消費生活センターへの申し立てより行政指導 釘がさびないとうたったミネラルウォーターの表示(国民生活センター商品テスト 2015年9月)

国民生活センターが消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト発表情報から、表示に問題があったミネラルウォーターについてご紹介します。

依頼内容:
「釘がさびないとうたったミネラルウォーターに、鉄釘を浸したところ、24時間も経たないうちにさび始めた。表示が疑わしい。ミネラルウォーターの成分が表示通りか調べてほしい。」

商品:
10L入りの飲用水

表示内容・調査結果:
●当該品に付属していたパンフレット及びインターネット上の販売者のホームページの表示
「鉄くぎを浸しても、6か月程度は錆びません。」との記載あり。

ガラス製のコップに当該品の水と鉄釘(新品)を入れたところ、18 時間後にはさびが発生したことから、この記載は、景品表示法上、問題があると考えられる。

ミネラルウォーター試験

「ガンを抑制する効果で注目されているゲルマニウム・天然亜鉛が含まれています。」といった疾病名やその治療や予防に関する記載がみられた。

これらは、医薬品医療機器等法に抵触するおそれあり。

●商品パッケージ等のミネラル成分(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛、ゲルマニウム)の含有量表示

マグネシウム、カリウム、ゲルマニウムの含有量:ほぼ表示通り。
ナトリウムの含有量:健康増進法の栄養表示基準(注 1)に定められた誤差の許容範囲内(±20%)。
カルシウム、鉄、亜鉛の含有量:
栄養表示基準で定められている誤差の許容範囲(カルシウム、鉄、亜鉛:-20%~+50%)から外れていた。

(外箱には、「ミネラル成分含有量は採水時期によって変動があります。」と記載されていた)
亜鉛を含む旨の表示:
栄養表示基準で必要とされる量(0.53 ㎎/100ml 以上)(注 2)は含有されていなかった。

健康増進法に抵触するおそれあり。

(注1)健康増進法のうち、食品表示に関する規定は、平成27年4月1日食品表示法に一元化され、栄養表示基準は食品表示基準となった。
(注2)食品表示基準では、数値が改正され、亜鉛は 0.66 ㎎/100ml となっている。

《解決内容》
テスト依頼元から販売者に説明し、相談者の要望を伝えたところ、商品代金が返金された。
国センより関係省庁に情報提供を行ったところ、販売者は所在地の自治体等からの指導を受け、ホームページから問題となった表示を削除する改善を行った。
また、商品については、当面、上からシールを貼付する等の対応を行っており、パンフレットについても表示の変更・改善を行うこととなった。

消費者が消費生活センター等に申し立てを行ったことをきっかけに、自治体から不当表示の指導を受けたケースです。
広告表示に対する消費者の意識が高まっている昨今、コンプライアンス対応は喫緊の課題といえます。

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表示に問題があったミネラルウォーター(相談解決のためのテストから No.90)
(国民生活センター 2015年9月3日)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150903_3.html
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。