急増するまつ毛美容液による危害。医薬部外品、効能等表示に注意!(国民生活センター調査 2019年8月)


最近、話題の「まつ毛美容液」ですが、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、使用して目の周りが腫れたなどの皮膚障害を訴える相談が2018年度に急増し、2015年度以降2019年5月31日までの登録分で381件寄せられています。
まつ毛美容液_危害件数

【まつ毛美容液について】
・マスカラのようにブラシやチップ(スポンジ状のもの)、あるいは手で直接、まつ毛の生え際等に塗布する商品。
・はり、こし、つやを与える等の効能をうたっているもののほか、育毛の効能効果等をうたっているものもみられる。
・化粧品では、「医薬品等適正広告基準」により毛髪にはり、こし、つやを与える等の効能をうたうことはできるが、まつ毛の育毛の効能効果をうたうことは認められていない。
・現時点(2019 年7月末時点)では医薬部外品として承認されたまつ毛美容液はない。
まつ毛美容液

そこで、国民生活センターでは、まつ毛美容液に関する相談情報と、表示等を調べ、消費者トラブルの未然防止・拡大防止のため、消費者に情報提供するとともに、業界・事業者、行政への要望及びネットショッピングモール運営事業者への協力依頼を行っています。(※)

表示調査では、ネットショッピングモールで特定の検索ワードで検索して表示された20銘柄について、製造者または販売者のウェブサイト、商品本体、パッケージ及び取扱説明書等の表示を調査し、問題点を指摘しています。
(調査期間:2019年5月10日~7月23日)。

国民生活センターの商品テスト結果を確認します。

1)PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)相談情報の概要
2015年度以降(2019年5月31日までの登録分)の「まつ毛美容液」に関する相談は2,140件。
内容別にみると、インターネット通販による定期購入の契約に関する相談など「契約・解約」1,897件(88.6%)や「販売方法」1,597件(74.6%)に関する相談が突出している。
次いで、「表示・広告」が482件(22.5%)、「品質・機能、役務品質」が408件(19.1%)、「安全・衛生」が397件(18.6%)となっている。
まつ毛美容液_相談内容

危害内容・危害の程度:
危害の内容別(n=381)では、78.7%が「皮膚障害」で、具体的な内容としては、赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の症状が多くみられた。
また、危害の程度別(n=291)では、「医者にかからず」が79.7%であり、「治療1週間未満」が13.7%。1カ月以上のものは2件。
まつ毛美容液_危害内容

主な事例:
【事例1】眼科医師の診断を受けたところ、角膜潰瘍を起こしており手術を要した
【事例2】充血したため眼科を受診し、その診断結果を伝えたが解約できていなかった
【事例3】目の周りが腫れて皮膚科を受診し解約を申し出たが、通常価格との差額を請求された
【事例4】定期購入と気づかず契約し、両まぶたが腫れ医師に塗布薬を処方された。解約したくて架電したが繋がらず、その後も美容液が届いた
【事例5】まつ毛を長く濃くするという美容液に効果がなく、目の周りも腫れてきている
【事例6】目のかゆみやまつ毛が抜ける等の症状が現れたが、解約の電話が繋がらない

専門家からのコメント:
・まぶたは皮脂分泌が欠乏し易い部位なので、頭皮とは皮膚の環境が大きく異なる。
・皮脂分泌能力は通常年齢と共に減少し40歳代を過ぎると洗顔後の皮脂分泌回復力が衰え、特に秋から春にかけて乾燥する時期は刺激等の影響を受けやすく、眼周囲のトラブルが多くなる。
・本来医薬部外品の育毛剤は、皮脂分泌が多い頭皮への使用を考慮して処方された商品と考えられ、その育毛剤をまつ毛に使用することは本来の目的には合わず、そのため、育毛剤をまつ毛に使用すると皮膚トラブルが起こる可能性が高い。
・まつ毛を対象に作られた美容液だとしても、まつ毛だけに美容液がつくわけではなく、周囲まぶたの皮膚は最も薄い皮膚で容易に美容液が吸収される。
・多くの成分が含まれる医薬部外品の育毛剤や化粧品のまつ毛美容液を使用すると、使用者の体質や、使用時期によっては、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等が生じることがある。
・特に、植物由来の成分やエタノールなどのアルコール類は、使用部位による刺激・アレルギー反応を起こし易いと考えられる。

