【特商法処分】美容クリームの通販定期購入でASUNOBI・BIZMに立て続けの業務停止命令(6カ月)。「双子の事案」が示す業界への警告

2025年9月と11月、通信販売の定期購入に関する特定商取引法(特商法)の行政処分が立て続けに公表されました。

美容クリーム等を販売するASUNOBI(株)(東京都港区)と(株)BIZM(東京都品川区) および、両社の代表取締役に対して、6カ月間の業務停止(禁止)を命じました。
今回の事案では、広告画面での化粧品の効能(シワやしみ)表示に対する特商法第12条の2の規定に基づく優良誤認認定だけでなく、一回限りと見せかけて定期購入契約となる販売条件の表示に対して有利誤認と事実相違が認定されました。
また、最終確認画面においても定期購入契約となる販売条件の分かりづらい表示形式が、誤認表示とみなされました。

これら2つの事案は、処分内容、広告の構成、および行政が問題視した表現が驚くほど酷似している「双子の事案」と言えます。これは、行政が特定の悪質な広告パターンに対し、業界全体へ警告を発していることを示唆しています。

2つの事案に共通する違反認定内容を確認します。

——————————————————————————————
特定商取引法違反の通信販売業者に対する業務停止命令(6か月)及び指示並びに
当該業者の代表取締役に対する業務禁止命令(6か月)について

通信販売業者【ASUNOBI株式会社】に対する行政処分について
(消費者庁 2025年9月10日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/043486

通信販売業者【 株式会社BIZM 】に対する行政処分について
(消費者庁 2025年11月6日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/044086
——————————————————————————————


【事業概要】

処分対象事業者ASUNOBI株式会社株式会社BIZM
本店所在地東京都港区東京都品川区
取引類型通信販売
(ウェブサイト「https://purely-skin.com/」等)
通信販売(ウェブサイト「https://skin-venus.net/shop/」等)
代表者代表取締役 武藤 竜也代表取締役 大橋 颯介
設立2024年8月14日2024年11月14日

ASUNOBIおよびBIZMは、以下のとおり特定商取引法に違反する行為をしており、通信販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認定されました。

【認定した違反行為】

ASUNOBI事案BIZM事案
処分年月日2025年9月9日2025年11月5日
対象商品美容クリーム等(医薬部外品)「ピュアリースキン シルキータッチ モイスチャークリーム」美容クリーム等(医薬部外品)「スキンヴィーナス プレミアムリペアクリーム」
違反表示期間少なくとも2025年1月16日から同年2月4日までの間少なくとも2025年2月20日から同年4月8日までの間
違反条文・内容誇大広告(優良誤認)①及び②(特商法第12条)
しみ、しわに関する表示

誇大広告(有利誤認・事実相違)(特商法第12条)
初回単発購入と誤認させる定期購入表示

最終確認画面における誤認表示(特商法第12条の6第2項)
初回価格のみ強調し、定期契約を不明瞭化
誇大広告(優良誤認)
(特商法第12条)
しみに関する表示

誇大広告(有利誤認・事実相違)(特商法第12条)
初回単発購入と誤認させる定期購入表示

最終確認画面における誤認表示(特商法第12条の6第2項)
初回価格のみ強調し、定期契約を不明瞭化
処分内容業務停止命令(6か月)及び指示
代表取締役に対する業務禁止命令(6か月)
業務停止命令(6か月)及び指示
代表取締役に対する業務禁止命令(6か月)

各違反条文の両社の違反パターンを比較しました。

(1)誇大広告(優良誤認)(特定商取引法第12条)
商品の効能表示①(ASUNOBI/BIZM)
あたかも、本件商品を3日間又は7日間塗布するのみで皮膚に生じたしみを完全に消すことができるかのような表示。

【表示例:ASUNOBI/BIZM】

(消費者庁公表資料より引用)

【ASUNOBI、BIZM共通の違反指摘表記】
・「誰でも確実に7日でシミが完全消滅」との表示、「シミに塗るだけで シミが完全消滅」との文言の付された女性の動画
・「シミが一瞬で…」との文言の付された女性の動画、「見事にシミが消滅!」との文言の付された女性の画像
・「あんなに何を使ってもダメだったシミが1週間で消え去りました…」との表示、「週間でシミが完全消滅」との文言の付された女性の画像
・「だから、私が10年以上悩んできた顔の大きな濃いシミも… あまりにもきれいにシミが消えてしまったので」との表示、「3日後」との文言が付された肌の画像
・「だから、今まで何を使っても消えなかった根深いシミが…」との表示、「濃くて根深いシミも… 3日で完全消滅!」との文言の付された女性の画像
・「実際に使ってみると… なんと…シミが見事に消えてる!!」との表示、「そのまま1週間使い続けたら… シミ一つない綺麗な肌が爆誕してしまいました…!!」との表示
・「シミに塗ってみると… 見事に消えた!」との文言の付された、本件商品を塗布した後に拭き取っている女性の動画

