「天然植物由来成分 90%以上」。I-ne頭髪洗浄剤の強調表示と注記表示に、適格消費者団体が是正申入れ

適格消費者団体による、頭髪洗浄剤の強調表示と注記表示に対する是正申入れ事案です。

「特定非営利活動法人 消費者機構日本」が、株式会社 I-neに対して「BOTANIST シャンプー&トリートメント」の容器に貼付されている宣伝シール及び詰替え用パッケージ上の表示の改善を求め、2017年8月1日に裁判外の和解をしたと発表しました。
(消費者庁においても、消費者契約法第39条第1項に基づき内容が公表されています)

表示の改善を求めた内容は、以下の通りです。

表示媒体:
製品の容器に貼付されている宣伝シール及び詰替え用パッケージ上の表示
対象商品:
「BOTANIST シャンプー&トリートメント」

問題となる表示:
1)「天然植物由来成分 90%以上」と目立つ大きな文字ポイントで表示。
2)その下に極小の文字ポイントの注釈で、「90%以上を植物由来成分とクリーンな水で構成」と表示。

※特定非営利活動法人 消費者機構日本 HPより抜粋

法律上の問題点:
1)の表示については、2)の表示があるとしてもその文字ポイントは非常に小さく目に入りにくいため、非常に大きな文字ポイントによる1)の表示だけが目に入ることとなり、表示全体として見れば、本件商品には「天然植物由来」の成分が非常に多量・高濃度に配合
されていると一般消費者を誤認させる可能性が高い。

また、2)の表示については、他社の同種又は類似の商品と比較して「植物由来成分」がより多い割合で配合されているか否か、「90%」のうち何%の「植物由来成分」が配合されているのか、一般消費者は確認することができないことから、一般消費者に「植物由来成分」が多量に配合されているとの印象を与える可能性がある。

→優良誤認(景品表示法30条1項1号)に該当する。

表示改善合意内容:

・本件商品の容器に添付されている宣伝用シールを2017年8月の出荷時より使用しない。
・詰め替え用パッケージ上に、「天然植物由来成分90%以上」との表示及びその注釈の表示を2017年9月末日までに削除する。
・問題となった表示と同趣旨の表示を、同社ウェブサイトおよび宣伝物においても行わない。

経過:

本事案は消費者機構日本がI-neに対し2017年4月26日に申入れを行い、I-neは同年5月29日に申入れ事項である優良誤認表示を削除する旨の回答がなされています。
また、「天然植物由来成分90%以上」の表示に代えて「こだわりの植物由来成分配合」との表示に変更することを考えているとしています。
新しいシールへの切り替えについて、I-neは 4カ月間の猶予を申し出ていましたが、それをを待たず、8月下旬から9月上旬頃には実施できることが確認されています。
消費者機構日本では、9月以降、表示の変更状況を店頭にて確認し、I-neが合意した表示改善事項について違背したことが判明した場合は、当機構のウェブサイト上で公表するとしています。

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「BOTANIST」シャンプー・リンス(株式会社I-ne)での表示
「天然植物由来成分90%以上」とその注釈が削除され、改善されます。
(特定非営利活動法人消費者機構日本 2017年8月8日)
http://www.coj.gr.jp/zesei/topic_170804_02.html

消費者機構日本と株式会社 I-ne との裁判外の和解について
(消費者庁 2017年9月25日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_qualified_consumer_organization/release39/2017/pdf/release39_170925_0001.pdf
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≪関連記事≫

・(合)BRONXに勝訴的和解。続く、「お試し価格からの定期購入」に対する適格消費者団体の差止請求 (京都消費者契約ネットワーク 平成29年6月2日和解)

・モイスト「定期購入」広告、適格消費者団体の指摘で改善(平成29年6月13日)

・クロレラ訴訟と消費者契約法改正の行方。「適格消費者団体」とは?

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。