消費者庁が年度ごとの景表法違反に関する事件処理件数や、国や自治体の取り組みをまとめた「景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」(※)。
6月15日に公表された平成29年度の景表法違反状況を報告します。
●国の措置命令件数、都道府県の法的措置件数の合計、前年度の2倍超!
国の措置命令件数と都道府県の法的措置件数の合計は58件で、前年度の28件から倍以上の増加となった。
内訳をみると、国の措置命令件数が50件で前年度(27件)から23件増加、都道府県が行った法的措置(措置命令)は8件で前年度(1件)から7件増加となった。

*
国の措置命令件数について:
平成21年8月末日までは公正取引委員会における排除命令件数、同年9月以降は消費者庁における措置命令件数。
都道府県知事による法的措置件数について:
平成26年11月末日までは指示件数、同年12月1日以降は措置命令件数である(ただし、平成26年度の措置命令件数は0件。)。
《国(消費者庁及び公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等)》
● 調査件数、処理件数とも大幅増加!
29年度の景品表示法違反に関する国の調査件数は653件で、4年ぶりに増加した。
新規に着手した425件(前年度355件)のうち、職権探知件数は93件(前年度45件)で、前年度から倍増した。一般の消費者や事業者からの情報提供による調査件数は323件(前年度310件)で微増した。情報提供件数総数は11,053件で前年度7906件から再び増加に転じた。このうち食品表示に関係する内容(外食等、役務に分類されるものは含まない。)が含まれる情報数は702件。
処理件数は、措置命令が50件で前年度(27件)から23件増加し、指導も179件で前年度(138件)から41件増加し27年度並みとなった。都道府県移送は130件で前年度(80件)から大幅に増加し、都道府県との連携も進んでいる。

●優良誤認、有利誤認ともに増加、不実証広告規制の割合さらに高まる
29年度の措置命令は表示事件のみで、最も多かったのは優良誤認の27件(前年度21件)。内、不実証広告規制が23件(前年度15件)と85%以上を占める。有利誤認については20件(前年度5件)で23年度の11件以来の二桁件数となった。その他「おとり広告」が3件(前年度2件)、「原産国表示」が1件(前年度0件)となった。
指導については168件と、前年度132件から36件の増加となった。内訳では、優良誤認が95件(前年度76件)、有利誤認は65件(前年度46件)で共に19件増加。原産国表示が6件(前年度8件)、おとり広告が2件(前年度2件)で原産国表示が減少した。
(平成24年度から、「警告」、「注意」の区分を廃止し、「指導」にまとめられた。)
景品事件は、指導のみで14件。前年度11件から3件増加した。

*関係法条が2以上に渡る事件があるため、本表の合計は「調査件数等の推移」の合計と一致しない。

●措置命令の多かった商品役務は「食品」
商品役務別の措置命令処分件数を見ると、「食品」が19件(前年度9件)で大幅に増加し最多、次いで「教養娯楽品」8件(前年度0件)、「運輸・通信サービス」6件(前年度2件)だった。

●課徴金納付命令17名の事業者に対して3億9153万円
平成29年度は、17名の事業者に対して、延べ19件の課徴金納付命令を行い、3億9153万円の課徴金納付を命じた。
また、提出された実施予定返金措置計画について、認定は1件。
●平成28年度の措置命令を行った事件
措置命令事件は次のとおり、全て表示事件であり、その件数は計50件である。
・飲料の痩身効果に関する不当表示 1件
・特別用途食品の許可要件に関する不当表示 1件
・葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分とする機能性表示食品の痩身効果に関する不当表示 16件
・ウインナーソーセージの添加物使用に関する不当表示 1件
・下着の痩身効果に関する不当表示 1件
・玩具の原産国に関する不当表示 1件
・オンラインゲーム内のガチャに関する不当表示及びオンラインゲーム内の仮想通貨に関する不当表示 2件
・オンラインゲームにおけるアイテムの使用許諾に係る懸賞企画に関する不当表示 1件
・オンラインゲーム内のガチャのキャラクター出現確率に関する不当表示 1件
・移動体通信役務に係る通信速度及びSIMカードの販売数量シェアに関する不当表示並びに同役務に係るデータ通信量の通信利用容量の対象範囲に関する不当表示 1件
・中古自動車の保証に関する不当表示 1件
・日常生活における各種トラブルを解決するための役務に関する不当表示 2件
・通信端末の販売に関する不当表示 1件
・自動車の車検サービスに係る提供価格の割引期限に関する不当表示及び同役務の提供価格に関する不当な二重価格表示 1件
・セキュリティソフトウェアの使用許諾に係る提供価格に関する不当な二重価格表示及び同役務の提供価格の割引期限に関する不当表示 1件
・介護職員講座の提供価格に関する不当な二重価格表示及び医療事務講座の 提供価格に関する不当な二重価格表示 2件
・住宅リフォーム工事の提供価格に関する不当な二重価格表示 1件
・英会話教材の販売価格に関する不当な二重価格表示及び同商品の販売価格の割引期限に関する不当表示 1件
・自動車用タイヤの販売価格に関する不当な二重価格表示 1件
・ガス機器の販売価格に関する不当な二重価格表示及びガス機器の取引に関 する不当表示 3件
・カー用品の販売価格に関する不当な二重価格表示 1件
・衣料品の割引率に関する不当表示 1件
・クリアホルダー等の販売価格に関する不当な二重価格表示 1件
・スポーツ用品等の販売価格に関する不当な二重価格表示 1件
・テレビ等の販売価格に関する不当な二重価格表示等 1件
・葬儀サービスの費用に関する不当表示 1件
・ポット型浄水器のカートリッジの個数に関する不当表示 1件
・自動車ボディ等の補修剤における効能に関する不当表示 1件
・液晶ディスプレイの機能に関する不当表示 2件
●行政処分取消訴訟
アマゾンジャパン合同会社に対する景品表示法の規定に基づく措置命令(平成29年12月27日)を行ったことに対し、平成30年1月26日、同社らが同命令の取消し及び同命令の執行停止を求めて提訴した(訴訟係属中)。
・アマゾンに不当な二重価格表示で景表法措置命令!表示責任のポイントは?(消費者庁:平成29年12月27日)
株式会社村田園に対する景品表示法に基づく措置命令(平成28年3月10日):
平成28年3月25日、同社が同命令の取消しを求めて東京地方裁判所に提訴した(訴訟係属中)。
平成29年6月27日、東京地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされた(平成29年7月11日に判決確定。)。
・「村田園万能茶」に景表法措置命令。パッケージ表示と原料原産国の優良誤認
《都道府県知事》
●都道府県の措置命令は8件で急増
都道府県では、7都道府県において8件の措置命令が行われている。平成27年度においては3件、平成28年度は1件。
(平成26年11月末日までは指示。同年12月以降、各都道府県知事に対して、新たに景品表示法の規定に基づく措置命令権限と不実証広告規制に係る合理的根拠提出要求権限が付与された。)
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次回は同じく29年度版報告書より、29年度の消費者庁の表示適正化への具体的な取組について報告します。
(※)
平成29年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180615_0002.pdf
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