フォルスコリー、オウレン、プエラリア、ブラックコホシュ、健康被害防止対策強化へ。食品衛生法、食品表示法改正

2019年度は、これまで以上に健康食品、化粧品の健康被害が多く発生しました。
特に、健康食品については、前回の記事でもご紹介したように、国民生活センターに寄せられた健康被害情報件数が年間3,900件超となり、前年度(2位、1,800件)から2,111件、117%の大幅増加となっています。

このような状況を踏まえて、平成30年6月13日に公布された食品衛生法の改正では、注意を要する指定成分を含有する食品による“健康被害情報の届出”と、容器包装への義務表示事項に指定成分に関する表示が追加され、令和2年6月1日に施行されました。
また、食品リコール情報の報告制度や、アレルギーや消費期限の誤表示などの食品表示法違反による食品リコールの届出の義務付けが、令和3年6月に予定されています。

今回は、食品による健康被害防止やリコール対応に関連する法改正のポイントを確認します。


●食品衛生法における指定成分等含有食品による健康被害情報の届出制度の創設と義務表示
食品衛生法改正(平成30年6月13日公布)では、「プエラリア・ミリフィカ」の健康被害問題が引き金となり、「厚生労働大臣が定める特別の注意を必要とする成分等を含む食品(※)」による健康被害が発生した場合、事業者から行政へ、その情報を届け出ることが義務化されました。(施行日:令和2年6月1日)

「健康食品」による健康被害への対応は、これまで健康被害情報の収集が制度化されておらず、必要な情報収集が困難であり、健康被害の発生・拡大を防止するための食衛法を適用するための根拠が不足していました。
そこで、事業者による食品等のリコール情報を行政が確実に把握し、的確な監視指導や消費者への情報提供につなげ、健康被害の発生を未然に防止することを目的にしています。
ただし、いわゆる「健康食品」による健康被害情報については、引き続き、通知に基づき、任意の情報収集を行う、となっています。

(食品衛生法等の一部を改正する法律の概要資料(抜粋))

※「厚生労働大臣が定める特別の注意を必要とする成分等を含む食品」とは
健康被害情報や文献等による生理活性情報を科学的な観点で整理し、薬事・食品衛生審議会や食品安全委員会における専門家の意見を聴き、パブリックコメント等を行った上で、特別の注意を必要とする成分等の指定を行う。
《指定成分等》
コレウス・フォルスコリー
ドオウレン
プエラリア・ミリフィカ
ブラックコホシュ

さらに、健康被害情報の届出制度の創設に伴い、「指定成分等含有食品」について消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会を確保し、必要な情報を消費者に提供するため、食品表示基準の一部を改正し、容器包装への義務表示事項に以下の指定成分に関する表示事項を追加しました。(施行日:令和2年6月1日)
《指定成分に関する表示事項》
・指定成分等含有食品である旨
・食品関連事業者の連絡先
・指定成分等について食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物である旨
・体調に異変を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談すべき旨及び食品関連事業者に連絡すべき旨


(第58回消費者委員会食品表示部会資料(抜粋))

◆プエラリア・ミリフィカ等、特別の注意を要する成分等を含む食品(指定成分等含有食品)等に係る食品表示基準の施行について(消費者庁 2020年6月1日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/020134/

また、健康被害情報の届出だけでなく、食品のリコール情報の届出に関しても全国的な制度はなく、一部の自治体が条例を制定して実施していました。
本改正により、食品衛生法及び食品表示法一体での食品リコール情報の届出制度を、円滑かつ齟齬のない運用を図る考えです。

●食品の「リコール情報」の行政への報告を義務化
(平成30年6月13日改正法公布、公布後3年以内に施行予定)
事業者が食品の自主回収(リコール)を行う場合に、自治体を通じて国へ報告する仕組みを作り、リコール情報の報告を義務化。
また、このリコール情報を一覧化してHP等で発信する。
《リコール報告の対象》
・ 食品衛生法に違反する食品
・ 食品衛生法違反のおそれがある食品
※ 食品衛生法違反となる原因となった原材料を使用した他の製品や、製造ラインの硬質部品が破損して製品に混入した場合等

(食品衛生法等の一部を改正する法律の概要資料(抜粋))
https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000345966.pdf

事業者による食品等のリコール情報を行政が確実に把握し、的確な監視指導や消費者への情報提供につなげ、食品による健康被害の発生防止を意図しています。

●食品表示基準違反食品の自主回収(リコール)情報の行政への届出を義務化
食品表示法の一部を改正する法律案(平成30年11月9日 閣議決定)
事業者が食品の安全性に関する食品表示基準に従った表示がされていない食品の自主回収(リコール)を行う場合に、自治体を通じて国への報告を義務化。
《届出対象となる食品表示基準違反》
・アレルゲン、消費期限などの欠落や誤表示。

当該届出に関する食品リコール情報は、行政において消費者に情報提供(公表)。
届出をしない又は虚偽の届出をした者は50万円以下の罰金。

商品を扱う事業者には、製品の製造管理のあり方はもとより、被害情報収集と情報処理体制整備、消費者に対する適切な情報提供(表示、広告等)が一層求められます。
フィデスでは、顧客からの問合せ・相談情報の分析・活用、情報提供に関するコンサルティングを行っています。
お気軽にお問い合わせください。

◆食品衛生法の改正について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html

◆「食品表示法の一部を改正する法律案」の閣議決定
(第197回国会(臨時会)提出法案 消費者庁)
http://www.caa.go.jp/law/bills/#197

《関連記事》

・食品による健康被害防止対策強化へ。食品衛生法、食品表示法改正

・国センに寄せられた健康被害情報、上位3商品・役務は「健康食品」「化粧品」「医療サービス」
(PIO-NETにみる2017年度の危害・危険情報)

・増える健康食品、化粧品の健康被害。「皮膚障害」「消化器障害」相談が大幅増加
(PIO-NETにみる2016年度の危害・危険情報)

・健康食品の健康被害と商品名公表
(東京都 平成28年度「『危害』の消費生活相談の概要」)

・国セン、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品に注意喚起。厚労省、調査開始
(国民生活センター商品テスト 2017年7月)

広告媒体別の健康食品に関する消費者相談の傾向とは
(東京都 平成27年度)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。