行動ターゲティング広告の普及、発展には利用者理解・支持が必要条件

前回、SNSの消費者トラブルと行動ターゲティング広告特性について取り上げました。

今回は、関連情報として2009年に総務省が発表した「行動ターゲティング広告の経済効果と利用者保護に関する調査研究 報告書」(※)から、利用者保護に関するポイントを紹介します。

行動ターゲティング広告とは:
広告の対象となる顧客のWeb サイトの検索や閲覧などの行動履歴を元に、顧客の興味関心を推測し、ターゲットを絞ってインターネット広告配信を行う手法。

行動ターゲティング広告仕組み

行動ターゲティング広告は、広告媒体として高い広告効果が注目されており、広告市場も拡大しています。
行動ターゲティング広告市場
※2回クリックすると拡大します。

・マイクロアド、行動ターゲティング広告の市場規模を発表 2010年の行動ターゲティング広告市場は225億円、2015年には900億円突破と予測
(株式会社マイクロアド 2011年08月15日)

このような中、行動ターゲティング広告を巡る懸念点として、個人識別情報と紐付けられた行動履歴が漏洩し、プライバシーが損なわれる懸念などが指摘されています。

インターネット利用者アンケートでは、自分の関心・興味に合った広告を表示して欲しいと思うか、との問に「強くそう思う」、「そう思う」と回答した合計は約34%。その理由として、8 割以上が利便性を理由。
自分の関心・興味に合った広告を表示して欲しいか、との問に「どちらとも言えない」、「あまり思わない」、「まったく思わない」と回答した者の、広告を表示して欲しくない理由については、5割以上が「自分に必要な情報は自分で探したい」約3割がプライバシーへの懸念を挙げています。
ただし、コンテンツの無料提供にあたっては、広告による収益に支えられている面があると示した上での、行動履歴情報の活用に対しては約59%がある程度の理解を示しています。

インターネット利用者アンケート:
行動ターゲティング広告を望むか(左上)
広告の収益による無料サービスへの考え方(右上)
行動ターゲティング広告を望む理由(左下)
行動ターゲティング広告を望まない理由(右下)
行動ターゲティング広告希望
行動ターゲティング広告希望理由

以上のインターネット利用者意識から分かるように、行動ターゲティング広告が普及、発展するためには利用者に理解され、支持されることが必要条件と考えられます。
そこで、広告事業者・事業者団体に以下のような取組が求められるとまとめられています。

1)ガイドラインの検討
個人情報の取扱と同様、事業者側からの情報の明示と利用者の同意というプロセスをルールとしていくことが望ましい。

•対象の明確化
•サービスの態様に応じた同意手段
•表示方法
•対応窓口

2)周知活動
各事業者が分かりやすい説明を努めるとともに、事業者団体として利用者向け、マスコミ向け、広告主向けの分かりやすい説明資料(パンフレット)やQ&A、用語集等を作成し、公表することは有効。

3)ロゴマーク・認証制度等の検討
個別の広告や事業者がガイドライン等に従っていることを利用者が容易に理解できるような取組も有効。

利用者に合わせた広告効率性の高さという点において、期待の高まる行動ターゲティング広告。
大半のサービス事業者はプライバシー・ポリシーなどを設け、利用者が持つ疑問の多くに応えてはいるものの、利用者が求めるような見やすい場所に表示され、分かりやすい説明となっているとは、まだ言い難いというのが現状です。
広告主となる通販事業者さんも、広告事業者に対して説明責任を求めていくことにより、利用者に安心して広告提供できる環境が整っていくことと思います。

(※)
行動ターゲティング広告の経済効果と利用者保護に関する調査研究 報告書
(総務省 情報通信政策研究所 2009年3 月)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。