フリマサイト上での医薬品等の違法出品の防止に向けた取り組み

前回の記事では、一般用医薬品のネット販売における販売ルールの順守状況について、取り上げました。

一般用医薬品のネット販売は、許可を受けた薬局・薬店(店舗販売業)しか行うことができません。
許可なく、医薬品等をネット通販やフリマサイト等で取引することは、医薬品医療機器等法に違反する恐れがあり、禁じられています。

《薬機法違反のおそれのある行為》
・許可無く医薬品をフリマサイト等で販売すること
・許可や届出無く医療機器(一般医療機器除く)をフリマサイト等で販売すること
・個人輸入した化粧品(海外製化粧品)等をフリマサイト等で販売すること
・国内で医薬品に指定されている成分を含む海外製のサプリメントを出品すること
・製造番号(ロット番号)や成分表示などの法定表示事項の一部または全部が変更、削除された化粧品等を販売すること

しかしながら、フリーマーケットサイト(メルカリ、ラクマ等)やオークションサイト(ヤフオク!、モバオク!等)、クラシファイドサイト(ジモティー等)といった消費者間取引(C to C)が活発になる中、フリマサイト等での医薬品や化粧品等の違法出品が増えています。

違法・危険商品の流通の防止に向けて、ショッピングモールやフリマサイトなどデジタル・プラットフォーム企業は、取引機会を提供する立場にあり、かつ、出店者・出品者の管理やルールの設定等を行うという点で、その役割が重要視されています。


消費者庁による「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」においても、今後の施策の方針として、デジタル・プラットフォーム企業に対して一定の対応を行う責任を求めています。

具体的には、必要に応じ行政機関と協働し、例えば違法・危険商品の流通が外形上明らかである場合や、関係行政機関からの通知等によりデジタル・プラットフォーム企業がそれを認識できる場合等に対応を行うというものです。

同時に、行政機関においては、継続的に出店者・出品者に対する販売規制や表示規制を含む法令の見直しや監視体制の整備を進めていくことも重要であるとしています。

2018年には、東京都では福祉保健局健康安全部薬務課に「サイバー薬事監視担当」を置き、ショッピングモールやフリマサイト等の運営企業の協力を得て、法令に抵触するような出品に係るサイトパトロールを実施しています。

◆フリマサイト等に出品される医薬品等のパトロールを強化します
(東京都福祉保健局 2018年7月3日)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/07/04/01.html

また、薬機法の認識が低く、悪意なく法令に違反してしまう出品者に対して、都では普及啓発用のホームページを作成し啓発指導をおこなっています。
フリマサイト関連協力企業が出品物を削除したり、広告是正する際に、出品者に理由を説明する際にも活用されています。

◆フリマ・オークションサイト(アプリ)で許可なく医薬品等を販売することはできません
(東京都福祉保健局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/iyaku/koukokukisei/furimakisei.html

◆ネットオークションやフリマアプリを利用して出品された医薬品の購入などについて
(東京都福祉保健局)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/kenkou/iyaku/sonota/koukoku/auction-keihatsu.html

デジタル・プラットフォーム上での医薬品等の違法・危険商品流通防止に向け、デジタル・プラットフォーム企業、関係行政機関や団体等が相互に協力し、社会全体での取り組みが今後ますます広がっていきそうです。

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◆第329回 消費者委員会本会議(2020年10月8日)
デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会 論点整理
特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会 報告書
  https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2020/329/shiryou/index.html
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≪関連記事≫

《関連記事》
・医薬品ネット販売対応、概ね改善。 濫用等のおそれがある医薬品の複数購入対応に課題(令和2年9月 医薬品販売制度実態把握調査)

・東京都サイバー薬事監視の取組(1)【ネットショッピングモール(B to C)編】

・東京都サイバー薬事監視の取組(2)【フリーマーケットサイト(C to C)編】

・東京都、フリマサイト薬事監視強化。フリマサイト6社に加え、Twitter Japanと連携
(東京都福祉保健局 2019年2月)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。