消費者が見落としがちなTVショッピングの「返金条件表示」

今回は、消費者が見落としがちなテレビショッピングでの返品特約表示について、消費者のトラブル事例と対策のヒントをお届けします。

≪事例1:マッサージ器の使用後返品不可とは思いもよらなかった≫
≪事例2:納品書にのみ書かれている「返品条件」に気付かなかった≫

((社)日本通信販売協会(JADMA)発行情報誌「JADMANEWS(ジャドマニューズ)」(2016年4月号)より)

≪事例1:マッサージ器の使用後返品不可とは思いもよらなかった≫
TVショッピングでマッサージ器を購入した。試しに使用したところ腰が痛くなりそうで使えそうになく、返品を申し入れた。しかし、「使用後の返品はうけられない、返品条件はTVで伝えている」と返品拒否された。返品条件をTVで観た覚えがないし、使用してみないと自分に合うかどうかわからない商品が「使用後返品不可」とは思いもよらなかった。それが分かっていたら購入しなかった。

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TVでの返品特約表示について、事業者は「未使用・美荷風・商品到着後8日間以内」という返品条件を適宜表示している。
受注時にオペレータは返品条件を説明していなかった。
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≪事例2:納品書にのみ書かれている「返品条件」に気付かなかった≫

TVを見て「体型補正ベルト」を注文した。到着後化粧箱を開けてみると、TVでは素材が柔らかそうに見えたが、実際には堅そうで身につけられないため返品を申し入れた。しかし「化粧箱を開封した場合、返品不可」と拒否された。同梱された納品書を読み直すと返品条件の一つに「未開封・未使用」の条件が記載されていることに気付いた。
しかし、TV放映時や受注時には伝えず、納品書をよく読まないと返品条件が分からないというのは納得できない。
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TV広告では納品書記載と同様の返品特約が表示されていた。受注時にオペレータは返品条件を説明していなかった。
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アドバイス:


事例1、事例2ともに、TV広告で返品特約表示をしていましたが、消費者は見落としており、受注時に特約の説明は受けておらず、返品条件を承知した上で購入をしていませんでした。

返品特約表示は、特定商取引法による義務表示となっています。
しかしTVショッピングの場合、番組終了後に消費者は表示を再度確認することができません。そのため、事例のようなトラブルになることがあります。
特に事例1に関しては、マッサージ器という商品特性上、誤った利用によって健康被害に発展する可能性も考えられます。

・家庭用電気マッサージ器による危害 適正な使用のための情報提供
(国民生活センター 平成28年1月)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/433917159.html

2009年12月の特商法改正で、返品トラブルを防止するため、「商品」または「指定権利」について、返品特約とその表示方法について規制が強化されました。
特約がある場合は、広告画面に加えて、「最終申込み画面」にも、返品特約を表示する必要があります。(「最終申込み画面」で返品特約を表示しない場合、特約は有効となりません)
ただし、受注時での告知義務などの具体的な指示はありません。

事業者としては、返品条件など積極的に消費者に告知したいとは思わない事項かもしれません。しかし、トラブルを避け、消費者に不信感を抱かせないためには、注文確定前に返品条件について消費者の理解を得るよう、明瞭に適時適切な説明が求められます。

【トラブル防止の返品特約表示のポイント】
・ショップサイトにおいては詳細を利用ガイドに表示し、商品広告画面及び最終申込画面からリンクさせる。
・リンク表示は、他の事項に紛れてしまわないよう、サイズや配色に配慮し、購入者が認識しやすいようにする。
・注文確認画面や注文確認メールにも記載する。電話での受注時には、オペレータによる説明を行う。

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(社)日本通信販売協会 会報誌(ジャドマニューズ2016年4月号)
http://saas.startialab.com/acti_books/1045176281/32168/
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。