今回の気になるトピックは、「お試し価格からの定期購入」に対する法規制の最新動向について。
かねてより、健康食品や化粧品を「1回だけの「お試し」のつもりで注文したら、定期購入の契約になっていた」というトラブルが問題視されてきました。
この問題を受けて、消費者契約法の一部改正や「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改正等が行われています。
今月9日に公表された2016年度の消費者白書においても、最近注目される消費者問題として、「お試し価格からの定期購入」トラブル相談件数が4年間で約20倍(2016年の相談件数1万3129件)に急増したことを取り上げています。(※1)
この問題の被害救済対策として、平成28年3月に「消費者契約法の一部を改正する法律案」が閣議決定し、翌年、6月3日に施行されました。
内容は「無効となる消費者の利益を一方的に害する契約条項(法第10条)」の例示に、上記トラブルに発展すると考えられる自動継続条項が追加されています。(※2)
また、6月5日に公表された「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の平成29年改訂においても、自動継続条項を含む具体的なモデル事例を題材とした、消費者契約法第10条の適用の可否についての項目が新規追加されました。
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「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。お試し価格を設定して定期購入契約を行う際の注意ポイント(経済産業省 平成29年6月)
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更に、悪質な消費者被害事案に対する確実な被害回復を図るための法整備も並行して進んでいます。
10月1日施行予定の「独立行政法人国民生活センター法等の一部を改正する法律」では、財産の散逸・隠匿のおそれがある悪質事業者から確実に被害回復を図れるよう、国民生活センターが特定適格消費者団体にかわって立担保できるよう、業務の追加、長期借入金の規定の新設等を行っています。(※3)
消費者契約法上問題となるケースは、かなり悪質なものと考えられますが、業界全体としてお客さまが安心して購入できる環境づくりを心がけていただきたいなと思います。
(※1)
平成29年版 消費者白書(消費者庁 2017年6月9日)
http://www.caa.go.jp/adjustments/index_15.html
(※2)
消費者契約法の一部を改正する法律(平成28年法律第61号)(平成29年6月3日施行)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/consumer_contract_amend.html
(※3)
独立行政法人国民生活センター法等の一部を改正する法律(平成29年法律第43号)
(平成29年10月1日施行)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/references/consumer_affair_center/
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