある表示。
    「〇〇ランキングNo.1」「ユーザー満足度98%」等
  • ステルスマーケティングに該当するおそれのある表示
    (消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であるおそれのある表示)
    以下のような表示について、事業者の表示であることが明瞭になっていなかった。
    (注記や「PR」等の表示なし)
    • 「お客様の声」等として体験談を掲載していたが、寄せられた体験談から無作為に抽出したものではなく、好意的な評価を恣意的に抽出したものだった(抽出・編集した旨の記載なし)。
    • 「広告・雑誌で取り上げられた」等と表示していたが、事業者自らが広告として掲載を依頼したものだった。

今回指摘された不適正表示では、ステルスマーケティング告示規制(2023年10月1日施行)に関する事例が新たに示されました。
サプリメントの表示に対するステマ告示による処分は、2024年度に消費者庁2件、東京都1件、直近では2026年6月に消費者庁から高光製薬(株)に出されています。

【ステマ告示による処分事例(サプリメント)】

ステマの具体的な事例は、次のガイドライン等に記載されています。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
ステルスマーケティングに関するQ&A

医薬品医療機器等法(医薬品とみなす標ぼう):

  • 疾病の治療又は予防を目的とする効能効果に該当
    「動脈硬化の予防」「生活習慣病の予防」「風邪予防」「認知症予防」「かゆみ改善」「抗アレルギー」「抗炎症」「発毛」
  • 身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果に該当
    「疲労回復」「免疫力アップ」「サーチュイン遺伝子の活性化」「血液浄化」「記憶力アップ」「細胞再活性化」

【法令で義務付けられている表示についての不適正な事例】
食品表示法(容器包装の表示):

  • 原材料と添加物が明確に区分されていなかった(食品衛生法で既存添加物とされ、添加物として表示が必要な物質を、原材料に混在して表示していた)。
  • 原料原産地が表示されていなかった(加工食品の重量順第一位の原材料に原料原産地表示がなかった)。
  • 表示が欠落していた(容器包装に一括表示がなかった)。
  • 内容量が欠落していた(一括表示中の内容量表示がなかった)。
  • 栄養成分表示が正しく表示されていなかった(「栄養成分表示」とすべきところを「栄養成分」「栄養成分表」などと表示していた。「ビタミンE配合」と補給できる旨の栄養強調表示をしているが、ビタミンEの栄養成分表示がなかった)。

特定商取引法(通信販売広告の表示):

  • 広告に表示が必要な事項が明確に表示されていなかった
    インターネット通販の広告画面に、送料、返品や解約に関する事項、事業者の正式名称や電話番号が、わかりやすく表示されていなかった。
  • 最終確認画面に表示が必要な事項が適正に表示されていなかった
    インターネット通販の最終確認画面(注文確定する画面)に、返品や解約に関する事項、商品の引渡回数や時期が、容易に確認できるように表示されていなかった。

本記事では、2025年度の試買調査結果より、東京都の直近の健康食品表示・広告に対する監視状況を確認しました。
会員限定記事ではさらに深堀し、5年分の調査データによる違反傾向分析、繰り返し指摘される表示・広告、東京都と消費者庁の監視との接点を解説し、実務上の留意点を整理します。
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。