令和3年度における景品表示法の運用状況(消費者庁)

令和3年度の国や都道府県の景表法の運用状況及び違反概況です。

《記事内容》
・調査件数・処理件数の推移
・事件内容の内訳
・処理事件の商品役務別分類 
・措置命令を行った事件 
・課徴金納付命令
・都道府県の措置内容
・行政処分取消訴訟

国と都道府県の措置命令件数の合計は45件で、前年度の41件から4件増加しました。
内訳をみると、国の措置命令件数が41件で前年度(33件)から8件増加、都道府県が行った法的措置(措置命令)は4件で前年度(8件)から4件減少となっています。

国の措置命令件数、都道府県の法的措置件数の推移


国の措置命令件数について:
平成21年8月末日までは公正取引委員会における排除命令件数、同年9月以降は消費者庁における措置命令件数。
都道府県知事による法的措置件数について:
平成26年11月末日までは指示件数、同年12月1日以降は措置命令件数である(ただし、平成26年度の措置命令件数は0件)。

国(消費者庁及び公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等)の処理状況

令和3年度の景品表示法違反に関する国の調査件数は減少傾向。一般の消費者や事業者からの情報提供総数は増加
令和3年度の景品表示法違反に関する国の調査件数は374件。前年度440件で4年連続減少している。
内訳は、前年度からの繰越しが169件。(前年度151件)、新規に着手した調査件数は205件。(前年度289件)。
新規調査内訳:
職権探知件数は65件。(前年度95件)
一般の消費者や事業者からの情報提供による調査件数は138件(前年度191件)で減少しているが、情報提供件数総数は12,503件で前年度11,650件から増加している。このうち食品表示に関係する内容(外食等、役務に分類されるものは含まない。)が含まれる情報数は506件。(前年度580件)
処理件数は、措置命令が41件で前年度(33件)から8件増加、指導件数も172件で前年度(176件)から4件減少した。

国の調査件数等の推移

措置命令41件中、優良誤認が30件。不実証広告規制の割合が7割
令和3年度の措置命令は表示事件のみで41件(前年度34件)。
表示事件:
優良誤認の30件(前年度32件)。
内、不実証広告規制が21件(前年度22件)と70%を占める。
指導は112件(前年度123件)。

有利誤認については8件(前年度2件)。
指導は43件(前年度37件)。

その他の措置命令は 原産国表示2件、おとり広告1件(前年度0件)。
指導は「原産国表示」が8件(前年度6件)。

景品事件:
措置命令0件、指導のみ14件。前年度11件から3件増加。

表示事件の内訳

景品事件の内訳

措置命令の多かった商品役務は、前年度に引き続き「保健衛生品」で12件
商品役務別の措置命令処分件数では、
「保健衛生品」12件(前年度22件)が前年度に引き続き最多。
「食品」が8件(前年度3件)、「住居品」6件(前年度1件)、「車両・乗り物」5件、「運輸・通信サービス」「保険・福祉サービス」各3件、「教養娯楽品」「教育サービス」各1件、「その他」2件。
それ以外は0件となった。

処理事件の商品役務別分類

令和3年度の措置命令を行った事件
措置命令事件は次のとおり、全て表示事件であり、その件数は計41件である。
・亜塩素酸スプレーの除菌効果に関する不当表示 2件
・洗濯用品の洗浄、除菌及び部屋干し臭の発生を防止する効果に関する不当表示 1件
・食品の疾病の治療又は予防効果に関する不当表示 1件

・光回線インターネット接続サービスの契約に係る取次ぎに関する役務の提供に係る不当表示 1件
・まつ毛美容液の効果に関する不当表示 1件
・食品の痩身効果に関する不当表示  1件
・携帯型の空間除菌用品の効果に関する不当表示 1件
・空間除菌用品の効果に関する不当表示 5件
・マイナスイオン発生器の効果に関する不当表示 3件
・ボディクリームの痩身効果に関する不当表示  1件

・オンラインゲーム内のガチャの提供割合に関する不当表示 2件
・電気ケトルの機能に関する不当表示 1件
・雑貨品等の原産国に関する不当表示 1件
・酒類の原産国に関する不当表示 1件
・撮影プランの提供価格に関する不当表示 1件
・豊胸サプリの効果に関する不当表示 4件
・食品の体重増加阻止の効果に関する不当表示 1件

