消費生活の心がけ「表示や説明の確認」74%、「個人情報管理」57%。約9割が個人情報漏えい不安 (平成25年度 消費者意識基本調査)

消費者庁が6月に公表した「平成25年度消費者意識基本調査」(※)から、消費者の消費生活での意識や行動、各媒体(ネット、カタログ、TV)での通販利用、個人情報の提供に対する意識をピックアップしました。

●商品・サービス選定、「CSR」「広告」「特典(ポイントカード、景品等)」への意識低い
商品やサービスを選ぶときに意識することについて、「よく意識する(『常に意識する』+『よく意識する』)」の割合でみた。
上位項目は「価格」(93.0%)、「機能」(90.9%)、「安全性」(82.3%)の順となっており、他の8項目に比べて格段に高くなっている。
中位項目は、「評判」(59.6%)、「購入(利用)時の説明や対応等の接客態度」(56.0%)、「苦情や要望に対する対応」(44.8%)。
下位項目は、「経営方針や理念、社会貢献活動」(18.5%)、「広告」(34.8%)、「特典(ポイントカード、景品等)」(36.4%)「商品やサービスが環境に及ぼす影響」(37.4%)、「ブランドイメージ」(40.3%)となっている。

●心掛ける行動、高いのは「表示や説明の確認」「個人情報管理」、低いのは「トラブル対処の準備」「事業者への申立て」
消費者として心掛けている行動について、「心掛けている(『かなり心掛けている』+『ある程度心掛けている』)の割合が高いのは、「表示や説明を十分確認し、その内容を理解した上で商品やサービスを選択する」(73.7%)、「個人情報の管理について理解し、適切な行動をとる」(56.7%)、「環境に配慮した商品やサービスを選択する」(47.9%)の順となっている。
一方、「心掛けていない(『あまり心掛けていない』+『ほとんど・全く心掛けていない』)」の割合が高いのは、「トラブルに備えて、対処方法をあらかじめ準備・確認しておく」(33.3%)、
「商品やサービスについて問題があれば、事業者に申立てを行う」(25.5%)、「ライフステージや経済状況の変化等、将来を見通した生活設計を考える」(25.3%)の順となっている。

●この1年間に利用した販売形態、ネット通販43.9%、カタログ37.3%、TV12.7%
1年間に商品を購入、サービスを利用する際に、訪問販売、カタログ通販、電話勧誘による販売、インターネット通販、テレビショッピングの各販売形態を「利用した」人の割合は、「インターネット通販」(43.9%)、「カタログ通販(広告、チラシ、ダイレクトメール等による通信販売を含む)」(37.3%)、「テレビショッピング」(12.7%)の順となっている。
一方、「利用しなかった」人の割合が高いのは、「電話勧誘による販売(事業者から電話がかかってきた場合)」「訪問販売(キャッチセールス・アポイントメントセールスを含む)」で約98%となっている。


●利用理由、ネット通販は「利便性」「品ぞろえ」「安さ」、カタログは「慣れ」、TVは「詳細な説明」が支持されている

各販売形態を利用した人の利用理由を比較してみます。
ネット通販では、「営業時間を気にせず買い物ができる」が1位で66.9%。同項目について、カタログ通販では2位44.6%、TVショッピングでは3位34.3%となっている。ネット通販で2位は「品ぞろえが豊富、その販売形態でしか買えない商品がある」で61.0%。カタログ通販では1位51.9%、TVショッピングでは1位47.4%となっている。ネット通販の3位は「安い」で58.1%。カタログ通販では5位31.0%、TVショッピングでは4位30.6%となっている。
カタログ通販では「以前から利用していて便利だから」(44.5%)が3位。TVショッピングでは「商品の詳細な説明を知ることができるから」(42.0%)が2位に挙がっており、各媒体の特性が表れている。

●個人情報の提供、約9割が漏えいや目的外利用に不安。利便性に対しては約半数が否定的
自分の個人情報を事業者に提供することについて、
「そう思う(『そう思う』+『どちらかといえばそう思う』)」の割合を高いのは、「自分の個人情報が第三者に漏えいしないか心配である」が88.6%と最も高く、次に「自分の個人情報を事業者が利用目的外で勝手に利用しないか心配である」(87.8%)、「商品に欠陥等問題があった場合、メーカー・販売者等から連絡をもらえる等サポートが受けられる」(61.8%)の順となっている。
一方、「そう思わない(『どちらかといえばそう思わない』+『そう思わない』)」の割合が高いのは「取引がスムーズになる、自分に必要な商品・サービスを勧められる等、利便性が向上する」(52.9%)と最も高く、次に「自分を含む購入者・利用者の情報が蓄積されることで、より良い商品・サービスの提供につながる」(52.8%)、「割引クーポンやポイント等による経済的なメリットが得られる」(42.4%)の順となっている。

消費生活において、「経営方針や理念、社会貢献活動」「商品やサービスが環境に及ぼす影響」「トラブルに備えて、対処方法をあらかじめ準備・確認しておく」といった、社会的・長期的視野での消費者意識が相対的に低いことが、ひいては消費者トラブルにつながるのでは、と考えます。

(※)
消費者意識基本調査(消費者庁 平成25年度実施)http://www.caa.go.jp/adjustments/index_16.html
調 査 項 目
(1)消費生活における意識や行動
(2)消費者事故・トラブル
(3)消費者政策への評価
(4)消費者教育
(5)個人情報
調査対象
母集団:全国の満 15 歳以上の日本国籍を有する者
標本数:10,000 人
地点数:400 地点(376 市区町村)
抽出法:層化2段無作為抽出法
有効回収数(率): 6,528 人(65.3%)
調査時期  平成 26 年 1 月 16 日~2 月 9 日
調査方法  訪問留置・訪問回収法

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。