gumiとスクウェア・エニックスに景表法措置命令。オンラインゲーム上の有料ガチャの抽選方法にミス(消費者庁:2021年6月29日)


消費者庁は6月29日に、(株)gumiと(株)スクウェア・エニックスの供給するオンラインゲーム「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」に関する表示に対し、景品表示法の措置命令を行いました。

オンラインゲーム上の有料ガチャについて、表示された提供割合に従って抽選が行われれば提供される可能性のあったアイテムの組合せのほとんどが、絶対に提供されないものであったとして、優良誤認表示とみなされました。
抽選方法の運用にミスがあり、結果的に表示された提供割合が優良誤認表示となりました。

今回処分を受けたgumiは、スクウェア・エニックスの監修を受けて本件ガチャを本件ゲームにおいて企画し、2社は共同して一般消費者に供給しており、gumiがゲーム内の表示内容について案を作成し、2社が共同して決定していました。
このことから、2社に対する処分となったと考えられます。

違反概要と、措置命令に対するスクウェア・エニックスの対応について確認します。
また、オンラインゲーム上の有料ガチャに対する行政の規制と業界のコンプライアンスへの取り組みも紹介します。

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株式会社gumi及び株式会社スクウェア・エニックスに対する景品表示法に基づく措置命令について
(2021年6月29日 消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/024759/
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≪優良誤認表示≫
【対象事業者・業務内容】
株式会社gumi (東京都新宿区)
インターネット・コンテンツ及びシステムの企画、開発、制作、販売及び運用業等

株式会社スクウェア・エニックス (東京都新宿区)
コンテンツの企画、開発、制作及び販売業等

【対象役務】
「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」と称するオンラインゲーム内で実施した5種類の“10連ガチャ”

ガチャ1:1st ANNIVERSARY 1回限定 1回引き直し可能UR10枠確定10連召喚
ガチャ2:1st ANNIVERSARY 1回限定 URユニット10体確定10連召喚
ガチャ3:1st ANNIVERSARY 1回限定 URビジョンカード10枚確定10連召喚
ガチャ4:1st ANNIVERSARY 1回限定 URユニットの欠片100個確定10連召喚
ガチャ5:1st ANNIVERSARY 1回限定 URビジョンカードの欠片50個確定10連召喚

gumiは、スクウェア・エニックスの監修を受けるなどにより、本件5ガチャを本件ゲームにおいて企画し、同社と共同して一般消費者に供給し、ゲーム内の表示内容について案を作成し、同社と共同して決定している。

【表示媒体・期間】
本件ゲーム内
表示期間:
2020年11月 14日から2020年11月 16日までの間

【違反内容】
本件ゲーム内において「召喚は1回ごとに、その提供割合にもとづいて抽選を行います」等の記載と共に、本件ガチャで提供するアイテムの提供割合等を表示することにより、あたかも、本件ガチャで提供するアイテムの抽選方法については、1枠ごとに、表示された提供割合に従って抽選が行われるかのように示す表示をしていた。

実際:
1枠ごとに、表示された提供割合に従って抽選が行われるものではなく、下記の方法で抽選が行われていた。

・提供割合に基づいてランダムに配列した2種類のリストが作成され、2種類のリストのうちどちらを適用するかが抽選される。
・適用されたリストの並び順に基づいて連続するアイテムが10枠分提供され、次以降の一般消費者は、前の一般消費者の結果の続きから、連続するアイテムが10枠分提供される。

上記の抽選方法によって本件ガチャを実行した結果、提供される10枠分のアイテムの組合せは限られたものとなっており、1枠ごとに表示された提供割合に従って抽選が行われれば提供される可能性のあった10枠分のアイテムの組み合わせのほとんどが、絶対に提供されないものだった。

【表示例】
「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」内のガチャ1の取引画面の表示(消費者庁公表資料より引用)
gumiスクエニ2

