消費者トラブル対応について、デジタルプラットフォーム事業者に対して、今後より積極的な役割や責任が求められそうです。
4月7日に特定商取引法による一斉処分となった通販事業者13社の事案では、事業者がアマゾンのマーケットプレイスの仕組みを悪用して身元を隠し、知名度があるアマゾンの信用力を利用して偽ブランド品を販売していたことが問題となりました。
・アマゾンで偽ブランド品販売13社に特商法業務停止命令。違法行為は氷山の一角(消費者庁 2020年4月7日)
その身元隠匿の手口は、使われていない、あるいは他人の住所・電話番号や、本人確認の手続が厳格ではない決済手段を用いて、出品アカウント登録するというものでした。
今後も同様の手口で、多数の出品者・出店者が偽ブランド品販売を繰り返し行う可能性が高いとして、消費者安全法に基づき、デジタルプラットフォーム事業者に対して、消費者被害の発生・拡大防止に向けた対応が要請されました。
このような要請は一過性のものではなく、今後の国の消費者政策の重点施策にもつながっています。
消費者庁が3月31日に策定・公表した第4期消費者基本計画において、デジタル・プラットフォーム利用と消費者の利益保護が盛り込まれています。
この一環として、 2019年12月から始まった「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」において、政策面・制度面の観点から検討が行なわれています。
検討会では、デジタル・プラットフォーム事業者は、消費者取引のインフラを提供し、個別消費者取引の当事者の側面もあることから、より積極的な役割・責任、最低限の環境整備が求められるとしています。
3月30日に開催された第4回の討議では、顕在化している消費者トラブルへの対応として、以下のポイントが今後の検討の方向性として示されています。
紛争の未然防止に向けた検討
・出品者(売主)の本人確認・情報提供
・違法な製品、事故のおそれのある商品の流通への対応
・消費者を誤認させる表示の是正(不当表示、不正レビュー)
・利用規約の位置づけ、表示のあり方
・利用規約の個別の条項のあり方、是正のあり方
・域外適用・海外当局との連携
紛争処理・解決に向けた検討
・消費者取引の当事者ではないと主張するデジタル・プラットフォームにおける苦情処理対応・紛争解決のあり方
・出品者(売主)の本人確認・情報提供
処分を受けた13社の事案においても、いずれも身元を把握できなかったことから、デジタルプラットフォーム事業者側での出品者・出店者の本人確認や情報提供といった対応が求められます。
また、身元隠匿の手口への対策としては、ショッピングモールにおける出品手続きのシステムが厳格化されることが求められます。
検討会は、2020年夏頃を目途に結論を得るとしています。
デジタルプラットフォーム事業者の取引環境整備のための役割や責任が、法制度としても明確化されていきそうです。
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消費者基本計画(2020年3月31日 閣議決定)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/basic_plan/pdf/basic_plan_200331_0001.pdf
第4回デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会(2020年3月30日)
https://www.caa.go.jp/about_us/about/plans_and_status/digital_platform/review_meeting_004.html
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