消費者庁が年度ごとの景表法違反に関する事件処理件数や、国や自治体の取り組みをまとめた「景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」(※)。
6月30日に公表された28年度版報告書より、今回は、28年度の景表法違反状況を報告します。
●国の措置命令件数、都道府県の法的措置件数の合計、平成26年度の件数並みに
国の措置命令件数と都道府県の法的措置件数の合計は28件で、大幅に減少した前年度から、平成26年度の件数並みとなった。
内訳をみると、国の措置命令件数が27件で前年度(13件)から14件増加、都道府県が行った法的措置(措置命令)は1件で前年度(3件)から2件減少となった。

*
国の措置命令件数について:
平成21年8月末日までは公正取引委員会における排除命令件数、同年9月以降は消費者庁における措置命令件数。
都道府県知事による法的措置件数について:
平成26年11月末日までは指示件数、同年12月1日以降は措置命令件数である(ただし、平成26年度の措置命令件数は0件。)。
《国(消費者庁及び公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等)》
● 調査件数、処理件数とも減少傾向続く
28年度の景品表示法違反に関する国の調査件数は543件で、3年連続減少した。
新規に着手した355件(前年度430件)のうち、職権探知件数は45件(前年度129件)で、前年度から大幅に減少した。一方、一般の消費者や事業者からの情報提供による調査件数は310件(前年度301件)で増加した。情報提供件数総数は7906件で前年度9667件から減少した。
処理件数は、措置命令が27件で前年度(13件)から14件増加したが、指導が138件で前年度(178件)から40件減少した。都道府県移送は80件で前年度(78件)から横ばいとなっている。

●優良誤認、有利誤認ともに増加、不実証広告規制の割合変わらず
28年度の措置命令は表示事件のみで、最も多かったのは優良誤認の21件(前年度11件)。内、不実証広告規制が15件(前年度8件)と7割以上を占める。有利誤認については、5件(前年度2件)。その他「おとり広告」が、2件(前年度1件)となった。
指導については132件と、前年度154件から減少した。内訳では、優良誤認が76件(前年度87件)で減少、有利誤認は46件で前年度と横ばい、原産国表示が8件(前年度19件)、おとり広告が2件(前年度2件)で原産国表示が減少した。
(平成24年度から、「警告」、「注意」の区分を廃止し、「指導」にまとめられた。)
景品事件は、指導のみで11件。前年度28件から減少した。

*関係法条が2以上に渡る事件があるため、本表の合計は「調査件数等の推移」の合計と一致しない。

●措置命令の多かった商品役務は「食品」
商品役務別の措置命令処分件数を見ると、「食品」が9件(前年度7件)で最多、次いで「車両・乗り物」は3件(前年度2件)だった。

※関係する商品役務が2以上にわたる事件があるため、本表の合計は「調査件数等の推移」の合計と一致しない。
(*)外食等、役務に分類されるものは含まない。
●平成28年度の措置命令を行った事件
措置命令事件は次のとおり、全て表示事件であり、その件数は計27件である。
健康食品の痩身効果の不当表示は前年度6件から7件に増加した。表示対策課食品表示対策室において、いわゆる健康食品の虚偽・誇大広告等に対して、景品表示法と健康増進法との一体的な執行が行われている。
・小顔になる効果を標ぼうする役務の効果に関する不当表示 9件
・神戸牛に関する不当表示 2件
・軽自動車の燃費性能に関する不当表示 2件
・普通自動車及び小型自動車の燃費性能に関する不当表示 1件
・フライパンの表面処理加工に関する不当表示 1件
・石鹸に係るシミの解消又は軽減効果に関する不当表示及び同石鹸に係る販売価格の割引期限に関する不当表示 1件
・特定保健用食品の許可要件に関する不当表示 2件
・飲料の痩身効果に関する不当表示 1件
・飲料の代謝促進、炎症抑制及び痩身効果に関する不当表示 1件
・健康食品の痩身効果に関する不当表示 1件
・健康食品の豊胸及び痩身効果に関する不当表示 1件
・健康食品の目の症状改善効果に関する不当表示 1件
・寝具等の販売価格に関する不当表示 1件
・インターネット接続サービスに係る提供価格の割引期限に関する不当表示 1件
・光回線インターネット接続サービスに係る提供価格の割引期間に関する不当表示 1件
・靴の販売価格に関する不当表示 1件
●行政処分取消訴訟
(株)翠光トップライン及び(株)ジェイトップラインに対する景品表示法の規定に基づく措置命令(平成27年2月27日):
平成27年3月18日、同社らが同命令の取消し及び損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴し、平成28年11月10日、原告らの請求をいずれも棄却する判決がなされた(原告らが平成28年11月24日に東京高等裁判所に控訴後、平成29年2月10日、控訴取下げにより確定。)。
・特許取得技術でもNG?翠光トップライン断熱フィルムに景表法措置命令
株式会社村田園に対する景品表示法に基づく措置命令(平成28年3月10日):
平成28年3月25日、同社が同命令の取消しを求めて東京地方裁判所に提訴した(訴訟係属中)。
・村田園万能茶、パッケージ表示と原料原産国に優良誤認(景表法措置命令)
《都道府県知事》
●都道府県の措置命令は1件
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都道府県では、静岡県において1件の措置命令が行われている。素干し小えびに関する不当表示事件であった。
平成27年度においては3件、平成26年度は指示3件、措置命令は0件。
(平成26年11月末日までは指示。同年12月以降、各都道府県知事に対して、新たに景品表示法の規定に基づく措置命令権限と不実証広告規制に係る合理的根拠提出要求権限が付与された。)
次回は同じく28年度版報告書より、28年度の消費者庁の表示適正化への具体的な取組について報告します。
(※)
平成28年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170630_0001.pdf
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