事業者の自主的取組に期待。デジタル・プラットフォームでの消費者トラブル解消に向けた取り組み(「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」 論点整理)


新型コロナウイルス感染症による新しい生活様式の下、ネット購入が拡大し、特にECモールやフリマアプリなどのデジタル・プラットフォームは、新たな日常における社会インフラとしての重要性が増しています。

前回の記事で取り上げた令和2年10月の物価モニター調査においても、ここ1か月間で最も使っているネット購入方法として、デジタル・プラットフォームを利用した購入を選ぶ人が6割となっており、ネット購入に不慣れな消費者でも、安心して利用できるためのデジタル・プラットフォームの役割も大きくなっています。

デジタル・プラットフォームを介した商取引での消費者トラブル解消を目的として、プラットフォームの在り方について議論を行う「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会」が2019年12月に立ち上げられ、議論が進められています。
第10回会合終了後の8月24日に、これまでの検討項目や今後の方向性、優先して検討すべき項目などをまとめた論点整理を公表し、10月8日の消費者委員会本会議で報告されました。

内容を抜粋してご紹介します。


デジタル・プラットフォームに対する今後の施策の基本的な視点として、以下の3項目を挙げています。

1. 消費者の安全・安心を確保する必要性
取引の「場」として消費者の安全・安心を確保しつつ、信頼性の向上を図ることが必要。
消費者被害の防止:
(1) 消費者安全等の視点
違法な製品・事故のおそれのある商品等の流通の防止や緊急時における生活必需品の流通不安の解消
(2) 商品選択時に消費者が合理的判断をするための情報提供の視点
虚偽誇大な広告表示の防止、問題のあるレビューの防止、パーソナルデータのプロファイリングを利用した広告表示の在り方、利用規約の理解促進
消費者被害の回復:
(3) 取引成立後の紛争解決上の不安の解消という視点
デジタル・プラットフォーム企業が関与する紛争解決の仕組み、売主買主間での直接の紛争解決のためのデジタル・プラットフォーム企業の役割

2. 関係者による総合的な取組の推進
関係者(行政機関、事業者・事業者団体、消費者・消費者団体等)の相互連携、デジタル・プラットフォーム企業の自主的な取組の推進、その取組が対外的に可視化され、市場や消費者から評価・選択され、成長していく市場環境を整備していく。

3. 悪質・重大事案への実効性のある取組
悪質行為者(海外事業者含む)への厳正な法執行、デジタル・プラットフォーム企業が果たすべき実効的な取組を共通ルールとして定める

特に気になる「消費者を誤認させる虚偽・誇大な広告表示」と「消費者の信頼を損なうレビュー」について、今後の施策の検討の方向性をピックアップしました。

●虚偽・誇大な広告表示について
・オンライン・ショッピングモールで出店者が販売する商品広告表示の企画・作成に関係する各事業者の関与は多様であり、全ての関係事業者が、その責任において、虚偽・誇大な広告表示の是正・抑止に取り組むことが望ましい。
・そのため、関係する事業者それぞれに法的に期待される役割の明確化、出店者とオンライン・ショッピングモール運営事業者のそれぞれへの景品表示法等の法令の規定の適用の整理が必要。
・景品表示法の規制対象は、商品又は役務の提供や流通の実態をみて実質的に判断され、「製造者又は販売者に止まる」ものではないが、各オンライン・ショッピングモール運営事業者による出店者の広告表示への関与についての実態を踏まえた検討が必要。
・個々の出店者の広告表示について、行政機関による景品表示法等の積極的な運用。
・出店者の虚偽・誇大な広告を防止するためのデジタル・プラットフォーム企業の取組の促進、出店者による自主的取組が開示されることによって、消費者による選択が促進されるような方策について検討。

●消費者の信頼を損なうレビューについて
・消費者が消費者レビューの仕組みをよく理解し、消費者に適正な利用を促していくよう消費者への啓発や注意喚起を推進。
・消費者保護のために問題とされるべきレビューの内容、不正の実態等の調査・整理、問題のあるレビューに関わる出店者、代行業者及びレビュワーの責任の明確化や法的手当の必要性、迅速で実効的な法執行に向けたデジタル・プラットフォーム企業との連携の在り方について、制度面も含め今後検討。
・デジタル・プラットフォーム企業に期待される役割や課題の整理、レビューの管理やモニタリング、削除の在り方、不正行為者への責任追及の在り方、自主的な取組に関する情報開示の在り方に関し、公的機関との連携も含めて今後検討。

今後の検討の中での重要検討事項として以下の4項目を挙げ、年内を目途に、必要な法的な枠組みも含め優先的に検討していくとしています。
1)違法な製品や事故のおそれのある商品等に関わる取引による重大な消費者被害の防止
2)緊急時における生活必需品等の流通の確保
3)一定の事案における取引の相手方の連絡先の開示を通じた紛争解決・被害回復のための基盤の確保
4)自主的な取組の促進と取組状況の開示を通じたデジタル・プラットフォーム企業のインセンティブの設計

本検討会及び、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」での討議を受けて、アマゾンジャパン、メルカリ、ヤフー、楽天は、デジタル・プラットフォーム企業の自主的な取組を強化すべく、8月24日に「オンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)」を設立しました。
その後、auコマース&ライフ、eBay(Qoo10)、リクルートが参加し、会員社は10月8日時点で7社となっています。

JOMCオンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)
https://www.onlinemarketplace.jp/

JOMCでは、各マーケットプレイスの自主的な取組に関し、情報開示を行う準備を進めています。
行政による規制で縛るのではなく、業界としての自主的な取り組みによって消費者の信頼を獲得し成長して行けることは、とても理想的なことと思います。
業界の取り組みに期待しています。

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◆第329回 消費者委員会本会議(2020年10月8日)
デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会 論点整理
特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会 報告書
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2020/329/shiryou/index.html
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《関連記事》

・1年前より「自社サイト購入」が増えた人は24%、「デジタル・プラットフォーム購入」が増えた人は39%(消費者庁 令和2年10月物価モニター調査)

・ネット通販ビギナーにもやさしい表示を。コロナ禍の「新しい生活様式」で増加するネット通販トラブル (国民生活センター 2020年9月)

・求められるデジタルプラットフォーム事業者の取引環境整備と消費者保護への役割と責任

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