東京都では、毎年、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品の試買調査を行い、不適正な表示・広告を行った事業者に対し改善等を行っています。
成分検査による医薬品成分の検出も確認しています。
2021年度の調査では、消費者への注意喚起として、以下の事例が示されています。
【不適正な事例】
「心筋機能の正常化」
「うつ症状を改善」
「結石の予防と除去」
「がん予防」
「放射性物質の排出を促進」
「免疫力アップ」
広告表示違反の傾向について、確認してみましょう。
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健康食品の不適正な表示・広告にご注意!令和3年度健康食品試買調査結果
(2022.3.29 東京都福祉保健局生活文化局)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/03/29/18.html
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試買品目数126品目のうち102品目で法令違反の疑い
今回調査で購入した健康食品126品目のうち102品目で、試買品目数の81%に製品表示や広告に法令違反又は違反の疑いあり。
購入方法別では、店舗購入46品目中24品目、ネット購入80品目中78品目が不適正な表示・広告となっている。
前回2020年度調査では、56品目のうち違反品目は41品目(店舗購入10品目(内、違反品目2品目)、ネット購入46品目(内、違反品目39品目))と、調査品目数は19年度の半数以下だったが、21年度は同レベルに戻った。
また、シルデナフィルを含む1製品、クロトリマゾールを含む1製品及びセンナ葉を含む1製品の、合計3製品から医薬品成分が検出された。
注目されている製品テーマ(購入品目の多いもの)として、店舗、ネット共に「男性機能向上」、「美白、美容、美肌」となっており、ネットでは「ダイエット効果」、「抗糖化・エイジングケア」、「免疫力増強」も多くなっている。
表示違反が多い法律は、薬機法、食品表示法(衛生事項)
医薬品医療機器等法が78件と突出している。次いで、食品表示法(衛生事項)44件、景品表示法27件、食品表示法(保健事項)26件、特定商取引法25件となっている。
製品テーマ別では、主に以下の法律での違反が目立つ。
男性機能向上:食品表示法(保健事項・衛生事項)、特定商取引法、医薬品医療機器等法
美白、美容、美肌:医薬品医療機器等法、食品表示法(保健事項・衛生事項)、景品表示法、特定商取引法
ダイエット効果:医薬品医療機器等法、景品表示法、食品表示法(衛生事項)
抗糖化・エイジングケア:医薬品医療機器等法、景品表示法、食品表示法(衛生事項)
免疫力増強:医薬品医療機器等法、食品表示法(衛生事項)、特定商取引法
今回の調査で、違反又は違反の疑いがあるとみなされた表示です。
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●製品についての不適正な表示・広告の事例
健康増進法(健康保持増進効果等の虚偽誇大表示):
・著しく事実に相違する又は人を誤認させるおそれのある表示
スリムな女性のイラストとともに商品説明として、「酵素のパワーで消化と代謝を促進 脂肪を溜めない!」、「解毒作用」、お客様の声として「約半年間で○kg の減量に成功」「食事制限一切なし」等と表示し、消費者があたかも当該商品を摂取するだけで痩身効果が得られるような誤認を招くおそれのある表示。
(これら文言だけでなく、写真なども含めた表示全体から判断)
景品表示法:
・優良誤認に該当するおそれのある表示
「美味しく食べて楽々ダイエット」等の効果を裏付ける合理的根拠がないおそれのある表示や「リピート率№1」等と客観的な実証のないおそれのある表示をし、商品が他社の商品よりも優れているかのように消費者の誤認を招くおそれのある表示。
医薬品医療機器等法:
・疾病の治療又は予防を目的とする効能効果に該当
「心筋機能の正常化」「うつ症状を改善」「高血圧の緩和」「月経前症候群の症状の緩和」「骨粗しょう症の予防」「風邪予防」「歯周病予防」「がん予防」「白内障、緑内障、加齢黄斑変性の予防」「結石の予防と除去」
・身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果に該当
「血中コレステロール分解」「フリーラジカルの活動抑制」「薄毛改善」「育毛」「脂肪代謝改善」「抗炎症作用」「免疫力アップ」「強心作用」「放射性物質の排出を促進」「尿酸排泄」
●法令で義務付けられている表示についての不適正な事例
食品表示法(容器包装の表示):
・原材料と添加物が明確に区分されていなかった。
食品衛生法で既存添加物とされている物質を、原材料に混在して表示していた。
・表示が欠落していた。
容器包装に邦文表示がなかった。
・一括表示が適切に表示されていなかった。
食品表示基準で定められた別記様式を用いた表示がされていなかった。
・添加物が正しく表示されていなかった。
物質名のみが記載されており、用途名である「着色料」が併記されていなかった。
・製造所又は加工所の情報が適切に表示されていなかった。
表示に責任を有する「食品関連事業者の氏名又は名称及び住所」は表示されていたが、「製造所又は加工所の所在地及び氏名又は名称」が欠落していた。
・栄養成分表示の任意表示事項が正しく表示されていなかった。
容器包装に「ナイアシン」「葉酸」の表示があるにもかかわらず、栄養成分表示に「ナイアシン」と「葉酸」の表示がなかった。
・栄養機能食品の必要表示事項が欠落していた。
「栄養成分の機能」、「摂取する上での注意事項」の表示がされていなかった。
特定商取引法(通信販売広告の表示):
・「申込み最終確認画面」に返品特約が表示されていなかった。
返品に関する事項(返品の可否・返品の期間等条件・返品に係る送料負担の有無)について、「申込みの最終確認画面」に表示されていなかった。
・定期購入の場合の表示事項が明瞭に表示されていなかった。
購入者から解約の通知がない限り継続される無期限の契約である旨や、2回目送付分以降の商品の価格、送料などが表示されていなかった。
不適正な表示・広告を行った事業者に対しては改善等を指導しており、他の自治体が所管する事業者については当該自治体に通報し、指導等を依頼しています。
他にも東京都では、インターネット広告表示監視事業により発見された不当表示に対して改善指示を行ったり(※)、消費者庁では、国と地方、地方の間での調査情報、被疑事案情報の共有を図ることを目的とした『景品表示法執行NETシステム』を、2012年4月から運用しています。
(※1)
・令和2年度ネット広告(年間24,000件)監視 257通販事業者に改善指導!(東京都)
<関連記事>
・東京都サイバー薬事監視の取組(1)【ネットショッピングモール(B to C)編】
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