美容クリームの通販定期購入でVERIFYに特商法業務停止命令(6カ月)。誇大広告はシワ・シミ改善効能の優良誤認と販売条件の事実相違を違反認定 (消費者庁 2024年12月23日)

通販定期購入に対する、特定商取引法の誇大広告(12条)+最終確認画面の表示義務違反(12条の6第1項)を適用条項とした法執行です。
消費者庁は、2024年12月20日、美容クリーム等を販売する通信販売業者である(株)VERIFY(本店所在地:東京都目黒区)と同社の代表取締役 梶 充輝に対しに対して、特定商取引法違反で6カ月間の業務停止(禁止)を命じました。

今回の事案では、第12条の誇大広告について、化粧品の効能(シワやしみ)に対する第12条の2の規定に基づく優良誤認認定だけでなく、一回限りと見せかけて定期購入契約となる販売条件の表示に対して「事実相違」が認定されました。

消費者庁によると、これまでにPIO-NETに登録された同社に関する消費者相談件数は、令和6年度で3850件に上るということです。
内訳は、性別では男性796件、3035件、無回答19件。年代では最も多いのが60代1449件、50代1238件。60代、50代の女性の被害が多くなっています。
金額では、契約金額は約16,000円、既払い金額で約2,400円となっています。

処分の内容について確認します。

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通信販売業者【 株式会社VERIFY 】に対する行政処分について
特定商取引法違反の通信販売業者に対する業務停止命令(6か月)及び指示並びに
当該業者の代表取締役に対する業務禁止命令(6か月)について
(消費者庁 2024年12月23日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/040490
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【事業概要】
処分対象事業者:株式会社VERIFY(本店所在地:東京都目黒区)
取扱商品:「白雪若肌 スノースキン ラグジュアリークリーム」と称する美容クリーム等
取引類型:通信販売 自社が運営するウェブサイト「https://shirayuki-wakahada.com/shop
代表者:代表取締役 梶 充輝

【認定した違反行為】
同社は、次のとおり、特定商取引法の規定に違反する行為をしており、通通信販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認められた。

(1)誇大広告(優良誤認)(特定商取引法第12条)
少なくとも2024年7月23日から同年7月29日までの間、本件商品の効能について以下の広告をしていた。
あたかも、本件商品を塗布するのみで即座にしわ及びしみを消すことができるかのような表示。
本件商品の使用前後の顔面の画像とともに
(1)「\年齢・遺伝関係なし/塗るだけでシワがピーンッ!!」
(2)「本当に塗るだけで顔のシワが完全に消えた!?んです!!」
(3)「白雪若肌がどんなシワでも塗るだけで無くせる理由…」
(4)「だから塗るだけでシワがスーッと消えるんです!」
(5)「シミの原因となるメラニンを溶かしてくれるので…塗るだけでシミ完全消滅!?」
(6)「塗ったらすぐにシワとシミが消えるから」

消費者庁は、VERIFYに対し、特定商取引法第12条の2の規定に基づき当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。
しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
よって、商品の効能につき、実際のものよりも著しく優良であると人を誤認させるような表示に該当するものとみなされる。

【表示例】本件商品の効能に関する表示(1)

(消費者庁公表資料より引用)

(2)誇大広告(事実相違)(特定商取引法第12条)
少なくとも2024年7月23日から同年7月29日までの間、本件商品の販売条件について以下の広告をしていた。
「一回限り 解約不要 1,980円」などと表示することにより、あたかも、本件商品の販売条件が定期購入契約ではないかのような表示。
しかし、当該広告から遷移する本件商品のランディングページ及びチャットボットページから申し込むことができる契約は、定期購入契約であった。

【表示例】本件商品の販売条件に関する表示

(3)最終確認画面における表示義務違反(特定商取引法第12条の6第1項)
少なくとも2024年7月23日から同年7月29日までの間、
チャットボットページ上における定期購入契約の最終確認画面上において、定期購入契約に基づいて販売する商品の分量、販売価格、代金の支払の時期及び方法、引渡時期、定期購入契約の解除の条件及び方法を明示していなかった。

