健食広告留意事項の一部改訂案公表、景表法・健増法の法執行方針をチェック(消費者庁 2022年8月9日)

消費者庁は、8月9日に「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の一部改訂案を公表し、パブリックコメント(意見募集)を行っています。(※1)

本留意事項は、健康食品広告において景品表示法及び健康増進法上禁止されている、虚偽誇大表示についての考え方を示したものです。
事業者の適正な広告活動のために、問題となるおそれがある表示について具体的な表示例や、これまでに問題となった違反事例等を用いて、ポイントを取りまとめています。
2013年に制定、2016年6月に全部改定が行われていますが、今回の一部改正では全部改定から年数が経過したこともあり、景表法および健増法上問題になるおそれがある表示の考え方をより明示的に示し、措置命令事例を充実させることを目的としています。

改定のポイント

  • 「明らか食品」も健食留意事項の対象となる旨の追記
  • 対象となる「健康保持増進効果」表示の例示の追加
  • 成分広告の「表示」の該当性の例示の追加
  • アフィリエイト広告の表示主体性と管理上の措置を補足
  • 健康増進法上の虚偽誇大表示の「著しく」に該当する広告手法に、「著名人のブログ」による「ステマ」の文言追加
  • 表示された効果と実証された内容が適切に対応していない例示を追記
  • 景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例の追記
    (トクホ、機能性表示食品、健康保持増進効果、No1.表示、体験談・打消し表示)

意見募集は9月7日まで。寄せられた意見を取りまとめた後、改定を反映した健食留意事項が公表されます。
本留意事項制定後、健康食品広告に対して景品表示法と健康増進法との一体的な法執行が行われおり、コンプライアンス対応として必ず押さえておいていただきたい内容となります。
改定案内容で、特に気になるポイントをピックアップしてご紹介します。

(※1)
「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の 一部改定(案)に関する意見募集について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/029656/


対象となる「健康保持増進効果」表示に追加された例示に注意

「疾病の治療または予防を目的とする効果」の事例として、以下を追加。
「コロナウイルスの予防に」、「認知症予防」

「身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果」の事例として、以下を追加。
「新陳代謝を盛んにする」、「若返り」、「アンチエイジング」、「自然免疫力を高める」、「細胞の活性化」、「自然治癒力が増す」、「〇〇〇は、活性酸素除去酵素を増加させます」、「歩行能力改善」

「『健康保持増進効果等』を暗示的又は間接的に表現するもの」の事例として、以下を追加。
名称又はキャッチフレーズ:
「妊活」、「腸活」、「スリム○○」、「減脂○○」、「デトックス○○」、「カラダにたまった余分なものをスッキリ」

身体の組織機能等に係る不安や悩みなどの問題事項を例示:
「こんなお悩みありませんか?疲れが取れない。健康診断で○○の指摘を受けた。運動や食事制限が苦手。いつもリバウンドしてしまう。メタボが気になる。」、「最近、体力の衰えを感じるのは、○○が不足しているせいかもしれません。」、「年齢とともに、低下する○○成分」

なお、これらの「健康保持増進効果等」の表示をしたことが、直ちに虚偽誇大表示に該当するものではありません。健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示と認められた場合に、虚偽誇大表示とみなされます。

商品名を表示しない成分広告の「表示」に該当するケースに注意

商品名を広告において表示しない場合であっても「表示」に該当する例示を追加。

・特定の食品や成分の健康保持増進効果に関する広告に問合せ先を記載し、連絡した消費者に対し、その食品や成分の健康保持増進効果に関する情報が掲載された冊子とともに、商品情報が掲載された冊子や商品の無料サンプルが提供されるなど、それら複数の広告等が一体となって商品自体の購入を誘引していると認められるとき

・特定の食品や成分の名称を商品名やブランド名とすることにより、その食品や成分の健康保持増進効果等に関する広告を見た消費者に、特定の商品を想起させるようなケース

この例示に該当する景表法措置命令事案として、2019年11月の健康食品「ブロリコ」事案があります。
本事案では、「成分」による免疫力向上、疾病の治療又は予防の効果をうたった自社ウェブサイトを通じて、成分に関する資料を請求した一般消費者に対して、冊子及びチラシを送付するとともに、商品の注文はがき付きチラシ及び商品の無料サンプルを送付。
冊子、チラシと、最終商品とを結び付かせる手法について、一体となる広告とみなされ処分となっています。
・イマジン・グローバル・ケア、「ブロリコ」成分の研究コンテンツによる広告手法に景表法措置命令(消費者庁:2019年11月1日)

広告主が表示主体となるアフィリエイト広告と管理上の措置に注意

アフィリエイトサイト上の表示について、「広告主がその表示内容を具体的に認識していない場合であっても、広告主自らが表示内容を決定することができるにもかかわらず、他の者であるアフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合」について、広告主がその表示内容の決定に関与しているとし、広告主は景表法および健増法上の措置を受けるべき事業者に当たることを明記した。
また、広告主は、「事業者が講ずべき表示等の管理上の措置」として、アフィリエイターの作成する表示を確認することが必要となる場合があるとした。

