ヤフー広告審査非承認理由、薬機法、No.1表示規定への抵触が各3割。最新の広告掲載基準は?

年々強まる傾向にある広告関連法規制とともに、広告媒体審査も厳しさを増しているのが現状です。
テキストベースだけでなく、画像や動画に対しても、厳しくチェックされています。

ヤフーでは、広告サービス品質向上のための取り組みとして、不適切な広告の掲載を防ぐため、広告掲載基準を定め、虚偽誇大広告や詐欺的な広告などの法令に違反する広告や、ユーザーに不快感・不安感をあたえるような広告などの掲載を防止しています。
広告の審査は「広告アカウント」「広告素材」「広告掲載面」について、広告の入稿前から掲載開始後にわたり、掲載基準に基づき審査スタッフとシステムにより24時間365日行われているということです。

ヤフーでは、この審査実績を2019年度より半期ごとに公開しています。
4回目となる2021年度上半期(2021年4月~2021年9月)の審査では、約5,700万件(※)の広告素材をYahoo! JAPANが定めた掲載基準に抵触する素材として非承認としています。
20年度下半期と比較して非承認数には大きな増減は見られませんでしたが、非承認理由では増減が見られました。

審査レポートより、ヤフーの非承認広告の審査傾向と審査基準の最新動向について確認します。

※Yahoo! JAPAN 広告掲載基準・広告入稿規定・広告販売ルールに抵触した広告タイトル・説明文・画像・リンク先サイト・キーワードの各非承認数を合計した件数

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広告サービス品質に関する透明性レポート 2021年度上半期
(ヤフー株式会社 2021年12月)
https://marketing.yahoo.co.jp/strength/quality/adqualityreport/
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広告審査非承認理由、薬機法、No.1表示規定への抵触が各3割

2021年度上半期は、2020年度下半期と比較して「薬用化粧品(医薬部外品)、化粧品」や「最上級表示・No.1表示」、「ユーザーの意に反する広告の禁止」の掲載基準での非承認数が増加。この3つの項目で全体の非承認数の約70%を占める。
薬用化粧品(医薬部外品)、化粧品や最上級表示の増加は、広告表現に新たな傾向が見られ、
ユーザーの意に反する広告では、リンク先サイトが正しく表示されず非承認としたケースが目立った。
他方、大幅な減少が見られたのは、「ユーザーに不快感を与えるような表現」の基準に抵触する広告数で-13ポイントとなった。

広告掲載基準
「薬用化粧品(医薬部外品)、化粧品」
https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/guideline/articledetail?lan=ja&aid=1599
「最上級表示・No.1表示」
https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/guideline/articledetail?lan=ja&aid=1629
「ユーザーの意に反する広告の禁止」
https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/guideline/articledetail?lan=ja&aid=1515

動画では、「ユーザーに不快感を与えるような表現」の非承認目立つ

広告素材別非承認理由では、広告タイトル・説明文は「最上級表示、No.1 表示」が約55%、次いで「薬用化粧品(医薬部外品)、化粧品」が約25%。
画像は、「最上級表示、No.1 表示」が約80%。
動画は、「ユーザーに不快感を与えるような表現」が約40%、「最上級表示、No.1 表示」と「薬用化粧品(医薬部外品)、化粧品」が約15%。

最上級表示では、クリエイティブ内に第三者によるデータ出典・調査機関名および調査年の明記や、調査データが最新の1年以内のデータであることなど、客観的な根拠の表示がない広告の非承認が多くあった。
動画の「ユーザーに不快感を与えるような表現」では、ゲームアプリや電子書籍の訴求で恐怖感をあおる表現、性的な表現があるもの、衛用品の訴求で、顔の一部を拡大表示し、汚れを見せる表現等が見受けられた。

広告掲載基準
「ユーザーに不快感を与えるような表現」
https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/guideline/articledetail?lan=ja&aid=1625

新型コロナ関連不適切広告は大幅減少

新型コロナウイルスに関連する広告の訴求内容には、大きな変化あり。
2020年当初は、休業支援金の手続き代理サービス、オンライン学習、除菌グッズなど。2021年には、PCR検査キット、オンライン診療、ワクチン接種関連、取消料無料プランのある旅行など。

2020年 4月に、新型コロナウイルスの「予防」や「治療」ができるような誤解を与えたり、便乗したものなど、 新型コロナウイルスに関連する不適切な広告への注意喚起を行い、同時に審査を強化した。
その後、2021年度上半期には、その様な不適切な広告の非承認数は大幅に減少した。
非承認件数:2020年度上半期(18,704件)、 2020年度下半期(13,734件)、2021年度上半期(2,074件)

次ページではヤフー広告審査基準の最新動向を確認します。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。