トクホ取消の日本サプリメントに景表法措置命令 強まる景表法の取組(消費者庁:平成29年2月14日)

2月14日、消費者庁は大阪市の食品、加工食品、健康食品等の販売業者日本サプリメント(株)に対し、て「ペプチドシリーズ5商品」「豆鼓エキスシリーズ3商品」と称する食品に関する表示について、景品表示法違反(優良誤認) の措置命令を行いました。
トクホについて、同法違反で処分するのは初めての事案となります。

消費者庁は併せて、特定保健用食品及び機能性表示食品について、今後の景品表示法の取り組み方針を示すとともに、関係事業者及び事業者団体への注意喚起も行っています。

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日本サプリメント株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令
及び特定保健用食品等に関する景品表示法の取組について
(消費者庁 平成29年2月2日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170214_0001.pdf
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170214_0002.pdf
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170214_0003.pdf
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【対象商品】
(1) ペプチドシリーズ5商品
「ペプチドエースつぶタイプ」と称する錠剤状180粒入りの食品
「ペプチドエースつぶタイプ」と称する錠剤状90粒入りの食品
「ペプチド茶」と称する食品
「ペプチドストレート」と称する食品
「ペプチドスープEX」と称する食品

【表示媒体・期間】
(a) 容器包装(平成13年12月頃から平成28年9月17日までの間)
(b) 新聞折り込みチラシ(遅くとも平成27年7月6日から同月7日までの間)
(c) 新聞(遅くとも平成26年4月15日から平成28年6月30日までの間)
(d) テレビ(遅くとも平成28年5月1日から同年9月17日までの間)
(e) ウェブサイト(遅くとも平成26年3月1日から平成28年9月18日までの間)

【違反内容】
表示内容:
あたかも、対象商品が特定保健用食品として消費者庁長官の許可の要件を満たしたものであるかのように示す表示をしていた。

表示例:
・健康増進法に規定する許可証票を記載
・「かつお節オリゴペプチド配合」
・「消費者庁許可保健機能食品(特定保健用食品)」
・「血圧が高めの方に適した食品です。」
・「●保健機能食品(特定保健用食品)●許可表示:本品はかつお節オリゴペプチドを配合した食品で、血圧が高めの方に適した食品です。」
・「●摂取目安量:1日当たり6粒(かつお節オリゴペプチド1.5g、LKPNMとして5mg)を目安にお召し上がり下さい。」
・「栄養成分量及び熱量(6粒、1.71gあたり)」
・「関与成分:かつお節オリゴペプチド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g(LKPNMとして5㎎)」

実際:
各商品は、それぞれ、遅くとも平成23年8月以降、品質管理として、包装後の製品における関与成分についての試験検査が行われておらず、また、平成26年9月に、関与成分の特定ができないことが判明しており、健康増進法第26条第1項の規定に基づく特定保健用食品の許可等の要件を満たしていないものであった。

表示例:(b) 新聞折り込みチラシ

【対象商品】
(1) 豆鼓エキスシリーズ3商品
「豆鼓エキスつぶタイプ」と称する錠剤状180粒入りの食品
「豆鼓エキスつぶタイプ」と称する錠剤状90粒入りの食品
「食前茶」と称する食品

【表示媒体・期間】
(a) 容器包装(平成14年1月頃から平成28年9月17日までの間)
(b) 新聞(遅くとも平成28年3月1日から平成28年6月22日までの間)
(c) テレビ(遅くとも平成28年5月10日から同年9月15日までの間)
(d) ウェブサイト(遅くとも平成26年3月1日から平成28年9月18日までの間)

【違反内容】
表示内容:
あたかも、対象商品が特定保健用食品として消費者庁長官の許可の要件を満たしたものであるかのように示す表示をしていた。

表示例:
・健康増進法に規定する許可証票を記載
・「豆鼓(発酵大豆)エキス配合」
・「消費者庁許可保健機能食品(特定保健用食品)」
・「血糖値が気になり始めた方に適した食品です。」
・「●保健機能食品(特定保健用食品)●許可表示:本品は豆鼓エキスを含んでおり、糖の吸収をおだやかにするので、血糖値が気になり始めた方に適した食品です。」
・「●摂取目安量:お食事の時に2粒を目安にお召し上がりください。1日あたり6粒を目安にお召し上がりください。」
・「栄養成分量及び熱量(6粒、1.5gあたり)」
・「関与成分:豆鼓エキス トリスとして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.18㎎」

実際:
各商品は、それぞれ、遅くとも平成23年8月以降、品質管理として、包装後の製品における関与成分についての試験検査が行われておらず、また、平成26年10月に、関与成分の特定ができないことが判明しており、健康増進法(平成14年法律第103号)第26条第1項の規定に基づく特定保健用食品の許可等の要件を満たしていないものであった。

表示例:(b) 新聞

ご存じのように、同商品は昨年9月、特定保健用食品として許可申請した関与成分が含有されておらず、許可要件を満たしていなかったとして、トクホ制度初の許可取り消しとなったものです。

消費者庁は消費者の信頼性確保が特に要請されている現状を鑑みて、健康増進法による取り消し処分に留まらず、景表法違反としても処分も下しました。

特定保健用食品について、許可の要件を充足しているかどうかを確認することは、健康増進法上、許可事業者の責務であると同時に、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置」(景品表示法第26条第1項)の規定にも違反するとしています。
さらに、許可要件を満たさない商品の販売は、優良誤認表示につながるとしています。

消費者庁は、平成28年度に前倒して実施予定しているトクホ商品の買上げ調査において、景表法違反行為に厳正に対処すること。また、トクホ及び機能性表示食品について、許可又は届出の範囲を超えた表示がなされていないかどうかについて、全ての商品の表示の監視を、当面の間、毎年度実施すると取り組み方針を発表し、関係事業者及び事業者団体への注意喚起を行っています。

《参考記事》
・消費者委員会の意見案まとまる トクホ制度・運用見直し、広告監視の健増法改正も視野に
(第241回 消費者委員会本会議 2017年1月17日)

・日本サプリメント トクホ初の許可取り消しと、トクホ全商品の調査要請

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。