商品の効能表示②(ASUNOBI)
あたかも、本件商品を塗布するのみで、性別や年齢等に関係なく3日間で皮膚に生じたしわを消すことができるかのような表示。

【表示例】ASUNOBI

(消費者庁公表資料より引用)

【違反指摘表記】
・「3日でシワ消えるわよ「塗るボトックス」」との表示、本件商品の使用後1日目から3日目までの経過を示した一連の画像
・「3日塗るだけでシワがピーンと伸びるんです!」との表示
・「目元のシワも」、「おでこのシワも」及び「ほうれい線も」との文言が付された男性の顔面の一連の画像
・「早速3日間塗り続けたら… 3日でシワがピーン!」との表示、当該文言の間にある本件商品の使用後1日目から3日目までの経過を示した一連の男性の画像

消費者庁は、ASUNOBIとBIZMに対し、特定商取引法第12条の2の規定に基づき当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されましたが、その資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められませんでした。

(2)誇大広告(有利誤認・事実相違)(特定商取引法第12条)
商品の販売条件表示(ASUNOBI/BIZM)
あたかも、本件商品の販売条件が、1,980円(税込2,178円)のみを支払うことによって商品1本を購入することができ、2本目以降の購入を義務付けられるなどの契約上の制約がないかのような表示。

【表示例:ASUNOBI/BIZM】

(消費者庁公表資料より引用)

【ASUNOBI、BIZM共通の違反指摘表記】
・「たった1,980円で2万円以上の高級シミケアを使えるなんて…」
・「赤字覚悟キャンペーン」
・「お得すぎて、なにか裏があるんじゃ?と疑ったんですが…安心の購入回数の縛りなしでした」
・「詐欺広告にありがちな「最低○回は購入してください」という『購入回数のお約束なし』」「1人1回限り」、「通常価格21,890円(税込) 特別価格1,980円(税抜)」
 ※通常価格表示は、ASUNOBI事案は21,890円(税込)、BIZM事案は22,110円(税込)
・「今ならたった1980円で本来の透明肌に戻れる」
・「1回限り解約不要 追加料金一切なし 本日限定 80%OFFでプレゼント」、「1回限り解約不要 1本でシミを消したい人におすすめです!」、
・「初回限定 高級ファンデ無料 クーポン適用で1,980円 最安値で申し込む!」
などと表示。

(3)最終確認画面における誤認表示(特定商取引法第12条の6第2項)
あたかも、本件商品の販売条件が、1,980円(税込2,178円)のみを支払うことによって商品1本を購入することができ、2本目以降の購入を義務付けられるなどの契約上の制約が課せられることがないものであるかのような表示。

【表示例:ASUNOBI/BIZM】

(消費者庁公表資料より引用)

【ASUNOBI、BIZM共通の違反指摘表記】
前記(2)の広告内の以下のように表示されたボタンを押下。
「初回限定 高級ファンデ無料 クーポン適用で1,980円 最安値で申し込む!」

自動的に遷移するチャットボットページ内の定期購入契約の最終確認画面において、
「スペシャル1000円OFFクーポンつき! セットでお得!! 当ページ限定特別価格で今すぐ最安値で申し込む!(ASUNOBI)もしくは、「特別価格1,980円 最安値で申し込む」(BIZM)等と表示された申込ボタンの直上に、
本件定期購入契約の販売条件のうち、最初に引き渡す商品の販売価格等(1,980円)のみを分離して強調する形式で表示。

実際:
(2)の広告から自動的に遷移するチャットボットページおよび、(3)の最終確認画面の申込ボタンを押下することにより申し込むことができる定期購入契約の内容は、
2回目以降のお届け予定日の15日前の期限までに所定の方法に従った解除の連絡をしなければ、期限の定めのない定期購入契約であった。
当該契約を締結した者は、2回分の商品4本の対価として合計2万円以上を支払うか、最低でも商品1本の対価として合計1万円以上を支払いうこととされており、1,980円(税込2,178円)のみを支払うことによって商品1本を購入することはできなかった。

定期購入契約内容:
・2回目以降の商品(1回当たり本件商品3本)の対価(1回当たり税込19,833円(ASUNOBI)、もしくは税込19,965円BIZM))の支払いを順次義務付けられ続ける期限の定めのない定期購入契約。
・2回目の商品を購入せずに解除をする場合には、税込10,945円ASUNOBI)もしくは、税込11,055円(BIZM))の支払いが義務付けられるなどの契約上の制約が課される。