2)表示の調査
調査期間:
2019年5月10日~7月23日

調査対象銘柄:
インターネットショッピングモール(「Amazon.co.jp」、「Yahoo!ショッピング」、「楽天市場」)で、以下の方法で選定した20銘柄。

・「まつ毛美容液」が分類されるカテゴリにおいて、売れ筋ランキングの高い商品
・“発毛”、“育毛”、“養毛”及び“増毛”の検索ワードで検索して表示された回数の多い商品
・「医薬部外品」あるいは「薬用」の表示が確認できた商品など

「医薬部外品」「薬用」の表示あり 5銘柄
「化粧品」 15銘柄

《使い方》
容器の本体あるいは蓋の内側に付属するブラシやチップで美容液をまつ毛に塗布するタイプ 17銘柄
手に美容液をとってまつ毛に塗布するタイプ 3銘柄

表示について:
調査対象商品の製造者または販売者のウェブサイト、商品本体、パッケージ及び取扱説明書等の表示を調査した。

医薬品医療機器等法上問題となるおそれがある表示
・今回の「医薬部外品」や「薬用」の表示された5銘柄については、まつ毛の育毛の効能効果に関する表示がなされた医薬部外品の育毛剤だった。(医薬部外品の育毛剤はこれまで頭髪用のものはあるが、まつ毛美容液は、現時点(2019年7月末時点)では医薬部外品として承認されたものはない)
・化粧品の 15銘柄中約半数の銘柄にまつ毛の育毛の効能効果に関する表示など化粧品の効能の範囲を超えると考えられる表示があった。
まつ毛美容液_表示例

インターネットショッピングモールでの販売カテゴリ
・「まつ毛美容液」が分類されるカテゴリで、5銘柄の医薬部外品の育毛剤がまつ毛美容液として販売されていた。

まつ毛美容液を製造販売されている業界・事業者に対しては、以下の要望が出されています。
●安全な商品作りと、定期購入の解約などについて消費者が安心して購入できるような対応
●医薬部外品の育毛剤について、まつ毛の育毛の効能効果に関する表示をしない(薬機法上問題となるおそれ)
●まつ毛美容液について、医薬品等適正広告基準の化粧品の効能の範囲を超える表示をしない

今回の国センの調査を受け、育毛を訴求して「まつ毛美容液」を販売していた(株)ビーボと(株)ハウワイの対応結果が8月28日に公表されています。

(株)ビーボ
「当社製品についてそのような問い合わせは受けていないが、今後問い合わせなどがあった場合には、適切に対処するとともに、安全性についても適切に判断していく。また、広告表現は外部専門家の意見を聞きながら、適切に対処していく方針。」

(株)ハウワイ
「深く浸透美まつげ再生」がある表記の対応が7月31日に完了。Before/Afterについての内容は現在使用しておらず、今後使用しないことについても社内で周知している。」

今回の国センの公表を受けて厚生労働省では各都道府県に対して「まつ毛美容液を標榜する化粧品等の安全性確保について」を8月8日付で発出し、まつ毛美容液の製造販売業者に対する監視指導を求めています。
内容は、使用説明書等への使用上の注意の記載、副作用報告、成分・製品の安全性と表示・広告確認および、必要に応じた配合成分の変更等となっています。
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まつ毛美容液を標榜する化粧品等の安全性確保について
(厚生労働省 2019年8月8日)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190808_2.html
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(※)
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まつ毛美容液による危害が急増!
-効能等表示の調査もあわせて実施-(国民生活センター 2019年8月8日:公表)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190808_2.html
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≪参考記事≫
・国民生活センターの商品テストや情報公開を、前向きに活用しよう
http://blog.fides-cd.co.jp/article/285497072.html

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