改正特商法対応急務、「最終確認画面」の義務表示事項と定期購入での禁止表示のポイント(2022年6月1日施行)

対象表示

ネット通販の最終確認画面、チラシ・カタログなど書面による申込用紙
(電話による書面又は画面を利用しない通販申込は非該当)

表示義務事項

1)分量
2)販売価格・対価(送料)
3)支払の時期・方法
4)引渡・提供時期
5)申込みの撤回、解除に関すること
6)申し込み期間(期限のある場合)

申込書面及び最終確認画面のいずれについても、上記全ての表示事項の表示が義務付けられる。表示事項を表示しなかったり、不実の表示をした場合にも法第 12 条の6第1項に違反する。

表示内容

1)分量の表示・2)販売価格・対価(送料)

商品等の態様に応じてその数量、回数、期間等を表示する。
複数の商品購入の場合には、個々の商品の販売価格に加えて支払総額も併せて表示する。
販売価格に送料が含まれない場合には、送料の金額も表示する。
申込みの段階において販売価格や送料を確定することが困難な場合など、例外的に、確定後に連絡する旨などを表示することは可。

定期購入について:
各回に引き渡す商品の数量、代金等のほか、引渡しの回数、消費者が支払うこととなる代金の総額を明確に表示しなければならない。
(NG例)5か月分の定期購入契約で、1か月分の分量のみを表示
初回と2回目以降の内容量、代金が異なる場合等には、各回の分量、初回の代金と対比して2回目以降の代金が明確に把握できるように表示する。

サブスクリプションについて:
役務の提供期間や、期間内に利用可能な回数が定められている場合にはその内容を表示する。
無償又は割引価格で利用できる期間を経て有償又は通常価格の契約内容に自動的に移行するような場合には、有償契約又は通常価格への移行時期、その支払金額を明確に表示する。

定期購入・サブスク共通:
消費者が解約を申し出るまで定期的に商品の引渡しがなされる無期限の契約の場合には、その旨を明確に表示する。
あくまでも目安にすぎないことを明確にした上で、1年単位の総分量、支払額など、一定期間を区切った分量、支払総額を目安として明示することが望ましい。

3)支払の時期・方法・4)引渡・提供時期

法第 11 条(通信販売についての広告)の表示方法と同様に表示。
広告部分を参照させる形式(リンク表示を含む。)も可。

定期購入について:
各回の代金の支払時期、引渡時期についても明確に表示する。

5)申込みの撤回、解除に関すること

法第 11 条(通信販売についての広告)の表示方法と同様に表示。
広告部分を参照させる形式(リンク表示を含む。)も可。

定期購入・サブスク共通:
解約の申出に期限がある場合には、その申出の期限、また、解約時に違約金その他の不利益が生じる契約内容である場合には、その旨及び内容も表示する。

解約方法を特定の手段に限定する場合の扱い:
リンク先や参照ページの表示ではなく、広告画面はもとより、最終確認画面においても明確に表示する。

解約方法を特定の手段に限定する例:
・消費者が想定しないような限定がなされる場合(例:電話した上で更にメッセージアプリ等を操作する必要がある、消費者から追加の個人情報を提出しなければならない等)
・解約受付を特定の時間帯に限定している
・消費者が申込みをした際の手段に照らして当該消費者が容易に手続を行うことができると考えられる手段での解約連絡を受け付けない等

(ただし、解約方法に制約がある旨を表示することによって、当該制約が民事的に有効となることを意味するものではない。不当に消費者の権利を制限し又はその義務を加重する条項は、消費者契約法等により無効となることがある。)

不実のことを表示する行為に該当するおそれのある例:
・解約方法として例えば電話による連絡を受け付けるとしている場合に、最終確認画面に表示された電話番号に消費者から電話をかけても一切つながらないような場合
・窓口担当者に用件を伝えて折り返しの連絡を依頼した後に、一向にその連絡がないような場合

6)申し込み期間(期限のある場合)

申込期間を設けている場合、申込みの期間に関する定めがある旨とその具体的な期間を正しく表示する。
(申込期間について不実の表示を行い、当該商品が期間経過後に購入できなくなると消費者に誤認させるような不当な表示等を防止する)

該当するケース:
商品の販売そのものに申込期間を設定する場合。
購入期限のカウントダウン(例えば「セール期間の終了まであと○時間○分○秒」)や期間限定販売など、一定期間を経過すると消費者が商品自体を購入できなくなるもの。

該当しないケース:
申込みについて「期間」に該当しない何らかの販売条件又は提供条件がある場合。
例えば「個数限定販売」や、価格その他の取引条件(価格のほか、数量、支払条件、特典、アフターサービス、付属的利益等)について一定期間に限定して特別の定めが設けられている場合。
例)いわゆるタイムセール(○月×日までなら50%オフのようなもの)、メーカー在庫がなくなった時点で販売を終了するような場合

NG表示例:
「今だけ」など、具体的な期間が特定できないような表示。
OK表示方法例:
商品名欄等において商品名に分かりやすく併記する方法、バナー表示を置く方法、消費者が明確に認識できるようなリンク先や参照ページ、クリックにより表示される別ウィンドウ等に詳細を記載する方法での表示。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。