ダッドウェイ、抱っこひもの性能表示に景表法措置命令。客観的な根拠データを(消費者庁:2019年12月20日)


消費者庁は12月20日、横浜市の育児用品等の販売業者(株)ダッドウェイに対し、景品表示法違反(優良誤認) の措置命令を行いました。
抱っこひもの性能表示について、不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。

同社は、性能について東京大学先端科学技術センターによる検証と表示し、表示の根拠として実験結果を示しましたが、表示の裏付けとなる合理的な根拠とは認められませんでした。
性能表示では、他社比較のデータが用いられていました。

処分のポイントと「比較広告」を行う際の景品表示法上の注意点について確認します。

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株式会社ダッドウェイに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2019年12月20日)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_191220_1.pdf
———
(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。


●違反概要
【対象商品】
エルゴベビー・ベビーキャリア/ADAPT
エルゴベビー・ベビーキャリア/OMNI360
エルゴベビー・ベビーキャリア/ORIGINAL
エルゴベビー・ベビーキャリア/360
と称する各抱っこひも

【表示媒体・期間】
「店頭空箱」と称する店頭表示物:2017年7月1日以降
商品カタログ:2016年10月27日頃から2019年10月9日頃までの間
「DADWAY ONLINE SHOP」と称する自社ウェブサイト:2017年7月1日から2019年11月7日までの間

【違反内容】
表示内容:
例えば、
「ADAPT」と称する抱っこひもについて、「人間工学専門家も認める快適性」と記載し、乳幼児を対面抱きしている人物の写真と共に、「肩への負担が1/7(他社比)」及び「快適性を使用者にかかる圧力で比較すると、一般的な腰ベルト付き抱っこひもを100とした場合、エルゴベビーはわずかその14%程度、つまり負担がきわめて少ない、という実験結果が出ています。抱いた赤ちゃんが自然に中央に導かれる立体設計により、親子ともにバランスの良い抱っこ姿勢を保てることも、疲れにくい理由のひとつです。」と記載。
あたかも、本件商品を使用して乳幼児を対面抱き又はおんぶした際に使用者の身体に掛かる負担は、使用者の身体に掛かる負担が他社の商品に比して著しく少ないかのように示す表示をしていた。

表示例:
ダッドウェイ1
ダッドウェイ2
(消費者庁発表資料より抜粋)

実際:
同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった

対象表示には、「東京大学先端科学技術センターにて親子の快適性を検証」と、外部機関による性能評価を行っている旨が記載されています。
報道によると、以下のように報じられています。

同社は消費者庁に対し、表示の根拠として外部に依頼したとする実験結果を示したが、消費者庁は「実験方法などがフェアではなく、客観的に実証されていない」と判断した。

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エルゴベビーで不当表示 「肩の負担7分の1」根拠なし
(朝日新聞 2019年12月20日)
https://www.asahi.com/articles/ASMDN4HYTMDNUTIL01D.html
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発表資料によると、措置命令が発表された時点でも違反表示は継続しているとしており、措置命令内容には「表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく行っている、表示している行為を速やかに取りやめること」が盛り込まれています。

ダッドウェイは、自社HPにて、「エルゴベビー商品の当社ホームページ、店頭表示物などに関するお詫びとお知らせ」として「今回の措置命令は当社の表示に関するものであり、これまで販売した商品の品質や安全性に関わるものではございません。お手元の商品につきましては、引き続き安心してご使用いただけますと幸いです。」と発表しています。
ダッドウェイ3
(株式会社ダッドウェイ 2019年12月20日)
https://www.dadway.com/news/info/

今回、優良誤認と認められた表示は、「肩への負担」という消費者が抱っこひもを選ぶ際、重要な基準となる品質に関するものであり、同社も広告において「抱っこひも選びのチェックポイント」として訴求しています。ですので、単なる「誤表示」ではなく、「商品の品質や安全性に関わるものではない」という説明は、消費者に対する誠実さに欠けるものだと思います。
また、返品、返金対応についての記載もなく、返金措置による課徴金の減額も求めていないことがうかがえます。

景品表示法上の観点から「比較広告」を行う際の注意点についてまとめた、以下のブログ記事もぜひ、ご確認ください。

正しい比較広告のススメ
http://blog.fides-cd.co.jp/article/135247311.html

《参考記事》
2019年4月:通販事業者BLIの「害虫駆除用品」
2015年2月:空間用虫よけ剤4社に景表法措置命令
2014年5月:エム・エイチ・シー「車載用マイナスイオン発生器」
2014年3月:大幸薬品や大木製薬など17社の「二酸化塩素を使った空間除菌剤」
2012年11月:シャープ「プラズマクラスターイオン技術を搭載した電気掃除機」

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