前回の記事では、消費者庁の「景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」(※1)より、令和元年度の景表法違反状況を取り上げました。
今回は、令和元年度の消費者庁の表示適正化への具体的な取組について報告します。
自社のコンプライアンス対策に、チェックしてみてください。
●携帯電話端末の広告表示に関する最近の動向
●事業者が講ずべき管理上の措置の執行 「指導及び助言」が96件
●公正競争規約の変更(食用塩、二輪自動車、飲用乳)
●インターネット上の広告表示の監視調査は継続中
●都道府県との連携、協力関係強化
●健康食品に対する景品表示法と健康増進法との一体的な執行
●携帯電話端末の広告表示に関する最近の動向
消費者庁では、平成30年度以降、継続的に表示の実態やそれに対する消費者の認識等を確認するとともに、携帯電話端末の広告表示に関する注意喚起等の取組を行っている。
◆携帯電話端末の店頭広告表示等の適正化について
~携帯電話端末の店頭広告表示とMNPにおける違約金の問題への対応~
(令和元年6月25日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/information_other/2019/pdf/information_other_2019_190625_0001.pdf
◆「携帯電話端末の広告表示に関する注意喚起等について
―安さを強調した広告表示に惹ひかれて契約した場合における想定外の不利益に御注意ください―」(令和元年9月26日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_190926_01.pdf
●事業者が講ずべき管理上の措置の執行 「指導及び助言」が96件
不当表示等の発生を防止するために、事業者が講ずべき必要な体制の整備その他の必要な措置について、消費者庁は必要な指導及び助言、勧告をすることができる(景品表示法第27条、第28条第1項)。
勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。(第28条第2項)
令和元年度は「指導及び助言」が96件となった。

●公正競争規約の変更(食用塩、二輪自動車、飲用乳)
令和元年度に消費者庁長官及び公正取引委員会の認定した規約変更19件のうち、内容に実質的な変更があったものは次のとおり。
食用塩(表示)
食品表示法(平成25年法律第70号)に基づく食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の一部を改正し、全ての加工食品に原料原産地表示を義務付ける内閣府令(平成29年内閣府令第43号)の施行に伴う一部変更を行った。(令和元年6月7日認定、承認)
食用塩の表示に関する公正競争規約及び施行規則
(施行日:令和元年6月28日)
https://www.jfftc.org/rule_kiyaku/pdf_kiyaku_hyouji/salt.pdf
二輪自動車(表示)
中古二輪自動車の新聞、雑誌、インターネット等の広告表示について、おとり広告抑止の観点から車台番号の表示を義務付けるための一部変更を行った。(令和元年11月14日認定、承認)
二輪自動車業における表示に関する公正競争規約及び同施行規則
(施行日:令和元年12月10日)
https://www.jfftc.org/rule_kiyaku/pdf_kiyaku_hyouji/motorcycle.pdf
飲用乳(表示)
打消し表示に係る規定を追加するとともに、原料原産地府令が施行されたことに伴う一部変更を行った。(令和2年2月13日認定、承認)
飲用乳の表示に関する公正競争規約及び同施行規則
(施行日:令和2年3月6日告示)
https://www.jfftc.org/rule_kiyaku/pdf_kiyaku_hyouji/milk.pdf
●インターネット上の広告表示の監視調査は継続中
・消費者庁では、一般消費者に「電子商取引表示調査員」として、インターネット上の広告表示の調査を委託している。
・電子商取引表示調査員からの報告は、景品表示法違反事件の端緒の発見、景品表示法違反行為の未然防止の観点から行う事業者への啓発活動に活用している。
・令和元年度は、735件(前年度684件)が報告され、そのうち、景品表示法違反の問題があると認められたサイトは、142サイト(前年143サイト)133事業者(前年136事業者)。景品表示法の未然防止の観点から注意が行われた。
●都道府県との連携、協力関係強化
・都道府県における景品表示法の執行力の強化に向けて、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等と協力して北海道・東北地区、関東甲信越地区、中部地区、近畿地区、中国地区、四国地区、九州・沖縄地区のブロックごとに年2回都道府県との連絡会議を開催し、景品表示法担当職員向けに研修を実施。
・都道府県職員対象の執行研修や、都道府県が行う景品表示法の運用に関して助言を行う。
・消費者庁は、平成24年4月1日から景品表示法に関する調査情報等を共有するネットワーク(景品表示法執行NETシステム)の運用を開始し(※2)、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等及び都道府県等との情報共有の緊密化、協力関係強化を図っている。
●健康食品に対する景品表示法と健康増進法との一体的な執行
虚偽・誇大広告等に対しては、景品表示法及び健康増進法に基づく法執行が消費者庁の表示対策課食品表示対策室において行われた。
・平成28年6月30日に全面改訂を行った「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の周知に引き続き注力。
・令和元年度に、インターネット上で特定保健用食品及び機能性表示食品の虚偽・誇大広告の監視を行い、健康増進法第31条第1項(誇大広告の禁止)の規定に違反するおそれのある事業者に対しては、表示の改善を要請した。
・令和元年度は、景品表示法措置命令3件(前年度17件)のほか、健康増進法第31条第1項項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案について27件(前年度35件)の指導を行った。
●健康⾷品に関する景品表⽰法及び健康増進法上の留意事項について(要約版)
(パンフレット:消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160630premiums_9.pdf
●健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について
(全部改定 平成 28 年6月 30 日 消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160630premiums_8.pdf
・インターネット広告において、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうするウイルス予防商品の表示について、景品表示法及び健康増進法の観点から緊急監視を行った。この結果、インターネット広告においてウイルス予防商品を販売している64事業者による87商品(健康食品、マイナスイオン発生器、空間除菌商品、アロオイル、光触媒スプレー等)について、令和2年3月10日及び27日に、改善要請等の実施結果を公表するとともに、SNSを通じて消費者への注意喚起を行った。
・消費者庁、新型コロナウイルス予防商品緊急監視 30事業者による46商品の表示に改善要請(消費者庁 2020年2月25日~3月6日)
・根拠なし新型コロナの感染予防効果、34事業者41商品の表示に改善要請。消費者庁の緊急監視(第2弾) (消費者庁 2020年3月9日~3月19日)
消費者庁の表示適正化への取り組みで特に注目すべきは、不当表示等の発生防止のための事業者が講ずべき管理上の措置の執行が継続的に進められていることです。
課徴金納付命令の処分回避の条件という観点からも「不当表示の防止等を図るための管理監督」は十分に行なうことが重要です。
また、健康食品に対する景品表示法と健康増進法との一体的な執行強化の流れはさらに進むと考えられます。
加えて、新型コロナウイルス感染症拡大のような社会情勢に便乗した不当表示に対しても、迅速な対応が取られています。
事業者の皆さんには、一層の管理体制への取り組みが求められます。
広告法務のリスクマネジメントについて、お気軽にご相談ください。
(※1)
令和元年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_200626_02.pdf
(※2)
消費者庁『景品表示法執行NETシステム』運用開始!景品表示法執行が迅速化?
http://blog.fides-cd.co.jp/article/265751202.html
《関連記事》
・消費者庁が本気で調査!打消し表示は明瞭に
・景表法改正、事業者が講ずべき広告表示の適正管理の指針案(消費者庁 平成24年8月8日)
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