改正景表法、有利誤認で3例目の確約計画認定。ビッグローブの期間限定キャンペーン表示 (消費者庁:2025年9月26日)

消費者庁は2025年9月26日に、インターネット接続サービスを提供するビッグローブ(株)(東京都品川区)に対し、景品表示法第31条第3項の規定に基づく確約計画の認定(※1)を行いました。

今回認定を受けた確約計画における違反被疑行為は、期間限定キャンペーン表示による有利誤認表示の疑いです。この事案は、有利誤認としては3件目となる確約計画認定事例です。

(※1)確約計画認定とは
優良誤認表示等の違反被疑行為をした事業者が自主的に是正措置計画を申請し、内閣総理大臣(消費者庁長官)から認定を受けるもの。
制度のメリット:
認定を受けたときは、措置命令及び課徴金納付命令の適用を受けないこととすることで、迅速に問題を改善する制度。(改正景品表示法(2024年10月1日施行)により導入)
公表義務:
法運用の透明性及び事業者の予見可能性を確保する観点から、認定した確約計画の概要、違反被疑行為の概要、認定を受けた事業者名等は公表される。
(ただし、公表される際には、『景表法に違反したと認定したものではない』旨が明記される。)

消費者庁の公表資料に基づき、違反被疑行為の概要と認定された確約計画の概要を確認します。

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ビッグローブ株式会社から申請があった確約計画の認定について
 (消費者庁:2025年9月26日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/043650
———-


【違反被疑行為の概要】
対象役務:
「BIGLOBE光 auひかり」、「ビッグローブ光」と称する光回線を用いたインターネット接続サービス

表示媒体:
自社ウェブサイト

表示期間・内容:
(1)「BIGLOBE光 auひかり」:2021年9月1日から2024年9月30日
例えば、「公式として過去最高額」、「特典総額最大 戸建て126,000円」、「特典総額最大 マンション114,000円」、「さらに設置工事費 実質0円」、「対象期間:2024年8月1日~2024年9月30日 ※継続実施の場合あり」等と表示。
(2)「ビッグローブ光」:2021年10月1日から2024年9月30日
例えば、「開催中のキャンペーン情報」、「ビッグローブ光 新規&乗り換え特典」、「期間 2024年8月1日~2024年9月30日 ※継続実施する場合あり」等と表示。

あたかも、表示されている期間内に本件サービスの提供を申し込んだ場合に限り、ウェブサイトにおいて表示されているキャンペーンの各種特典の適用を受けることができるかのような表示していた。

実際には、表示していた期間後(例えば、対象期間が2024年8月1日から同年9月30日の場合は、2024年10月1日以降)に本件サービスの提供を申し込んだ場合も、同種又は類似キャンペーンの各種特典の適用を受けることができた。

【表示例】

(消費者庁発表資料より抜粋)

【違反する疑いのあった法令の条項】
景品表示法第5条第2号(有利誤認)

【確約計画の概要】
ビッグローブが策定し、認定を受けた確約計画の主な内容は以下の通りです。
1)本違反被疑行為を既に行っていないことを確認する旨及び、本違反被疑行為と同様の行為を行わない旨を取締役会で決議すること
2)本行為の内容について一般消費者に周知徹底すること
3)本行為及び同種の行為が再び行われることを防止するための各種措置を講じること
4)本行為を行っていた各期間に、自社ウェブサイトから又は自社ウェブサイトに示された電話番号から本件サービスを申し込んだ一般消費者に対し、支払われた額の一部を返金すること。
5)1)~4)の措置の履行状況を消費者庁に報告すること

確約計画の2つの認定要件「十分性」と「確実性」

確約計画が認定されるためには、「措置内容の十分性」「措置実施の確実性」を満たす必要があります。
●措置内容の十分性
違反被疑行為及びその影響を是正するために、十分な措置が講じられているかが判断されます。
少なくとも、類似事案の措置命令等で命じられているのと同等の措置を講ずる必要があり、上記確約計画の1)~3)が該当します。
加えて、措置内容の十分性を満たすための「有益な措置」として、一般消費者への被害回復は、確約計画認定を受ける上で重要な事情として考慮されます。上記確約計画の4)が該当します。

●措置実施の確実性
確約措置が実施期限内に確実に実施されると見込まれるか否かが判断されます。
必要な措置として、履行状況の報告があり、ビッグローブ事案において認定された確約計画では、措置の内容ごとに実施期限を設けていること、また、1)~4)の措置の履行状況を消費者庁に報告することが盛り込まれて、認定されています。

確約計画認定の過去事例

本件は、景表法改正後に導入された確約計画制度において、有利誤認としては3件目の認定事例となりました。

いずれの事案も違反被疑表示を行っていた期間が3年以上と長期にわたっている点が共通しています。
これは、キャンペーンの企画と実施に関する管理体制の不備が、長期的な違反被疑行為につながるリスクを示唆しています。

《参考記事》
・改正景表法、初の確約計画認定。パーソナルジム運営caname、期間限定キャンペーン表示 (消費者庁:2025年2月26日)

・改正景表法、LAVA International に2例目の確約計画認定。エステサロンのステマと二重価格表示 (消費者庁:2025年8月28日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。