【表示例】定期購契約の最終確認画面

(消費者庁公表資料より引用)

「ご注文を確定する」ボタンを押した後、VERIFYから送信されたメール

(消費者庁公表資料より引用)

【処分の内容】
(1)業務停止命令
内容:
通信販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
 1)VERIFYが行う通信販売に関する商品の販売条件について広告を行うこと。
 2)VERIFYが行う通信販売に関する商品の売買契約の申込みを受けること。
 3)VERIFYが行う通信販売に関する商品の売買契約を締結すること。
期間:
 2024年12月21日から2025年6月20日まで(6か月間)

業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続きを行うこととなっています。

(2)指示
1.前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む。)して、これを同社の役員及び従業員に、業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
2.2024年6月23日から2024年12月20日までの間にVERIFYとの間で本件売買契約を締結した全ての相手方に対し、消費者庁のウェブサイトに掲載される、業務停止命令及び本指示をした旨を公表する公表資料を添付して、2025年1月20日までに文書により通知し、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛てに文書により報告すること。
3.誇大広告の内容を消費者に周知すること。
4.今後、VERIFYが行う通信販売について、特定商取引法の各規定を遵守すること。

上記指示に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金、又はこれを併科、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金が課せられます。

また、本件では、VERIFYの代表取締役 梶 充輝に対して、同社が命ぜられた業務停止の範囲内の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を6か月間禁じる処分が下っています。
※梶は、VERIFYの代表取締役であり、かつ、同社が停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。

上記指示に違反した者には、個人は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金が科せられます。

続く、誇大広告(12条)+最終確認画面の表示義務違反(12条の6第1項)による法執行

2024年3月15日の(株)サン(健康食品)、4月9日の(株)オルリンクス製薬(健康食品)、4月18日の(株)HAL(電子たばこ)、10月4日(株)SUNSIRI(美容クリーム)、10月16日(株)HappyLifeBio(美容液)に続き、今回で6事案目となります。

《処分事例記事》

・美容液のシミ改善効果+通販定期購入でHappyLifeBioに特商法業務停止命令(9カ月)。続く、誇大広告+最終確認画面の表示義務違反による法執行 (消費者庁 2024年10月16日)

・特商法でも不実証広告規制による違反認定。美容クリームのシミ・しわ改善効果+通販定期購入でSUNSIRIに特商法業務停止命令(3カ月) (消費者庁 2024年10月4日)

・電子たばこのネット通販定期購入(株)HALに特商法業務停止命令(3カ月)。「メーカー希望小売価格」に誇大広告認定 (消費者庁 2024年4月18日)

・定期購入契約が容易に解約できるかのような表示。ネット通販定期購入オルリンクス製薬に特商法業務停止命令(3カ月) (消費者庁 2024年4月10日)

・No.1不当表示、特商法の通信販売規制でも。法改正後2件目の処分、ネット通販定期購入(株)サンに業務停止命令(3カ月) (消費者庁 2024年3月15日)

通販定期購入による消費者被害が沈静化するまで、誇大広告(12条)+最終確認画面の表示義務違反(12条の6第1項)による法執行は続くことが予測されます。

特定商取引法のポイントについて、以下の記事で解説しています。
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≪参考記事≫

・改正特商法対応急務、「最終確認画面」の義務表示事項と定期購入での禁止表示のポイント(2022年6月1日施行)

・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)

・特商法改正後初の処分。ネット通販定期購入(株)LITに特商法による業務停止命令(6カ月)。積極的な消費者被害救済の指示も(消費者庁 2023年6月28日)

・ネット通販定期購入(株)BIZENTOに特商法による業務停止命令(3カ月)。「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン(案)」のパブコメ開始(東北経済産業局 2021年11月25日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。