2023年10月1日に施行された ステルスマーケティング告示の2事案目の行政処分です。
消費者庁は2024年8月8日に、RIZAP(株)(東京都新宿区)の運営する「chocoZAP」に関する表示に対して、優良誤認と景品表示法第5条第3号による措置命令を行いました。
優良誤認は、chocoZAP が提供する各種サービスについて、利用可能時間帯が制限されているサービスがあるにもかかわらず、すべてのサービスについて「24 時間いつでも利用可能」であるかのような表示です。
ステマ告示違反は、RIZAPがインフルエンサーへ投稿依頼を行なったInstagram 内の投稿(事業者の表示)を、自社Webサイトにおいて、PR表記をせずに、「お客様の声」として第三者の客観的な意見であるかのように表示していたことによるものです。
処分の内容を確認します。
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RIZAP株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2024年8月9日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/038980
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違反概要
●優良誤認表示
【対象役務】
RIZAPが運営する「chocoZAP」と称する店舗において提供するサービス
セルフホワイトニング、セルフ脱毛、デスクバイク、セルフネイル、セルフエステ、マッサージチェア、ゴルフ、ワークスペース
【表示媒体・表示箇所・表示期間】
「\\1回たった10分で//理想の白い歯へ」と称する自社ウェブサイト
2024年3月28日及び同月29日
Instagram内のアカウントの投稿
2024年2月16日~6月24日
【違反表示内容】
例えば、自社ウェブサイトにおいて、「追加料金なしで 全サービスも24時間使い放題!」、「ボディメイクや美容ケアはもちろん、リラクゼーションやワーキングスペースも好きな時にご利用可能です!」等と表示。
あたかも、本件役務の各サービスについて、1日24時間のうち、いつでも又は好きな時に利用できるかのように示す表示をしていた。
実際:
本件役務の各サービスについて、利用できる最大の合計時間数は、1日24時間のうち、いつでも又は好きな時に利用できるものではなかった。
利用できる最大の合計時間数
セルフホワイトニング:5時間、セルフ脱毛:7時間、デスクバイク7時間40分、
セルフネイル:8時間20分、セルフエステ・マッサージチェア:14時間40分、
ゴルフ・ワークスペース:16時間
表示例:「\\1回たった10分で//理想の白い歯へ」と称する自社ウェブサイト
表示例:Instagram内のアカウントの投稿
●ステルスマーケティング告示
【対象役務】
RIZAPが運営する「chocoZAP」と称する店舗において提供するサービス
【表示媒体・表示箇所・表示期間】
「chocoZAP」と称する自社ウェブサイト:
「お客様の声」との表示箇所
2024年1月29日、2月7日、14日、21日、26日、29日、3月6日、13日、21日、27日
「みんなのchocoZAP活用術 ▼お客様の声 chocoZAPの活用術や体験談をご紹介します!」との表示箇所
2024年1月30日、2月21日、26日、29日、3月6日、13日、21日、27日
「SNSでも話題!\ジム以外のサービスも大好評!/」との表示箇所
2024年1月29日、2月7日、14日、22日、26日、29日、3月6日、13日、21日、27日
「セルフでも簡単!毎日をもっとキレイに! 完璧つるすべ肌へ 業務用脱毛マシン採用」と称する自社ウェブサイト:
「SNSでも話題!絶賛の口コミ続々」との表示箇所
「家事の合間 会社帰り 短期集中に毎日頑張るカラダを癒して美ボディ&美肌へ」と称する自社ウェブサイト:
「・USER VICE・\SNSでも話題!/絶賛の口コミ続々」及び「・USER VICE・\SNSでも話題!/はじめる人急増中!」との表示箇所
2024年3月28日
「\\1回たった10分で//理想の白い歯へ」と称する自社ウェブサイト:
「チョコザップ セルフホワイトニング 話題沸騰中!」との表示箇所
2024年3月28日、29日
【違反表示内容】
第三者に対し、対価を提供することを条件に、本件役務についてInstagramに投稿を依頼したことによって当該第三者が投稿した表示を、RIZAPが依頼した投稿であることを明らかにせずに抜粋するなどして表示していたことから、RIZAPは、本件役務に関する表示内容の決定に関与しているものであり、当該表示は事業者の表示と認められる。
表示例)
自社ウェブサイトの「SNSでも話題!絶賛の口コミ続々」との表示箇所において、サングラスをかけた女性がセルフ脱毛の機器を使用する画像と共に、
「気になっていた『chocoZAP』ついに入会しちゃった」、「なんと完全個室のセルフ脱毛が使い放題 !!←これにかなり惹かれた感ある」、「しかも服装自由・シューズの履き替え不要で来たままの服装でメチャクチャ気軽に通える!」、「@●●●●●●●●●」、「※個人の感想です。」等。
上記表示は、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは認められないことから、当該表示は、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であると認められる表示に該当するものであった。
表示例:「セルフでも簡単!毎日をもっとキレイに! 完璧つるすべ肌へ 業務用脱毛マシン採用」と称する自社ウェブサイト
本事案では、「24 時間いつでも利用可能」の強調表示に対して、利用可能時間帯が制限されているサービスについて、打消し表示を行っていましたが、打消し表示は認められませんでした。
また、PR表記は不要と考えられる自社Webサイトにおいても、事業者が関与した第三者の投稿を、PR表記をせずに「お客様の声」として表示することが、ステマ告示違反とみなされました。
以下の記事では、本事案で優良誤認認定された打消し表示の問題点及びSNSタイアップ投稿の自社メディア転載における注意事項について解説します。
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《参考記事》
・医療法人社団祐真会、Googleマップの口コミ投稿にステマ告示初の措置命令 (消費者庁 2024年6月7日)
・広告主に課されるアフィリエイト広告の適正管理。ステマ規制も示される(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針改正 2022年6月29日)
・顧客による自主的な投稿ではない「口コミ」評価のNo.1表示に優良誤認。埼玉県 整骨院「くまのみ」に景表法措置命令(埼玉県 2023年3月14日)
・「妊活」サプリ、ゼネラルリンクに景表法措置命令 ステマランキングサイトによる広告手法に注意(消費者庁 2020年3月10日)
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