【処分の内容】
(1)業務停止命令
内容:
ASUNOBI、BIZMが行う通信販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
 1)通信販売に関する商品の販売条件について広告を行うこと。
 2)通信販売に関する商品の売買契約の申込みを受けること。
 3)通信販売に関する商品の売買契約を締結すること。

期間:
ASUNOBI :2025年9月10日から2026年3月9日まで(6か月間)
BIZM :2025年11月6日から2026年5月5日まで(6か月間)

業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続きを行うこととなっています。

(2)指示
1.前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む。)して、これを同社の役員及び従業員に、業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
2.両社との間で本件売買契約を締結した全ての相手方ASUNOBI:2025年1月10日から2025年9月9日までの間、BIZM:2025年2月20日から2025年11月5日までの間)に対し、消費者庁のウェブサイトに掲載される、業務停止命令及び本指示をした旨を公表する公表資料を添付して、文書により通知し(ASUNOBI:2025年10月9日までに、BIZM:2025年12月5日までに)、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛てに文書により報告すること。
(契約の相手方に発送する予定の通知書面の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ消費者庁長官宛てに文書により報告し承認を得ること。)
3.誇大広告の内容を消費者に周知すること。
4.今後、両社が行う通信販売について、特定商取引法の各規定を遵守すること。

上記指示に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金、又はこれを併科、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金が課せられます。

また、本件では、ASUNOBIの代表取締役 武藤 竜也とBIZMの代表取締役 大橋 颯介に対して、同社が命ぜられた業務停止の範囲内の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を6か月間禁じる処分が下っています。
※武藤 竜也は、ASUNOBIの代表取締役、大橋 颯介は、BIZMの代表取締役であり、かつ、両社が停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。

上記指示に違反した者には、個人は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金が科せられます。

今後も続く、定期購入への厳格な法執行

違反認定された両社の広告の構成が極めて酷似していることは明確です。

両社はいずれも2024年に設立された新しい会社であり(ASUNOBI設立:2024年8月14日/BIZM設立:2024年11月14日)、設立時期が近く、違反表示期間もASUNOBIが2025年1月16日から同年2月4日までの間、BIZMが2025年2月20日から同年4月8日までの間と近接した時期となっています。
消費者庁では、同様の手口を使っていたASUNOBIとBIZMに対して並行して調査を行ったとしています。

特に、BIZMにはPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された相談が同社設立から2025年9月末までの約10カ月間で4,536件、全国45都道府県から寄せられていました。
消費者被害の大きさが深刻な特商法処分につながっています。定期購入においては、単なる広告表現の違反(景表法)ではなく、取引の公正性を問う特商法違反となることで、業務停止という最も重い罰則が課されることになります。

沈静化する兆しの見えない通販定期購入による消費者被害を背景に、2024年度以降、美・健商材通販定期購入に対する特商法第12条(誇大広告)と第12条の6(最終確認画面の表示義務)をセットで適用する法執行は、今後も厳格に続くと予想されます。
通販事業者は、自社の広告および購入フローが特商法の各規定、特に定期購入のルールを厳格に遵守しているか、改めて総点検することが強く求められます。

【参考】特定商取引法のポイントについては、以下の記事で解説しています。
(会員限定コンテンツです。会員登録(無料)はこちらから

≪参考記事≫

・改正特商法対応急務、「最終確認画面」の義務表示事項と定期購入での禁止表示のポイント(2022年6月1日施行)

・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの更新情報を、ダイジェストでお届けしています。
登録はこちら
————————————————————

===================================
◆フィデスの広告法務コンサルティング◆
消費生活アドバイザーが、貴社の広告コンプライアンス
体制構築をサポートします。
詳細はこちら
===================================

===================================
◆フィデスの美・健広告法務オンライン講座◆
法律を「知っている」から、実務で「判断」「活用」
できるコンプライアンス対応力向上を図ります。
詳細はこちら
===================================

関連記事

  1. 二重価格表示の適法の工夫とは。パソコン通販サードウェーブ、二重価格表示…

  2. 「妊活」サプリ、ゼネラルリンクに景表法措置命令 ステマランキングサイト…

  3. 全国初!大阪府が産経新聞社の高額景品に景表法措置命令。都道府県による処…

  4. アフィリエイトサイトの表示も規制対象!ブレインハーツの通販サイトに景表…

  5. 痩身系健康茶、ティーライフ(株)に対し景表法措置命令。体験談広告の問題…

  6. 「塚田農場」運営元「地鶏」メニューに景表法課徴金納付命令。払い戻し対応…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

最近の記事

2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。