●措置命令に対するスクウェア・エニックスの見解と対応
スクウェア・エニックスは措置命令を受けたガチャの仕組みと発生原因について、次のように説明しています。

・10連召喚においては10枠分のアイテムを1枠ごとに提供割合に従って抽選を行っているが、2020年11月 14日から2020年11月 16日にかけて、今回処分を受けた方法で抽選が行われていた。(全体として提供割合に齟齬はなかったものの、提供される10枠分のアイテムの組み合わせが相当限られる事態に)

・意図的なものではなく、開発・運営を行っているgumi社内の審査や監督体制の不全による人的ミスによるもの。

・ユーザーからの指摘で不具合を認識し、速やかに召喚停止、修正、対象ユーザーに引き直し可能な召喚を実装する等の対応を行った。

・本件に関するするお詫びは、2020年末に不具合発生時点ですでに行い、不具合の改修も完了している。

・今後はチェック機能の見直し及び管理の強化、チーム全体の意識改善を進め、再発防止に努める。
gumiスクエニ3
「FFBE幻影戦争」プロデューサーレター #19(2021年6月末)
(株式会社スクウェア・エニックス 2021/06/29)
https://players.wotvffbe.com/1321/

スクウェア・エニックスは、ユーザーからの指摘でミスに気付き、迅速な対応は良心的なものという印象ですが、ダウンロード数が21年3月時点で1400万超の人気ゲームという側面から、社会的影響を考慮した処分となったのでは、と推察します。

「コンプガチャ」に関する措置命令は、過去には、2018年1月に中国のオンラインゲーム会社アワ・パーム・カンパニー・リミテッドの事案と、2017年7月に大手ゲーム会社ガンホーの事案がありました。
前者は、ゲーム上の有料ガチャの確率表記について実際の確率よりも高い確率であるかのような表示に対し有利誤認での処分、後者は、有料ガチャによって提供されるキャラクターが表記と異なる仕様だったとして、優良誤認での処分となっています。(※1)

(※1)
・中国のオンラインゲーム会社に景表法措置命令!ゲーム上の有料ガチャの確率表記に有利誤認(消費者庁:平成30年1月26日)

・大手ゲーム会社ガンホー、グリーに景表法措置命令!各社のお詫び対応は?(消費者庁:平成29年7月19日)

オンラインゲーム上の有料ガチャ(ランダム型アイテム提供方式)をめぐっては、景品表示法上の問題が指摘され、平成 24 年 6 月 28 日に、「コンプガチャ」について消費者庁が「『カード合わせ』に関する景品表示法(景品規制)の運用基準」を公表しました。(※2)

(※2)
「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)の運用基準の公表について
(消費者庁:平成24年6月28日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/policy_coordination/internet_committee/pdf/120802shiryo9_2.pdf

インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A(平成25年1月16日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/card/

日本オンラインゲーム協会(JOGA)では、こうした法規制に対応すべく、2016年4月にJOGA 加盟事業者に対し、以下のような新ガイドラインを発表しています。(※3)

(※3)
◆オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン
https://japanonlinegame.org/wp-content/uploads/2017/06/business_method_guideline_2016.pdf
消費者庁運用基準の示す「カード合わせ」に直接該当するもの、該当するおそれのあるもの、原則として問題のないものについて、それぞれ、ゲームシステムおよびビジネスモデルの類例とその検討を示し、注意喚起するもの。
◆ランダム型アイテム提供方式を利用したアイテム販売における表示および運営ガイドライン
https://japanonlinegame.org/wp-content/uploads/2017/06/JOGA20160401.pdf
有料ガチャの設定に関する事項には、「ガチャアイテムの種別毎に、その提供割合を表示する。」と記載されています。
また、禁止事項として、景表法の優良・有利誤認、懸賞景品制限について明記されています。
アワ・パーム・カンパニー・リミテッド_ゲーム協会
「ランダム型アイテム提供方式を利用したアイテム販売における表示および運営ガイドライン」より

オンラインゲーム業界では、ゲームコンテンツの魅力追求の両輪として、法令遵守体制の構築が求められています。

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