コロナ禍で利用が増えた購入方法をコロナ収束後も続ける人56%。産地応援購入している人は55%(日本政策金融公庫 2021年1月消費者動向調査)

新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、消費者の食品購入方法の変化としてネット購入や産地応援購入がクローズアップされました。コロナ禍が長期化する中、その傾向は継続しているのでしょうか。また、収束後も継続されるのでしょうか。

日本政策金融公庫の食品に関する消費者動向調査(2021年1月)の中から、「コロナ禍の影響による食品購入方法の変化」と「産地応援の意識変化」をご紹介します。

《調査のポイント》
●コロナ禍の影響で食品の購入方法に変化が約3割。昨年7月より4ポイントアップ
●利用が増えた購入方法は、「インターネット購入」(34.1%)が最多
●利用が増えた購入方法をコロナ収束後も続ける人は56%。「コロナ拡大前に戻る」は2割
●インターネットでの購入が増えた品目は「菓子」、「アルコール」
●国内の農林水産業・産地を応援する意識ありが過半数。コロナ禍で、11ポイント上昇
●国内の農林水産業・産地を応援する理由「地域産品が好き」
●国内の農林水産業・産地を応援する意識が高い人ほど、今後も購入意向は高い
●人気の応援購入方法、「店頭」、「直売場」、「通販」

コロナ禍の影響で食品の購入方法に変化が約3割。昨年7月より4ポイントアップ

コロナ禍の影響による食品の購入方法の変化については、「変化があった」(29.6%、前回調査(令和2年7月)+3.8ポイント)との回答割合が上昇した。
男女別にみると、特に男性(28.4%、同+6.9ポイント)の変化の割合が増加し、男女差が縮小した。

利用が増えた購入方法は、「インターネット購入」(34.1%)が最多

購入方法に変化があった人について、利用が増えた購入方法は、「インターネット購入」(34.1%、同-3.9ポイント)が最も多く、次いで「テイクアウト」(30.6%、同+3.3ポイント)、「量販店・スーパー」(30.2%、同+1.1ポイント)(29.1%)。

利用が増えた購入方法をコロナ収束後も続ける人は56%。「コロナ拡大前に戻る」は2割

購入方法に変化があった人について、56.1%がコロナ禍の影響により利用が増えた購入方法を収束後「今後も続ける」と回答。「コロナ拡大前に戻る」が19.6%。
年代別でみると、20~40代で6割を超えた。「コロナ拡大前に戻る」と回答したのは、60代が3割と他の年代と比べて高くなった。

インターネットでの購入が増えた品目は「菓子」、「アルコール」

インターネットでの購入が増えた上位品目は、日々の生活用では、「菓子」(32.9%)、「アルコール類」(25.9%)、飲み物(25.0%)。
贈答・パーティー等の特別の日用では、「菓子」(40.6%)、「アルコール類」(26.6%)、肉類(21.2%)。

年代別でみると、日々の生活用では、20代では「肉類」、30代では「穀類」、40代では「飲み物」、50代では「野菜」「アルコール類」、60代では「冷凍食品」、70代では「穀類」「果物」が相対的に高い。
贈答・パーティー等の特別の日用では、年代問わず「菓子」が最も高くなった。「アルコール類」は20代から60代にかけて年代が上がるほど高くなった。20代、70代では「果物」、30代では「肉類」が相対的に高い。

国内の農林水産業・産地を応援する意識ありが過半数。コロナ禍で、11ポイント上昇

消費行動における国内の農林水産業・産地を応援する意識について、「気にかけている(「大いに気にかけている」と「やや気にかけている」をあわせた回答割合)」の回答が56.2%。コロナ禍以前(令和2年1月以前を振り返ったときの回答)と比べ、11.0ポイント高くなっている。
年代別でみると、年代が上がるほど高くなる傾向で、全世代でコロナ禍以前よりも上昇している。

国内の農林水産業・産地を応援する理由「地域産品が好き」

産地の応援を気にかけている人の産地を応援する理由について、男女ともに「地域産品が好き」が最も高く、年代別でも20代を除くすべての世代で「地域産品が好き」が最も高くなった
また、年代が上がるほど、 「地域産品が好き」 「災害等が発生した地域の復興を支援したい」の割合が高くなった。
20代では「自分の出身地」という理由が最も高く、また他の世代と比べて「生産者のファン」という回答の割合が高い。

国内の農林水産業・産地を応援する意識が高い人ほど、今後も購入意向は高い

「国内の農林水産業・産地の応援」を気にかけた購入に対する今後の意向について、「購入頻度を増やしたい」または「新たに購入したい」と回答した割合は、産地の応援を気にかける度合いに応じて高くなる傾向となった。

人気の応援購入方法、「店頭」、「直売場」、「通販」

国内の農林水産業・産地の応援のための具体的な消費行動は、「店頭で産地を見て購入」(36.5%)が最も多く、次いで、「直売所や道の駅での購入」(13.2%)、「通信販売での購入」(12.0%)となった。なお、「(国内の農林水産業・産地応援のための)消費行動をしていない」とする割合は44.8%となった。

調査の結果から、コロナ禍で食品の購入方法の変化は拡大し、ネット購入やテイクアウトは購入方法としてアフターコロナにおいても定着していくことが予測されます。
特にネット購入品目では、スイーツやアルコール、肉類の人気が高いことが読み取れます。
国内の産地応援購入も、引き続き伸びていきそうです。

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コロナ禍の影響による食品購入方法の変化および産地応援の意識変化に関する調査結果
(日本政策金融公庫 2021年1月調査)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_210318a.pdf

調査時期 2021年1月
調査方法 インターネットによるアンケート調査
調査対象:全国の20歳代~70歳代の男女2,000人(男女各1,000人)
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≪関連記事≫

・コロナ禍で4人に一人が食品購入方法に変化。内約4割がネット購入が増えたと回答(日本政策金融公庫 2020年7月消費者動向調査)

・食品購入時の判断基準「価格」が最多、次いで「鮮度」、「国産」(日本政策金融公庫 2020年1月消費者動向調査)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。