これは、「アフィリエイト広告等に関する検討会」の報告書の提言を受けた、景品表示法26条「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の一部改訂を反映させた内容となっています。
・広告主に課されるアフィリエイト広告の適正管理。ステマ規制も示される(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針改正 2022年6月29日)
・景品表示法において、広告主がASPやアフィリエイターに対して講じるべき措置(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針改正 2022年6月29日)

「著名人のブログ」による「ステマ」は虚偽誇大表示の「著しく」に該当

健康増進法上の虚偽誇大表示の「著しく」に該当する広告手法に、「著名人のブログ」による「ステマ」の文言を追加。

インフルエンサーを活用したSNS広告等においては、「広告」であることを明示するとともに、通常の広告以上にその表示内容が虚偽誇大表示とみなされるリスクが高いことを意識して活用することが求められます。

痩身効果・免疫力の「合理的な根拠」と認められなかった理由をチェック

消費者庁が不実証広告規制(景品表示法第7条第2項)を適用して健康食品の表示に関して措置命令を行った事例において、「合理的な根拠」と認められなかった理由の事例を追加。

・痩身効果を標ぼうする商品に関し、商品を用いたヒト試験の報告書が提出されたが、内臓脂肪や体重の減少について、実証された内容と表示された効果が著しく乖離していた。

・特段の運動や食事制限をすることなく摂取するだけで痩身効果が得られることを標ぼうする商品に関し、商品を用いたヒト試験の報告書が提出されたが、ヒト試験の被験者に対して運動や食事制限の介入指導が行われていた。

・糖質や脂質の吸収抑制効果を標ぼうする商品に関し、商品を用いたヒト試験の報告書が提出されたが、吸収抑制効果について、実証された内容と表示された効果が著しく乖離していた。

・免疫力が高まることにより疾病の治療又は予防の効果が得られることを標ぼうする商品に関し、商品の成分が一部の免疫細胞を活性化することに関する試験データが提出されたが、疾病の治療又は予防の効果に係る本件商品の有効性を実証するものではなかった。

健康不安訴求、No1.表示、体験談・打消し表示も要注意

景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例の追記。
いわゆる健康食品:
解消に至らない身体の組織機能等に関する不安や悩みなどの問題事項の例示や、およそ得られない身体の組織機能等の変化をイラストや写真を用いること。

No1.表示:
「ダイエット部門売上 No.1」、「顧客満足度ランキング第 1 位」などと強調する表示(いわゆる「No.1 表示」)について、合理的な根拠に基づかない、根拠となる具体的な調査条件や出典等が明瞭に記載されておらず、優良・有利誤認となる場合。

体験談・打消し表示:
不適切な体験談の表示例として、打消し表示に「軽い運動を併用した結果です」の例示追記。虚偽誇大表示例に、「商品に含まれる成分の効果を強調する表示」を追記。

体験談において健康食品の効果をうたう際の、以下の推奨表記事項を追記。
「体験談を表示するに当たり事業者が行った調査における①体験者の数及びその属性、②そのうち体験談と同じような効果が得られた者が占める割合、③体験者と同じような効果が得られなかった者が占める割合等を明瞭に表示すること。」

例示の文言にとらわれず、表示全体から消費者にどのように認識されるかに留意

本留意事項では、景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例が具体的に示されています。ただし、虚偽誇大表示等に関する景品表示法及び健康増進法の規定は、特定の用語、 文言等の使用を一律に禁止するものではありません。
虚偽誇大表示等に該当するか否かは、表示全体から消費者がどのように認識するか、表示ごとに個別具体的に判断されることに留意することが大切です。
暗示的な表現や、言い換え表現でグレーゾーンを探るのではなく、表示の根拠とユーザー実感に裏付けされた広告表現を目指しましょう。

フィデスでは、消費者目線の広告コンプライアンス評価、表示の根拠資料確認、コンプライアンス研修など社内外の広告適正管理体制構築をサポートいたします。
お気軽にご相談ください。

=================================
◆法令遵守広告チェック・リライト◆
薬機法・健康増進法・景品表示法など、
最新行政動向をキャッチしながら広告評価します。
詳細はこちら
=================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの更新情報を、ダイジェストでお届けしています。
登録はこちら
————————————————————

関連記事

  1. 景表法改正、広告表示の適正管理のための7つのポイン+1

  2. 景表法課徴金は対象売上高の3%、課徴金賦課の対象外となるケースは?(消…

  3. 景品表示法の課徴金制度導入施行日、2016年4月1日に決定!パブコメ募…

  4. 薬機法改正へ 医薬品、化粧品、医療機器、「未承認医薬品」の誇大広告に「…

  5. 健康食品の機能性表示制度検討会(消費者庁の機能性表示案のポイント 平成…

  6. 最終確認画面を表示しない場合の注意点「電子商取引及び情報財取引等に関す…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

最近の記事

2022年10月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。