埼玉県 整体院LAPREの認知症改善効果表示に景表法措置命令(埼玉県 2022年2月17日)

埼玉県は2月17日に、大阪、東京、埼玉、千葉で認知症専門リハビリテーションの整体院を経営する(株)LAPRE(大阪府吹田市)に対し、ウェブサイトにおいて表示した施術効果等の表示について、景品表示法優良誤認の措置命令を行いました。

平成26年12月の景表法改正で、都道府県知事に付与された措置命令権限によるものです。
しかしながら、本記事投稿の4月13日時点の表示の改善状況を見る限り、未だ不完全であると言え、命令を真摯に受け止めているとは感じられません。
違反内容と、同社の表示改善状況も併せて確認します。

また、国家資格が必要なあん摩マッサージ指圧・鍼灸・柔道整復(接骨)の施術院の広告は、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)」、「柔道整復師法」の法規制の対象となります。
厚生労働省で進められている広告ガイドライン策定の動きもチェックしておきましょう。

———-
整体院等を経営する事業者に対して行政処分を行いました 
(埼玉県 2022年2月17日)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0310/news/page/news2022021701.html
———-


【違反内容】

事業者の概要:
株式会社LAPRE
大阪府吹田市 代表者:代表取締役 岡本 一馬

対象役務:
認知症専門リハビリテーション

表示媒体:
自社ウェブサイト

表示期間:
2018年12月1日から2022年1月7日まで

表示内容:
a)認知症改善効果
以下のように記載し、あたかも、本件役務には認知症を改善する効果があるかのように表示していた。
実際:
顧客が認知症の診断を受けていない場合にも本件役務の提供はなされており、さらに、認知症が改善したとする定義は医師が診断した結果によるものではなく、MMSE等のいわゆるスクリーニング検査の点数の向上又は顧客の主観的意見及び顧客の家族の客観的意見によるものであった。

<表示内容・修正内容>
「これが、薬を使わず認知症を改善させた脳のリハビリの方法です」

→「これが、薬を使わず認知症状を好転させたリハビリの方法です」

【違反認定表示】

(埼玉県公表資料より引用)

【修正後】

((株)LAPRE自社ウェブサイト 2022年4月13日時点)

「認知症の脳は、神経伝達が最後まで届かず、途中で行き詰まってエラーが起きています。脳のリハビリにより神経細胞が迂回経路を作ることで、神経伝達が最後まで届くようになります。これは脳梗塞で体にマヒが出た人が、病院のリハビリで回復するのと同じ原理です。また、回復する可能性があっても適切なリハビリがないと、機能は停止したまま更に悪化します。認知症専門リハビリLAPREでは、そんな脳のリハビリを受けることができます!」

→「認知症専門リハビリLAPRE」の「専門」の文言削除

「全国の医療従事者、介護関係者に認められている「認知症専門リハビリ」で「認知症は悪化する一方だ」と諦めていたあなたのご家族の認知症症状を改善させていきます。」

→未修整

b)日本で唯一
以下のように記載し、あたかも、日本で唯一の認知症が改善する役務の提供ができる施設であるかのように表示していた。
実際:
第三者機関による調査の結果等で、日本で唯一認知症が改善できる施設であるとされたのではなく、同様の施設が存在しないと自認しているのみであった。

<表示内容・修正内容>
「改善実績日本一」

→「YouTubeチャンネル登録者10万人突破」

「認知症専門リハビリ専門LAPREは日本で唯一、改善実績のあるリハビリ施設です。」

→「認知症リハビリLAPREは日本でも数少ない、改善実績のあるリハビリ施設です。」

「認知症専門リハビリLAPREは、全国で圧倒的な実績を誇る唯一の「認知症専門」リハビリ施設です。「もう親の認知症は悪くなる一方だ」と諦めていた方の認知症症状を改善させてきた実績があります。」

→未修整

「あなたには3つの道があります 本気で辛い症状を改善したいあなたはどの道を選びますか? 3つ目は、リハビリのプロとしての証である国家資格を持ち、日本全国の医療従事者から支持され、あなたが悩む症状に真正面から向き合う、日本で唯一の″認知症専門リハビリLAPRE″に来院し、家族の喜びと希望の人生を手に入れる道。」

→プロとしての証である「認知症リハビリ専門の資格」を持ち、日本全国の医療従事者から支持され、あなたが悩む症状に真正面から向き合う、”認知症リハビリLAPRE”に来院し、家族の喜びと希望の人生を手に入れる道。

c)メディア掲載
以下のように記載し、あたかも、本件役務が様々なメディアの企画又は特集として取上げられているかのように表示していた。
実際:
雑誌の企画又は特集ではなく、整体院等の広告として掲載されているものであった。

<表示内容・修正内容>
「当院は様々なメディアに取り上げられております」
雑誌の表紙の写真及び雑誌の掲載記事とともに「全国発行雑誌「からだにいいこと」に日本で唯一、認知症の改善実績のある「脳のリハビリ」として掲載されました!」

→削除

d)体験談
以下のように記載し、あたかも、体験談が掲載された12名の顧客は、本件役務の提供により認知症が改善した体験を有しているかのように表示していた。
「※個人の感想であり、成果を保証するものではありません。」と表示していたが、体験談の表示から受ける本件役務の効果に関する認識を打ち消すものではない。
実際:
(1)体験談が掲載された12名の顧客うち、6名は医療機関に通院しており、そのうちの2名は薬を服用していたが、本件役務の効果によってのみ認知症が改善されたと判断できる医師の施術記録等はなかった。
(2)残りの6名は、認知症の診断を受けていないにもかかわらず、本件役務の効果によって認知症が改善されたと評価されていた。

(1)(2)より、体験談が掲載された12名の顧客は、認知症が改善したとの体験談を有しているとはいえない。

<表示内容・修正内容>
「事実、認知症専門リハビリを受けたご家族様はこのような結果を手に入れております・・・」
「当院のリハビリで改善されたお客様の喜びの声」

→削除

不完全なLAPREの広告表示改善

LAPREは、措置命令から1か月以上経過した3月23日に同社HPにお詫び掲載し、今回指摘のあった表示に関しては、表示内容の見直しや削除など、順次対応を進めている、今回の措置命令を真摯に受け止め、表示の是正やスタッフ教育等の法令遵守及び再発防止のための管理体制の一層の強化に努める、としています。

しかしながら、4月13日時点の表示の改善状況を見る限り、未だ不完全であると言え、命令を真摯に受け止めているとは感じられません。

埼玉県の措置命令に関するお知らせ
(認知症リハビリLAPRE 令和4年3月23日)
https://anshin.jdr-association.jp/shuchibun

次ページでは、国家資格が必要なあん摩マッサージ指圧・鍼灸・柔道整復(接骨)の施術院の広告を規制する、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)」、「柔道整復師法」について確認します。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。