景品表示法において、広告主がASPやアフィリエイターに対して講じるべき措置(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針改正 2022年6月29日)

景品表示法26条「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」が一部改訂され、広告主がASPやアフィリエイターに対して講じるべき措置に関する事項が追加されました。
そのポイントを解説します。

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「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の一部改正案及び
「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の一部改定案に関する意見募集の結果の公示について(消費者庁 2022年6月29日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/029287/
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広告主がASPやアフィリエイターに対して管理上の措置を講じる

「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」では、広告主が表示の作成等をASPやアフィリエイター等に委託する場合に、自らの措置の実効性が確保できるよう、ASPやアフィリエイター等に対し、自らの措置についての理解を求め、ASPやアフィリエイター等が作成する表示等に不当表示が行われないよう指示することを求めています。

《措置の内容》
1.景品表示法の周知・啓発
ASPやアフィリエイターに対しても、その業務に応じた周知・啓発を行う。
(事例)
・自ら又はASP等を通じて、アフィリエイター等に対しても景品表示法の考え方の周知・啓発を行うこと

2.法令遵守の方針等の明確化
ASPやアフィリエイターに対しても、その業務に応じて法令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化する。
(事例)
・自ら又はASP等を通じて、アフィリエイターとの間で、不当表示等を行わないよう確認するなど、法令遵守の方針等を明確にしておく
・アフィリエイターが上記の法令遵守の方針に違反した場合に、債務不履行を理由とする成果報酬の支払いの停止や契約解除等の具体的な措置内容について、自ら又はASP等を通じて、あらかじめアフィリエイターとの間で明確にしておく

3.表示等に関する情報の確認
広告主がアフィリエイターの作成する表示等を確認することが必要となる場合がある
(事例)
・プロモーションを委ねたコンサルティング会社や広告代理店等の他の事業者が、アフィリエイターに対して、不当表示等を助長するような指示等をしていないかを確認する(企画・設計段階)
・アフィリエイターが作成する表示内容を事前に確認する(提供段階)

全ての表示内容の事前確認が困難な場合:
・表示後可能な限り早い段階で全ての表示内容を確認する(提供段階)
・成果報酬の支払額又は支払頻度が高いアフィリエイターの表示内容を重点的に確認する(提供段階)
・ASP等の他の事業者に表示内容の確認を委託する(提供段階)

4.表示に関する情報共有
確認した情報を、ASPやアフィリエイター等に対しても、不当表示等を防止する上で必要に応じて共有し確認できるようにする。
(事例)
・表示内容の方針や表示の根拠となる情報等をアフィリエイターと事前に共有しておく

表示の根拠となる全ての情報を事前にアフィリエイターに共有することが困難である場合:
・アフィリエイターから表示内容の方針について相談を受け付ける体制を構築する
・ASP等の他の事業者を通じて共有するなどの対応を行う

5.表示等を管理するための担当者等を定めること
(事例)
・アフィリエイト広告の作成をアフィリエイターに委ねる場合においても、広告主は自社の広告として、指示・確認権限を有していることをアフィリエイターとの間で確認する
・広告主の表示等管理担当者について、広告主の社内だけでなく、アフィリエイター等に対しても周知する
・広告主の社内だけでなく、ASPやアフィリエイターにおいても、複数の表示等管理担当者が設置される場合、広告主とアフィリエイター等との間で、それぞれの表示等管理担当者の権限や所掌を確認する。また、広告主だけでなく、アフィリエイター等の表示等管理担当者も含めて法令についての講習を実施する

6.表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
アフィリエイト広告の表示のように、一旦、削除されると、回復させることが困難な表示については、広告主が表示の保存も含め、根拠となる情報を事後的に確認できるようにするための資料の保管等を行う。


表示の根拠となる全ての情報の保管等が困難である場合:
・アフィリエイターに対して、アフィリエイターが当該情報の保管等をすることを明確にする
・ASP等の他の事業者に当該情報の保管等を委託する
・保管等をする代わりに定期的な表示の確認を行うなど、不当表示の未然防止に必要十分な取組をする
・成果報酬の支払額又は支払頻度が高いアフィリエイターが作成する表示の根拠となる情報について重点的に保管等をする

アフィリエイト広告の表示の根拠となる情報についての資料の例:
・アフィリエイト広告の表示の作成をアフィリエイターに委ねる際に行う、アフィリエイターとのやり取り(メール、チャット等)の内容
・広告主の社内における表示内容の確認及び決定の過程を示す資料
・アフィリエイターが作成する広告の表示内容に関するソースコード等

合理的と考えられる資料の保存期間の例:
アフィリエイト広告においては、当該広告に掲載されているアフィリエイトリンクから広告の対象となっている商品又は役務を購入することができなくなるまでの期間に加え、当該商品又はサービスの特徴、性質に応じた合理的な期間。

7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応
(事例)
・不当表示等が行われた商品・サービスについて、消費者からの情報を収集するための窓口を迅速に設置し、必要な期間設置を継続する
・その不当な表示を自ら、ASP又はアフィリエイター等を通じて迅速に削除・修正できる体制を構築する
・アフィリエイターが事業者との契約内容に違反して不当表示を生じさせた場合、事業者は、あらかじめ契約において取り決めた債務不履行の場合に採ることとされている措置(例えば、成果報酬の支払いの停止、支払った成果報酬を返還させる、提携契約の解除等)を迅速かつ確実に行う
(ただし、仮にアフィリエイターの表示が契約内容に違反したものであっても、また、提携解除後のアフィリエイターの表示であっても、個別の事実関係から、当該広告主がそれらの表示内容の決定に関与したとされる場合には、それらの表示は、広告主の表示とされることになる。)
・アフィリエイターに表示の作成を委ねている場合においては、事業者が不当表示に関する事実関係を迅速かつ正確に確認することが困難であることも考えられるため、広告主は消費者等の外部からの相談や情報提供を日常的かつ確実に受け付けられる窓口を設置する

8.アフィリエイト広告を行う事業者の表示であることの明示
アフィリエイトサイトにおける表示について、広告主以外の第三者の体験談や感想であるのか、広告主が対価を支払って作成を委ねた表示であるのかを、消費者が判断できない場合、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れのあることから、広告主とアフィリエイターとの関係性を理解できるような表示をアフィリエイターが行うことを求めています。

留意ポイント:
・一般消費者が、当該表示がアフィリエイト広告を行う事業者の表示であることを容易に理解できるようなものとなっているか、文言の使用や、当該文言を表示する位置、大きさ及び色等も含め、アフィリエイトサイトにおける表示内容全体で留意する
(具体的な表示例が指針本文に記載)

(参考)
広告である旨の文言の消費者の理解に関する意識調査https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms216_220513_02.pdf

本指針に記載された措置を採らなかったとしても、直ちに景品表示法違反になるわけではない

本指針は、事業者が不当表示等を未然防止するための参考として示しているものであり、事業者に何らかの義務を課すものではなく、本指針に記載された措置を採らなかったとしても、直ちに景品表示法違反になるわけではないとしています。

指針に示された事例と同じ措置ではなくても、不当表示等を未然に防止するための必要な措置として適切なものであれば、景品表示法第 26 条第1項の規定に基づく措置を講じていると判断されます。

また、事業者が独自に講じる措置については、それが事業者の規模、業態等の個別の取引実態に鑑みて、不当表示を防止するために実効性のある措置となっているかを、消費者庁において判断されます。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。