東京都は、令和5年度に実施したインターネット広告監視の結果を公表しました。(※1)
景品表示法に違反するおそれのある不当表示の修正・削除等を、通販事業者に対し改善指導等を行っています。
この監視は平成21年度から実施されており、インターネット通販サイトの広告・表示について年間を通し継続的に調査しています。監視事業が開始された平成21年度と22年度の監視件数は2万件でしたが、その後令和4年度まで24,000件が継続されていたところ、令和5年度は16,000件に監視規模を縮小しています。
(※1)
令和5年度インターネット広告表示監視事業実施報告(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/hyoji/keihyo/20240718.html
不当表示改善指導件数は156件、指導事業者数は153事業者
改善指導件数が今回は156件(153事業者)となりました。監視件数の母数が16,000件に対して指導件数は0.98%となります。
前年度は218件(205事業者)で、監視件数の母数が24,000件に対して指導件数は0.91%となり、指導広告の発現状況には大きな変動は見られませんでした。
主な商品・サービスでは、健康食品で64件、化粧品で39件、雑貨で30件の広告に改善指導が行われています。
指導内容の内訳では、「優良誤認」は150件(前年度216件)で、主な商品・サービスは、健康食品、化粧品、雑貨(※2)等。「有利誤認」は26件(前年度17件)で、主な商品・サービスは、健康食品、化粧品、雑貨等。「過大な景品類の提供」が0件(前年度0件)でした。
(※2)
雑貨 美顔器、家庭用EMS機器、ウェアラブルデバイスなど
【インターネット広告監視結果(件数)】
【商品・サービス別指導件数】
【不当表示例と問題点】
健康食品:
表示例:この健康食品を摂取することで、運動や食事制限をすることなく、容易に痩身効果を得られるかのように表示
・「飲むだけで脂の吸収を抑え簡単ダイエット」
・「寝る前に飲むだけ」「運動・食事制限なし!」
⇒表示の裏付けとなる合理的な根拠を有していないおそれ。(優良誤認のおそれ)
雑貨:
【美顔器】
表示例:この商品を使用することで、容易に若返り等の強力な美容効果を得られるかのように表示
・「毎回5分~6分くらい使うだけ」「損傷した細胞の修復を促進」「若顔に戻します」
【家庭用EMS機器】
表示例:この商品を使用するだけで、顕著な痩身効果 を得られるかのように表示
・「目に見える痩せ効果」「脂肪を燃焼します」
【ウェアラブルデバイス】
表示例:この商品を使用することで、容易に睡眠不足を改善することができるかのように表示
・「睡眠を誘発するホルモンを生成」「睡眠不足を解決に導きます」
⇒表示の裏付けとなる合理的な根拠を有していないおそれ。(優良誤認のおそれ)
化粧品:
表示例:この化粧品を使用することで、容易に若返り等の強力な美容効果を得られるかのように表示
・「たった1分で、驚きの美白体験」
・「目の下やフェイスラインのたるみを引き上げます」・「マイナス10歳以上のお肌になれます」との体験談
⇒表示の裏付けとなる合理的な根拠を有していないおそれ。(優良誤認のおそれ)
商品・サービス全般:
表示例:競争事業者のものよりも高い評価を得ているかのように表示
・「お客様満足度No.1」
・「No.1ランキング6冠達成!」
・「顧客満足度99.7%達成!」
⇒主張する内容が客観的に実証されて いないおそれ(優良誤認のおそれ)
表示例:期間限定の特別価格であり、今申し込めばお得であるかのように表示
・「期間限定キャンペーン!割引クーポンのご案内!」
・「【期間限定】○月○日まで!○○%OFF」
⇒期間の明示がなかったり、キャンペーン期限が延長されるなど継続して実施されているおそれ(有利誤認のおそれ)
SNS等に表示される不当なネット広告への監視対応力を強化
都は、令和6年度の広告表示監視では、SNS等において表示される広告について新たに監視事業の対象とするとしています。
令和5年7月には、「東京デジタルCATS (Clean Advertising Team of Specialists)」と命名した弁護士やWEB広告専門家等による外部の専門家から助言を得る制度を導入し、SNS広告への調査方法等について専門的な見地からの助言を受ける取り組みを行っています。
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不当なインターネット広告への対応力を強化します!
– 「東京デジタルCATS」始動! –
(東京都 2023年8月25日)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/hyoji/cats/
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東京都の虚偽・誇大等の不当な広告表示の適正化への取り組み
また、都ではホームページ上で悪質商法、誇大広告、架空請求に関する都民からの通報を受け付け、悪質事業者の処分・指導や都民への注意喚起等を行っています。
令和5年度の「誇大広告」通報件数は211件でした。
インターネット広告・SNS広告についての通報が190件で、9割を占めています。
主な通報内容は、優良誤認が128件、有利誤認が63件、過大景品が3件、指定告示※に関する通報が5件。
※指定告示:おとり広告や原産国に関する不当な表示など、消費者に誤認させるおそれがあるとして、内閣総理大臣が特に指定(告示)している表示
《指導につながった主な通報事例》
・アクセサリーを着けるだけで、健康効果を得られるかのようにうたっているが、本当かどうか疑わしい。
・清涼飲料水で、美容や健康効果をうたっているが、科学的根拠がなさそうだ。
・「化学合成物質不使用」とある化粧品だが、界面活性剤が使用されているようだ。
・鍼灸施術による高い妊娠率をうたっているが、本当かどうか疑わしい。
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東京都 悪質事業者通報サイトの通報概要(令和5年度)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/tsuho/kekka/2023.html
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健康食品においては、毎年、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品の試買調査(販売店、インターネット通信販売)を行い、不適正な表示・広告を行った事業者に対し改善指導を行っています。
・健康食品125製品のうち105製品に表示違反の疑い(2023年度東京都健康食品試買調査)
以下に、価格表示に関する景品表示法の解説記事をまとめました。
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