2015 年4月施行から5か月、機能性表示食品制度に対してどう取り組むべきか、食品関連業界ではその動向に注目していることでしょう。
追い風に対し、遅れを取りたくないものの、費用対効果や、同制度に反対姿勢を見せる消費者団体等の動き、世論の状況などリスクの部分をどう見極めるか、届出先発組企業の状況も気になるところです。
最新動向を整理してみました。
●農産物も届出公表。受理作業も徐々にスピードアップ
機能性表示食品の9月9日時点で公表されている届出品目は86件(届出撤回した1品目含む)となりました。遅れていた農産物についても「べにふうき緑茶」「温州ミカン」「大豆もやし」といった商品が届け出受理されました。
このような『農産物』を対象に機能性を表示する制度は海外を含め過去に例がなく、今回の機能性表示食品制度で「世界で初めて」誕生したことになります。
指摘されていた届出受理作業の遅さについては、消費者庁は6月2日に「機能性表示食品の届出書作成に当たっての留意事項」を公表するとともに、受理体制強化を進めており、改善に向かっているようです。また、届出企業も広がりを見せているようです。
8月20日の板東消費者庁長官記者会見では、
“4月の段階では、一発で受理できる状態の書類はゼロだったが、最初の段階で整っているものが増えてきている。最初の段階で様子を見ていたところも、積極的に出してくるようになってきている。中小企業を含めてそういう広がりを持ってきている”
と、コメントしています。
◆板東消費者庁長官記者会見要旨
(消費者庁:平成27年8月20日)
先発の機能性表示食品の売り上げも好調と、明るい報道も出ています。
◆〈機能性表示食品〉キユーピー、キリン初動好調/発売初日から「年間出荷目標4割達成」など(2015/07/03 日本流通産業新聞)
●懸念は同制度に反対姿勢を見せる消費者団体等の動き、世論
一方、制度の安全性評価基準を巡って一部の消費者団体からは制度見直し・撤廃の声が上がっています。問題を大きくしたのは「リコム」のサプリメント「蹴脂粒」問題。
経緯は、「蹴脂粒」が「機能性表示食品」として受理された後、同じ成分を使いトクホ申請していた「蹴脂茶」が食品安全委員会の審査で「安全性が確認できない」と指摘されました。にもかかわらず、消費者庁は「蹴脂粒」の機能性表示食品の届出受理を撤回しないことを8月31日に明らかにしました。
このことから、「リコムの問題は制度の欠陥を表している」として、消費者団体が制度見直しを求める要望書を提出しています。
◆2015年9月3日 意見書「欠陥制度である機能性表示食品制度の運用停止・廃止を求めます」を提出(食品表示を考える市民ネットワーク)
●特保制度の見直しも検討されている
その一方で、トクホについても制度及び運用の見直しを検討する「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」が、8月より内閣府で開かれています。
◆第1回 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会(内閣府 2015年8月5日)
機能性表示食品制度も特保制度も、ともに、「いわゆる健康食品」における健康への効果や安全性が明らかでない食品の淘汰に寄与することが期待されています。そのためには消費者が各制度を正しく理解し、適切な製品選択できるものでなくてはなりません。
2つの制度の差別化を図るうえで「特保の位置づけ」や運用の妥当性などを見直す必要があるかなど、改めて検討する時期にきているとしています。
機能性表示食品制度にしろ、特保制度にしろ、不備があったり、時代に沿わなくなったり等、様々な理由で見直されていくものだと思います。
事業者としては、どの制度を活用するにしろ、まずは消費者の「安全」「安心」意識に照らし合わせて事業判断すべきではないでしょうか。仮に制度上「安全」と認められたとしても、消費者が「安心」を感じられなければ、支持されるのは難しいでしょう。
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