・自動車装備に関する不当表示 2件
・中古自動車の修復歴及び走行距離に関する不当表示 3件
・ガソリンの販売価格に関する不当表示 2件
・脱毛エステの提供価格に関する不当表示 3件
・脱毛器の提供価格等に関する不当表示 1件
・ウエス生地の組成に関する不当表示 1件
・介護職員講座の提供価格に関する不当表示 1件
※太字は不実証広告規制(第7条第2項)適用事案:21件

課徴金納付命令13名の事業者に対して4億8484万円
令和3年度は、13名の事業者に対して、延べ15件の課徴金納付命令を行い、4億8484万円の課徴金納付命じた。
(令和2年度は、14名の事業者に対して、延べ15件の課徴金納付命令を行い、11億7238万円の課徴金納付を命じた。)
なお、実施予定返金措置計画はなし。
(過去の認定された返金措置は消費者庁Webサイトに掲載)
◆認定された返金措置一覧(消費者庁HP)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/authorization_list/

規模基準(課徴金額が150万円未満となる場合には、課徴金を賦課しない)等により、消費者庁が措置命令を行った案件のうち、過去3年度の間に課徴金を賦課しないこととされた案件の合計は56件。

※景品表示法の課徴金制度は、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」が平成26年11月19日に成立し、平成28年4月1日から施行され、運用が始まった。

行政処分取消訴訟
●株式会社だいにち堂に対する景品表示法に基づく措置命令(平成29年3月9日)
平成30年8月24日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した。
令和2年3月4日、東京地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされ、同月16日、原告が同判決の取消しを求めて控訴を提起した。
令和2年10月28日、東京高等裁判所において控訴人の控訴を棄却する判決がなされた。同年11月11日、原告が同判決を不服とし上告を提起するとともに上告受理申立てがなされた。
令和4年2月22日、最高裁判所において、上告審として受理しない決定、同年3月8日同裁判所において、上告人の上告を棄却する判決がなされた(判決確定)。
・「いわゆる健康食品」の暗示的広告表現に対する消費者庁の判断。「アスタキサンチン アイ&アイ」に景表法措置命令(消費者庁:平成29年3月9日)

●ティーライフ株式会社に対して景品表示法の規定に基づく措置命令(令和3年3月23日)
令和元年4月12日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した。
令和4年4月28日、東京地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされた(判決確定)。
・痩身系健康茶「メタボメ茶」、ティーライフ(株)に対し2度目の景表法措置命令。体験談は「ダイエットプーアール茶」?(消費者庁:2021年3月23日)

●株式会社ユニクエストに対して景品表示法の規定に基づく課徴金納付命令(令和3年7月2日)
令和3年12月24日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した(訴訟係属中)。

●大幸薬品株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令(令和3年12月14日)
大幸薬品が同命令の仮の差止めの申立てを行った。
令和4年1月12日、東京地方裁判所において、大幸薬品の申立てを一部却下する決定がなされたところ、同月13日に大幸薬品が、同月20日に国(消費者庁)が、同決定におけるそれぞれの敗訴部分の取消しを求めてそれぞれ即時抗告を行った。
同年4月13日、東京高等裁判所において、東京地方裁判所の決定のうち国(消費者庁)の敗訴部分を取り消し、申立人(大幸薬品)の抗告を棄却する決定がなされた(決定確定)。同月25日、申立人が上記の差止めの訴えを取り下げた。
・クレベリン「置き型」にも景表法措置命令。空間除菌効果表示の合理的根拠、消費者庁に軍配(消費者庁 2022年4月15日)

《都道府県知事》の処理状況

都道府県の措置命令は4件。東京都、埼玉県、静岡県
都道府県では3都道府県(東京都、埼玉県、静岡県)において4件の措置命令が行われている。
都道府県による措置命令件数の推移は、平成27年度においては3件、平成28年度は1件、平成29年度は8件、平成30年度は9件、令和元年度は15件、令和2年度は8件。
(平成26年11月末日までは指示。同年12月以降、各都道府県知事に対して、新たに景品表示法の規定に基づく措置命令権限と不実証広告規制に係る合理的根拠提出要求権限が付与された。)

東京都:
・化粧品の豊胸効果に関する不当表示 1件
・補正ベルトの痩身効果に関する不当表示 1件
埼玉県:
・整体院施術サービスの認知症改善効果に関する不当表示 1件
静岡県:
・ホームセンターのセール企画に関する不当な二重価格表示 1件

参考記事:
・都道府県等への措置命令権限付与から7年。景表法執行に向けた運用課題と今後の取り組み

同じく令和4年度版報告書より、令和3年度の消費者庁の表示適正化への具体的な取組について、以下の記事にまとめています。

(※)
令和3年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_220526_01.pdf

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。